ぎっくり腰は癖になる、繰り返すなどと言われていますが、再発させないための工夫があります。
今回は、ぎっくり腰の体験談と共に、再発しないようにする体操などをご紹介しましょう。
私が「ぎっくり腰」という言葉を初めて聞いたのは30年以上も前のことです。
仕事中に職場の先輩が水道のコックを回そうとして手を伸ばした時に、突然動けなくなってしまったのです。
先輩は「ぎっくり腰が癖になっているので安静にしていれば治る」といっていましたが、翌日になると本当に何事も無かったかのように仕事に出てきたのです。
それ以降は何事も無く過ぎていましたが、今度は私の方が腰痛で椎間板ヘルニアの手術を3回も行うことになってしまい、退職することになりました。
私がぎっくり腰を経験したのは平成24年から平成27年の2月に椎間板ヘルニアの手術で、4回入院を繰り返していたころの3回目の入院の時でした。
2回目の入院の時に別の病気の副作用で1型糖尿病と骨粗しょう症を発症し、背骨の1か所と腰の2か所を骨折したので腰痛がありました。
歩き方も転倒しないように気を付けていました。
この時には自分がぎっくり腰を体験することになるとは思ってもいませんでした。
別の病気で移動する範囲も制限されていたので、トイレに行く時にもナースコールをするように指示されていました。
利尿剤も飲んでいたせいか急にトイレに行きたくなって、トイレも近くにあったのでナースコールを押さず、ベッドの柵を外して自分一人で行くことにしました。
その時にぎっくり腰が起きてしまったのです。
特に変な体勢をとった訳ではなく、ただ近くに置いてあった見舞客用の椅子が邪魔だったので少し動かすことにしました。
普通に前かがみになって椅子に手を触れたときに、腰がずきんと痛くなって動けなくなってしまいました。
運が良かったのは看護師さんが同室の患者さんの様子を見に来た時だったので、ぎっくり腰で動くことができないことを伝えました。
その時に看護師さんの対応が早くてすぐに楽な体勢でベッドに寝かせてくれました。
看護師さんも私がコルセットを持ってきていることを知っていたので、痛みが落ち着いたらコルセットを付けるように言われました。
コルセットを付けて歩き方に気を付けて少しずつ動いているうちに腰痛は自然に治ると言われたのでその通りにしていたら、知らないうちに腰痛が軽くなってきました。
数日してからコルセットを外しましたが何も問題なく歩けるようになっていました。
体験談としては少し物足りないと感じると思いますが、それからは物を持つ時には腰をしっかりと落としてゆっくりと持ち上げることを心がけているので再発はありません。
ぎっくり腰を経験した方の多くは、なんでもないようなことがきっかけだったとよく言いますが、私の場合もそうでした。
産後、と言っても出産間もない時期ではなく、子どもが1歳半くらいでもう歩き始めていましたし、うちの子は歩くのが好きで抱っこばかりしているという時期でもありませんでした。
要するに、腰への負担が慢性的に大きい時期ではなかったのです。
ただし、私自身は慢性的に腰痛で、脊柱側弯もあるため常に腰に気を遣っていました。
ですが、やはり子どもが小さかったのでちょっとマッサージに行ったりすることは難しかったのです。
ある夜、普段通りに眠りました。
特に腰に注意はしていなかったと思いますが、痛いということもありませんでした。
そして、夜中にふと目が覚めてトイレに行こうと起き上がろうとしたときです。
突然、鋭い痛みが腰に走ったのです。
私はそのまま起き上がることができずに布団の上に転がりました。
また、起き上がろうとするのですが、そうすると同じように鋭い痛みで起き上がることができません。
そうこうしているうちに、起き上がるどころか動くことすらできない自分に気がつきました。
あまりにも痛みが強いため、怖くて少しでも動かすのが怖くて仕方がないのです。
この時、私は始めて冷や汗をかいていました。
上でも書いたように出産後なわけですが、痛みの鋭さという点では陣痛より痛かった気がします。
私は人よりお産が軽かったこともあって、陣痛が人生で最大の痛みではないのです。
これがぎっくり腰なのか…?と思うまでに時間は要りませんでした。
10年以上、腰痛と戦ってきた私ですが、ぎっくり腰と慢性的な痛みでは全く違います。
とにかく動くことができないのです。
深夜、家族が寝静まる中で腰を動かさないようにゆっくりと慎重に動こうとしますが全く無理。
動かさなければ痛くないので、私はいつの間にか眠ってしましました。
いつの間にか眠っていた私ですが、その眠りは再び強い痛みで破られました。
寝返りを打ってしまったのです。
そして、カーテンの向こうはうっすら明るくなっていました。
夫に助けてもらいながら、なんとか起き上がって階段を下りることができました。
心なしか、深夜よりも良くなったようでしたが、まだ歩くことには困難があり、職場に行くことは無理でした。
何より、またあの痛みに襲われることが怖くてたまらなかった私は、仕事を休んで病院へ行きぎっくり腰の診断を受けたのでした。
30年ほど前に、初めてのぎっくり腰。
その後は、さまざまな予防法を試し、いまだ再発していません。
ぎっくり腰……とっても痛そうな病名ですね。
正式名称は「急性腰痛症」「腰椎捻挫」。病名のとおり、腰を急にひねった時に、筋肉や関節、椎間板などを傷める腰痛症です。
発症時は激しい痛みがあるものの、数日から数週間で改善する疾患です。
しかし、生活習慣や仕事によっては、慢性化しやすく、一度治っても再発しやすいので、要注意。
二度とあの痛みを被らないための予防法を、体験談からご紹介します。
腰痛の要因は、腰への負担の増加と腰を支える筋力の低下です。
腰に疲労が蓄積した状態で、筋肉が急に引き伸ばされたり、関節を強くひねった時にぎっくり腰になります。
重い物を持ち上げたり、中腰作業などが原因になりますが、くしゃみや朝の洗願、靴下をはく時や横の物を拾う時なども、きっかけになるので注意しましょう。
スマホやパソコン作業で、長時間悪い姿勢をとると、腰の筋肉が疲れて硬くなり、肉離れを起こしやすくなります。
また、運動不足で筋力が低下すると、筋肉で腰を支えきれなくなります。
結果、関節や椎間板に負担がかかり、腰椎捻挫や椎間板ヘルニアのリスクが高くなるので、気をつけてくださいね。
私の場合は、横に落としたタオルを拾った時に、ぎっくり腰になりました。
起床後のまだ筋肉が硬い状態で腰をかがめ、捻ってから伸ばした瞬間に激痛が走りました。
重い物を持つ時は慎重になりますが、軽い物だからと、つい不用意に拾い上げてしまったのです。
油断大敵ですね。
ぎっくり腰。以前は、安静・冷却・固定が常識でしたので、発症してから3日間くらいは、アイシングしていました。
近年は急性期でも、熱感や赤みがなければ、冷やさず緩やかに温めたほうがよいとされています。
ちなみに冷湿布は冷たく感じるだけで、冷やす効果はあまり期待できません。
温湿布も同様で、血行は良くなりますが、温熱効果はないでしょう。
入浴は、受傷当日は熱い風呂は避けて、シャワーかぬるめの風呂にさっと入る程度にしましょう。
ただし、動けないくらい痛い時は、控えたほうが無難です。
痛みのピークを過ぎたら、今度は41℃位の風呂で、患部をゆっくりと温めると、治癒が促されますよ。
さて、私は身動きが取れないほどの腰の痛みに呻いていましたが、なんとか横向きで寝られるようになったので、冷やすことにしました。
クライオパックという、アイシング用のコールドパックを、直接腰にあてます。
かなり冷たく、最初は痛みが少し強くなりましたが、やがて感覚が鈍くなってきました。
痛みも少し軽くなったように感じます。
約10分間のアイシングでした。
アイシングの後は、鎮痛効果を期待して、低周波治療が施されました。
干渉波治療器という、中周波を利用して低周波を発生させる医療機器を使用します。
周波数は、除痛作用がある80~120ヘルツに設定し、10分間通電しました。
電気による痛みはなく、治療後は痛みが鈍くなったように感じました。
超音波治療器やSSP治療器なども、急性腰痛に有効です。
整形外科や整骨院・接骨院などに設置されていますので、医師の指示のもと受療しましょう。
傷めた筋肉を保護し、ねじった関節を固定するために、腰に伸縮性のテープを貼り、コルセットで固定します。
5cm幅のキネシオテープを、30cm2枚と20cm3枚、用意します。
背骨の両脇に、長い方のテープを縦に1枚ずつ貼ります。
次に短いテープを、一番痛い箇所を中心に、斜めに1枚ずつ、横に1枚貼って完成です。
キネシオテーピングは、痛みを和らげる作用もあるそうですよ。
コルセットは、うしろに固定用のステイが入った、幅が広めのものを選びます。
一番痛いところを中心にコルセットをあて、しっかりと締め付けます。
お腹側は、少しななめ下に向けて締め、胃を圧迫しないのがコツですよ。安静にしている時と、食事や就寝時は外しましょう。
私は今でも、腰に負担のかかる仕事をする時や、腰が疲れて重たい時には、テーピングやコルセットで、ぎっくり腰を予防しています。
筋トレやストレッチ、腰痛体操がぎっくり腰予防になるのは解っていても、なかなか続かないものです。
そんなあなたに、たった3秒間の「これだけ体操」をおすすめします。
やり方は、とても簡単ですので、ぜひ今日から始めてみてくださいね。
私はぎっくり腰対策に、運動療法などをいろいろ試してみましたが、これが一番効果があり、続けやすかったです。
これなら仕事中でも、できそうですね。
私も前傾作業の合間や、腰に違和感のある時に励行しています。
デスクワークで前屈みが続いた時や、重い物を持った時などにおすすめですよ。
※参照・参考:運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座
東京大学附属病院22世紀医療センター 松平浩特任准教授監修
http://lbp4u.com/koredake/
普段から、腹筋に軽く力を入れて、腰から背中を適度に伸ばした姿勢を保ちましょう。
前に屈む時や物を持ち上げる時、できるだけ腰を曲げないように気を付けます。
長時間の立位や座る時、自動車・自転車運転時も同様です。
座椅子やソファーは、腰が曲がり易いので、座り続けないようにしましょう。
腰痛の予防は、負担を軽減して、疲労を貯めないことです。
その上で、普段から油断せず、慎重に行動することが、ぎっくり腰の再発を防ぎます。
特にご高齢者は、ゆっくり動くように心がけてくださいね。
※ぎっくり腰治療の専門は、整形外科医です。安静をとってもどんどん痛くなったり、脚のしびれが強い時など、腰以外にも異常がみられたら、無理をしてでも病院へ行ってください。