「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群

山口県萩市にある萩反射炉は、静岡県伊豆の国市にある韮山反射炉と共に、日本に現存する反射炉として、大変貴重な遺構で、国の史跡に指定されているだけではなく、世界文化遺産にも指定されています。

2017年、一部除外勧告を覆し、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群として、世界文化遺産に登録されました。

1000年以上前から神聖な場所とされ、現在も立ち入ることが許されない沖ノ島。

沖ノ島では4～9世紀頃、朝鮮半島や中国などの外国への航海がうまくいくように祈る、国家的な祭祀が行われていました。

沖ノ島は九州本土、福岡県からおよそ60km離れた玄界灘にある、周囲わずか4kmほどの孤島です。

島全体が宗像大社沖津宮のご神体となっていて、宗像大社の神職以外は、通常上陸を認められていない、神聖な島です。

一般の方は大島にある沖津宮遙拝所から沖ノ島を参拝することになります。

島の中腹にある沖津宮本殿には、田心姫神（たごりひめのかみ）が祀られています。

島全体が天然記念物に指定されており、古来から石一つ、草木1本たりとも島から持ち出すことは固く禁じられてきました。

沖ノ島には常駐の神職が1名おり、10日交代で勤務していますが、沖ノ島にいる人間はこの神職のみとなります。

※毎日の神事に奉仕するために、神職が島内に入る場合も、その前には全裸になり、沖ノ島の御前浜で禊を行わなければいけません。

沖ノ島の南東1kmに位置する「小屋島」「御門柱」「天狗岩」の三つの岩礁。

沖津宮の一部とみなされ、鳥居の役割を担っています。

沖ノ島に着く船は、この岩礁の間を通り抜けるのが習わしとなっています。

沖ノ島は島全体がご神体で、上陸できない島です。

江戸時代、沖ノ島を遠くから拝むため、沖津宮遙拝所が大島北部にある海辺に設けられました。

沖津宮遙拝所は沖ノ島を拝むための拝殿とした役割を担っています。

現在ある遙拝所の社殿は、昭和8年に建立されていますが、「寛延三年」（1750年）と階段手前の石碑に刻まれているように、18世紀には、遙拝所がこの場所にありました。

天気に恵まれた日になると、遙か彼方に沖ノ島を望むことができます。

中津宮は沖津宮・辺津宮と共に宗像大社を構成している三宮のうちの一宮で、本殿は福岡県の有形文化財に指定されています。

三女神のうち、出雲大社に祀られている大国主神と神婚した伝承を持つ次女の湍津姫神（たぎつひめのかみ）が祀られていることから、縁結びのご利益があると言われています。

七夕伝説がある中津宮の向かって右には牽牛神社が、左の丘には織女神社があります。

沖ノ島と通じる祭祀が行われていた山頂には、参道によって麓の中津宮社殿と結ばれている御嶽神社が建立されています。

九州本土、海岸から3km程内陸に入ったところにある辺津宮。

本殿と拝殿は国の重要文化財に指定されていて、三女神の末妹、市杵島姫神（いちきしまひめのかみ）が祀られています。

現存する本殿は1578年に再建されたもので、広大な境内の山の中程には、沖ノ島の流れをくむ祭祀の遺跡、下高宮祭祀遺跡があり、高宮祭場として整備され、古代祭場の雰囲気を伝えています。

新原・奴山古墳群

福岡県福津市にある新原・奴山古墳群は前方後円墳、円墳、方墳など、計41基からなり、5～6世紀に海を望む台地上に築かれています。
沖ノ島の祭祀を担った古代の豪族、宗像氏のお墓と考えられています。

航海術に長けていて、対外交流にも関わっていた宗像氏が海に面した丘地に墳墓群を築いたのは、沖ノ島へ続く海を一望できる場所だったからなのかもしれません。

住所	福岡県福津市勝浦（新原・奴山地区一体）
お問い合わせ	福津市総務部 世界遺産登録推進室　0940-43-8134

監修：福岡県世界遺産登録推進室
http://www.okinoshima-heritage.jp/