現在の日本にはカイロに関する法律が存在しません。
そのため、カイロそのものが合法とも違法とも言えません。
法的には、民間療法の1つとして位置づけられて現在に至ります。
2003年、日本の整形外科学会雑誌として国内で初めて『カイロプラクティックの現状とカイロプラクティックの急性腰痛に対する治療』という論文が、「東日本整形災害外科学会雑誌」 (第15巻第4号)に掲載されました。
さらに2005年には、『急性腰痛に対するカイロプラクティック的手法』というカイロの研究論文が「日本腰痛学会雑誌」(第11巻第1号)に掲載されたのです。
それをきっかけに、その論文は同年「ペインクリニック」や「日本統合医療学会誌」など多くの学会誌に掲載されています。
徐々にではありますが、カイロの有効性が知られるようになってきたのは、この頃からではないでしょうか。
1960年最高裁判決である「有害の恐れのないものは禁忌・処罰の対象にならない」、また「職業選択の自由」により規制をしていません。
1970年には
「カイロプラクティック療法は、脊椎を調整することにより、神経の回復を図ることを目的とする療法とされており、この点においてあんまマッサージ指圧と区別されるものと考えられる」
と、厚生労働省が質問に回答しています。
厚生労働省は、カイロプラクティックを「非科学的であり、医学的根拠に乏しい法的資格制度にもとづかない医業類似行為」とする見解です。
理由は以下の通りです。
①手技療法は定義づけが難しい
②カイロプラクティックの独自性、有効性、安全性を証明できない
③医師会、あんま・鍼灸・柔整団体の反対運動がある
現在の日本では、誰でもカイロ治療院を開業できます。
簡単に言うと
「日本では有害でなければ誰でもカイロ治療を行える」
「マッサージや指圧とは異なる」
ということです。
バブル崩壊後のリストラ、2001年~2006年小泉政権による規制緩和で医療系専門学校の急増、リラクゼーション業界の急成長などがあり、カイロの短期セミナーや専門学校が乱立しました。
その結果、整骨院、鍼灸院、整体院などでリラクゼーションやマッサージなどの一環としてカイロ治療が行われ、国民生活センターや消費者センターなどに事故報告件数が年々増加しています。
これらを受け、2012年に独立行政法人国民生活センターは、「手技による医療類似行為の危害―整体、カイロ、マッサージ等で重症事例もー」を発表しました。
その中で
「施術者が国家資格を有しているか否かにかかわらず、手技による医業類似行為を受けて危害が発生したという相談が多数寄せられている。国家資格者に対しては、健康被害が発生しないよう指導の徹底を要望する」
としています。
残念ながら、現在の日本には、海外と同等のカイロ専門大学は存在しませんが、WHO基準を満たすカイロ専門学校として、東京カレッジ・オブ・カイロプラクティックがあります。
以前はオーストラリアのRMIT大学やマードック大学が日本校を設立しましたが、現在は廃校となっています。
日本独自のカイロ大学設立の動きもありましたが、カイロが法制化されていない日本では、文科省や厚労省から許可されませんでした。
2014年からJACは、先述の国民生活センターから「手技による医療類似行為の危害」を予防するために、国内カイロ施術者向け「安全教育プログラム」を開始しました。
このプログラムは、WHOガイドラインにある教育基準を受ける機会がなかった施術者を対象として、安全性と倫理性を担保するための医学講座、および業務ガイドラインを提供しています。
プログラム終了後には、国際的な第三者試験委員会による試験を受け、合格するとWHO基準のカイロプラクターとして登録することが可能となります。
「はじめに」でもご紹介しましたが、日本には約30,000人のカイロの先生がいると言われており、WHO基準のカイロ教育を受けた先生は約850人で、全体の約3%しかいません。
(毎日のように新しい治療院が出来ていますので、その数字は前後します)
厚労省ではカイロを非科学としながらも、WHO基準のカイロが存在すること、海外では多くの研究報告があること、また不十分な知識と技術のカイロが多く存在していることを認め、国民に正しい情報発信、研究、注意を促す動きが始まっています。
参考になるサイトを紹介します。ぜひアクセスしてみてください。
危険なカイロ治療を避けるために世界基準のカイロを紹介しています。
WHO基準のカイロを紹介しています。
WHO基準のカイロを紹介しています。
統合医療の安全性と有効性に関する研究がすすめられ、日本におけるカイロなど代替医療研究が、医療先進国アメリカと比較すると遅れは歴然であり早急な対応を求めると発表しています。