腰痛は日本ではもはや、国民病の一つといっても過言ではありません。
日本人の約80%が、何らかの形で腰の痛みを感じたことがあると言われています。
日本人は腰の筋肉が欧米人に比べ、比較的細くて弱いことから、腰痛になりやすい傾向があります。
一口に腰痛と言っても、多くの種類があり、その痛みの状況により対処法が異なります。
適切な処置をしなければ、更なる悪化を招きます。
全ての種類の腰痛に共通の基本処置であり、またもっとも重要な対処法「冷やす」ことについて紹介します。
立ったまま、片足を上げ靴下を履こうとした時、朝起きて顔を洗おうと洗面台で身を屈めた時、床のものを拾おうと前屈した時などに、腰に「グキッ」という衝撃と急激な痛みが走り、動けなくなったという経験のある方も多いと思います。
このようなギックリ腰をはじめ、腰の捻挫や転倒による打撲、過度のスポーツ等による筋肉疲労……これらは、急性的な痛みを伴う腰痛です。 このような急性の腰痛に対しては、「冷やす」ことが重要です。
急性の痛みとは、初日から3日位までに起こる急激で強烈な痛みで、原因のほとんどは疲労が蓄積され、限界を超え耐えきれなくなった腰部の筋肉が炎症を起こし、発熱して痛みを引き起こす事によるものです。
この際に温めてしまうと、筋肉の炎症を更に加速させて、症状を悪化させてしまいます。 冷やすと炎症を抑制できますし、冷寒刺激を与えることにより痛みの感じ方を和らげる効果があります。 そのため、急性の痛みを伴う初期の腰痛に対しては、積極的に「冷やす」ということが肝要です。
自宅で簡単に出来て、絶大な効果が期待できる腰の冷やし方を見てみましょう。
適量の氷を用意し、ひとつまみの塩を掛け、氷嚢やスーパーのビニール袋などに詰めます。
袋が水滴で濡れ出すので、周りが濡れないようにフェイスタオルなどに包み、服の上から患部に当てると良いでしょう。
冷やし過ぎに注意し、5~10分を目安に冷やすようにしましょう。
※保冷剤を使う方法もありますが、直接当てると、皮膚の凍傷が起こる可能性もあるので必ずタオルに包むようにしてください。
腰痛の原因は様々ですが、放置すると慢性化してしまう厄介なものです。
慢性化してからではケアし始めたのでは遅い腰痛……いかに早めの対処をするかが重要なポイントです。
腰痛には湿布や鎮痛剤などで冷やすことが、効果的だと思っている方が多いと思います。急性の痛みには冷やすことが効果的とされますが、そうでない場合は逆効果になることも…。
急性期を過ぎた腰痛は冷やす事によって、腰の筋肉の血行不良を引き起こし、炎症を更にひどくして、悪化させてしまいます。
腰を温めるという事は、柔軟性を失い固くなった筋肉をほぐして、血行を良くすることです。
血行が良くなると、代謝が活発になって痛みの原因となる物質が取り除かれます。
その結果、腰の疲労感が和らぎ、筋肉の回復が早まり、腰痛が軽減していきます。
では、効果的な腰の温め方を紹介しましょう。
痛みのある部分にシャワーをかけるだけでも、腰は十分に温まりますが、より保温熱効果を高める方法があります。
やり方は、下記のように至ってシンプル。
これだけで抜群の温熱効果が得られ、血行が良くなり腰痛が改善します。
また、 湯船の中で腰のマッサージを行うと、より血行が促進され、更なる効果が得られるでしょう。
全身浴ではなく、腰まで浸かる「半身浴」でも十分効果が得られますよ。
くしゃみをした拍子に、立ち上がろうとしたとき、重いものを持ち上げようとしたときなど、さまざまな場面でぎっくり腰になってしまうことがあります。 ぎっくり腰になってしまうと身動きが取れなくなってしまうため、数日間は安静に過ごすことが大切です。
そこで気になるのがお風呂ですよね。 血行を良くするためにお風呂に入ったほうがいいのではないか……と考える人も多いですが、実際のところはどうなのでしょうか。
上述のとおり、慢性的な腰痛にはお風呂に入ることも効果的とされています。 痛みを早くなくしたいからと、患部を温める人もいますが、痛みがあるときのお風呂は避けることをおすすめします。
ぎっくり腰になると、少し体を動かしただけで言葉にできないほどの痛みが走ります。 痛みがあるということは、どこかしらに炎症が起こっている証拠のため、温めることはNGです。
ぎっくり腰とまではいかないけれど、腰に軽い痛みを感じるということは多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか。
痛みが軽いからとお風呂に入ってしまうと、炎症が進むきっかけになってしまう場合が少なくありません。
念のため、お風呂には入らずに様子を見たほうがいいでしょう。
夏場など汗をかく時期は、腰に痛みを感じていてもお風呂に入りたいと思いますよね。
体を動かせるまでに回復したら、短時間で済ますことができるシャワーならOKです。
腰に負担がかからない姿勢で、サッと汗を流しましょう。
まだ動けないうちは、タオルで体を拭く程度にしておくことをおすすめします。
ぎっくり腰になってしまうと立ち上るのはおろか、座っていることすらままならないことも多いです。
お風呂に入ることは痛みを悪化させてしまうだけでなく、腰に大きな負担をかけてしまう動作がたくさんあります。
入浴を控えて体を温めないようにし、なるべく動かずゆっくりと過ごしましょう。
個人差もありますが、痛みは3日ほどで落ち着く人がほとんどですので、数日の我慢ですよ。
腰痛の症状改善には一般的に、冷やすことが効果的だと思われがちですが、冷やすと筋肉の血行不良を引き起こし、炎症を更に悪化させてしまいます。
慢性化した腰痛の改善には、温めることが必要です。
患部を温めて血行を良くし、痛めた腰の筋肉の回復を早め、痛みを軽減していきます。
腰を温める方法には入浴のほか、ホットパックの使用も効果的です。
病院やリハビリ施設など医療機関の専門用語で、お湯で温めた物質を腰の痛みのある部分に乗せ、その上をビニールシートなどで覆い、熱の拡散を防いで患部を温める、その用具の総称をホットパックといいます。
日本ではホットパックとは、多くの場合はシリカゲルという物質を木綿などの袋に入れたもので、温熱効果はこのシリカゲルの作用によります。
ジェル状のシリカゲルが入ったホットパックを使うと、自宅でも簡単且つ効果的に慢性化した腰痛の症状を和らげることができます。
ホットパックとは簡単に言えば、蒸したタオルなどで腰を温めるのと同様の温熱療法です。
自宅で行う場合には、ジェルの詰まったホットパックを使用します。
2~3分電子レンジで温めると、ちょうど良い温かさになりますよ。
ホットパックを腰の下に置き仰向けに寝て患部を温める方法と、うつ伏せに寝た状態で腰の上に置く方法があります。
10分くらいでホットパックの表面温度は最高温度に達し、それから徐々に下がっていきますので、より長く保温作用を得るためにはタオルに包むと熱の拡散を防げます。
低温でも長時間の使用により、皮膚が赤くなってヒリヒリする低温やけどになる可能性もあるため、10~20分を目安に心地よく感じる範囲で行うことが肝要です。
ホットパックの使用はいつでも良いですが、腰が疲れているなと感じたら、痛くなる前に予防的に使うこともできます。
腰を温める他の方法としては、温めたタオルを腰に当ててもいいですが、直ぐに冷めてしまい、再び温め直さないといけないので長時間の使用には向きません。
そこで、手間もかからず長時間保温効果のある使い捨てカイロや温シップがおすすめです。
電子レンジで加熱する必要もなく、ホットパックよりも手軽に使えるのではないでしょうか。
使い捨てカイロは、患部に直接あて続けると、低温やけどになる危険性があるので、サポーターなどを使い、薄い肌着の上から当てると良いでしょう。