【腰痛の保存療法】でも紹介した通り、保存療法とは手術をしない治療方法になります。
病院でなければできない保存療法もありますが、方法が分かれば自分でできる保存療法もあります。
仕事で前屈みの作業が多く、腰痛に悩まされていましたが、キネシオテーピングで長年の腰痛から解放されました。
重い物を持ち上げた瞬間、腰に激痛が!
私がぎっくり腰に襲われたのは、30年ほど前のことです。
それまでもずっと重苦しい腰痛に苦しんでいましたが、身動きが取れないほどの痛みは初めてでした。
しばらくはその場で安静をとり、少し落ち着いてから、知人の治療院を訪ねることにしました。
やっとの思いでたどりついた治療院で、施術の最後に当時はあまり知られていなかったキネシオテーピングが施されました。
すると、テープを貼ってもらった直後から、脂汗が出るほどの痛みが和らいでいったのです。
歩行が楽になった私は、知人にテーピング方法を教わり、家路につきました。
その後、家人にテープを貼りかえてもらい、腰痛は快方に向かいました。
そんな経験をもとに、家庭でもできるおすすめの治療法として、「腰痛のためのキネシオテーピング」をご紹介します。
1980年、加瀬健造D.C.(ドクター・オブ・カイロプラクティック:主にアメリカで取得できる学位)により考案、普及されたテーピング法です。
初期は筋肉に沿って伸縮性テープを貼ることで、筋肉を保護し筋肉の代わりをさせる人工筋肉テープと呼ばれていました。
その後、皮下リンパ液の循環を促して痛みを和らげるとの考えから、さまざまな貼り方が考案され現在に至ります。
基本は、傷めた筋肉の端から端まで、筋肉を伸ばした状態で、テープを引っ張らないで貼ります。
テープの角は丸くカットしたほうが、はがれにくいですよ。
伸縮率や厚さ、糊の種類などタイプの異なるテープが、各メーカーから発売されており、症状に応じて使い分けています。
また、スポーツ外傷などには、伸縮しないホワイトテープと併用する場合もあるでしょう。
テープの幅は、25mmから75mmまであり、価格は500円から1,000円(1巻5m)くらいで販売されています。
筋肉や関節を傷めた腰痛には適応しますが、腫瘍や内臓性の腰痛は、専門医の指示に従ってください。
背骨の両脇の腰を支える筋肉を傷めた場合や、腰椎が前方にずれてしまった腰痛、加齢変性による痛みなどに使用します。
前屈みの状態で、30cmのテープを筋肉に沿って縦に貼ります。25cmのテープは、一番痛い箇所に横に貼り、完成です。
腰の関節の捻挫や、腰骨の間にある軟骨の中身が、飛び出した状態の腰痛に使用します。
前屈みの状態で、腰の一番痛い箇所を中心に、斜めに2枚、横に1枚貼りましょう。
他にも症状に応じて、さまざまな貼り方が研究開発されています。
最新の情報は、キネシオテーピング協会のホームページ
(http://www.kinesiotaping.jp/tapingmanual/)を
参考にしてください。
テープを貼ることによる副作用はありませんが、かぶれには注意しましょう。
貼る時に肌が汚れていたり、汗でぬれていると、かぶれの原因になりやすいので、清潔にしてから貼るようにしてください。
まれに、貼ってから汗をかくと痒くなることがあります。
石鹸で軽くたたくように洗い、よく流してからタオルで水分を取り、ドライヤーで乾かしてください。
かぶれ易いかたのために、テーピングによる肌あれを予防するローションが発売されています。
私は、D&M社の肌ベール(50ml:1,650円)を使用しています。(写真中央)
テープを連用する時のかぶれが軽減されますし、はがす時の痛みも和らぎますので、重宝しています。
また、勢いよくテープをはがすと皮膚が傷み、かぶれの原因になります。
皮膚を押さえて、肌をテープから離すようにしましょう。
毛深いかたは、毛並みに沿ってはがすと、毛が抜けにくく、あまり痛くないですよ。
皮膚な過敏なかたは、貼る時間を短めで試し、それでも痒みがあれば、使用を控えてください。
優れた治療も方法を間違えれば、効果があらわれないばかりか、逆効果になることもあります。
無理に強く引っ張りすぎて貼ったり、悪くない筋肉への貼付などの誤用は避けた方がよいでしょう。
腰に強い痛みを感じたら、まずは整形外科を受診してください。
その上で、さまざまな治療法の検討をおすすめします。
誰もが経験するといわれる腰痛、その85%は原因不明だそうです。
治療を続けてもなかなか症状が改善しないかたは、キネシオテーピングを治療の選択肢に加えてみては、いかがでしょう。
私は今でも、腰に負担のかかる作業をする際や、腰に違和感がある時に、腰痛予防のためテーピングをしています。
キネシオテーピングのおかげで、その後ひどい腰痛は再発していません。
開発から40年近くたった今も、多くのアスリートたちが愛用している姿をメディアで目にします。
優れた治療法は、すたれないのですね。
まずは、ご自分で貼ってみて、そのすばらしさを実感してみてください。
※この記事は実体験に基づいて書かれているため、個人の感想・見解が含まれています。
参照・参考:加瀬健造著(2007)『キネシオテーピング最新マニュアル』ノースランド出版.
腰痛といっても原因は様々です。
年齢とともに発症しやすいといわれるのが、腰椎の椎間板ヘルニアです。
腰椎の椎間板ヘルニアは、椎骨と椎骨の間にある椎間板が潰れて飛び出してしまい、神経に触れることによって痛みを生じるものです。
椎間板ヘルニアと診断されても、腰痛や下肢の痺れなどの症状が全くない場合もありますが、痛みが生じてしまった場合の保存療法の治療法についてみていきます。
椎間板ヘルニアの保存治療の中に牽引というものがあります。
牽引の種類には大きく分けると2種類ありますが、持続牽引と間欠牽引があります。
多くは通院のリハビリの一環として行われる、間欠牽引になりますが1回あたり10分~15分程度の時間おこないます。
方法としては仰向けに寝た状態で骨盤にベルトを巻いて引っ張る方法になります。
牽引力は体重の3分の1くらいを目安とします。
機械がゆっくりと腰を引っ張ったり、緩めたりすることにより、腰の周辺の筋肉を弛緩させ、緊張をほぐしていきます。
椎間板ヘルニアは、椎間関節が狭くなることにより、椎間板が潰れて飛び出すことが大きな原因となっているわけです。
基本的に牽引の効果としては椎骨関節を広げることにより、椎間板への圧力を下げ筋肉をストレッチさせ、神経の出入り口である椎間孔を広げると言う事が痛みの緩和に繋がると言う事で行われる保存療法の一つです。
腰の牽引の場合には、骨盤牽引(腰椎牽引)で頚椎ヘルニアのような首の痛みに関ししては頚椎牽引が行われます。
牽引が一番適している時期としては、下肢の症状が強い場合になります。
しかし、牽引も一概に効果があるとは言い切れません。
特に慢性化している場合には注意が必要になります。
急性期の障害や炎症がある場合、骨の変形や骨粗しょう症が著しい場合は症状が悪化してしまうケースも少なく有りません。
何度か試したけど症状が改善しなかったり、違和感がある場合には中止をした方が良いでしょう。
牽引の欠点としては狙った部分だけ牽引をする事は難しく、腰椎全体を引っ張ってしまう可能性があるからです。
そにより、異常のある椎間板以外も引っ張られてしまい腰痛が悪化したり、別の部分に腰痛が発生してしまう可能性もあります。
牽引については日本では効果があるとされ治療に取り入れられていますが、欧米では治療には取り入れられていません。
自分に合った治療法かどうか確認しながら行うと良いでしょう。
腰痛にも様々な原因がありますが、薬物療法や物理療法の効果が出なないときに
医師の判断でブロック注射を打つのはお勧めです。
特に、長い期間にわたり腰の痛みを抱えている人は痛みを一度リセットするという意味でもブロック注射を利用することは効果的です。
ブロック注射とは痛みの元となる神経やその周辺に局所麻酔を打ち込むというものです。
簡単に言うと牽引や痛み止めの服用だけで痛みが治まらなかったり、下肢にまで痺れが出てしまい歩くのが困難といったときに、痛みの元となっている圧迫されている神経の働きを抑えるといったものになります。
主にペインクリニック(麻酔科)か整形外科で治療を受けることが可能です。
どんな腰痛でもいえることが、症状がでてしまった場合に、血管が収縮してしまい痛みがおこると言う事です。
痛みがあるということは筋肉がこわばり、血管が収縮して血流がわるくなります。
血液には酸素や栄養素を全身に送る働きがあり、怪我をした場合などには、修復のために血液や栄養素を送らなければいけませんが、血流が滞るために痛みが悪化するというのが慢性化する原因のひとつでもあります。
そこで、ブロック注射を打つことで、痛みを遮断するほか、血流の改善をうながします。
ブロック注射は針を刺しますので、刺痛というものはあります。
しかし、慢性的な痛みを伴い下肢への痺れや痛みを伴うような場合は腰部や下肢の痛みが強い為にブロック注射の刺痛は殆ど感じません。
神経に触れたときに、ズキンと響くような痛みはありますがその後は、下肢に血流が通ったような温かい感じがあり痛みが和らいでいくのがわかります。
腰椎の椎間板ヘルニアに対するブロック注射にも、いくつか種類があります。
局所ブロック注射として痛い部分に直接麻酔薬を注射する、別名トリガーポイントブロック注射。
神経根ブロック注射は別名ルートブロックとも言います。
主にどの神経が悪いのか診断をするためものですが、治療として用いられるブロック注射です。
最後に硬膜外ブロック注射ですが、ブロック注射の中でも代表的なもので安全性も高く比較的よく用いられます。
脊髄を覆う硬膜という膜と黄色靭帯の間に数ミリの感覚があり、これを硬膜外膣といいますが、ここに局所麻酔を注入します。
神経による痛みの伝達をブロックするための治療法です。
効果がでると2~3週間は痛みが軽減されます。
その後、数回繰り返しブロック注射を打つことにより、痛みの消失が期待できます。