腰痛には、無理な腰の動きや内臓に原因があるタイプと、精神面の変化で発生する二種類があります。
前者の症状は、負担を減らして安静にしたり、効果的な治療を始めることで、やがて少しずつ回復します。
しかし、後者のタイプは、ストレスや鬱症状が引き起こしますから、原因を特定する難しさや必要性が高いといえるでしょう。
心因性腰痛症とは、精神的に感じるストレスや鬱が引き金となっていて、これらの原因を取り除かなければ、腰痛の症状を改善することができません。
ただ、一般的な症状とはあまり変わらないので、周りの人が見ても心の内面に原因があるとは気が付かなかったり、本人も自然に治ると放置しがちです。
原因になるストレスと欝は、身体的な症状が発生している限り、心と体を蝕み続けます。
そのまま放置を続けると、更に他の部分が痛む恐れも否定できませんから、中々治らない症状に気が付いたら、早めに医師に相談することが大切です。
また、本人が治療を放棄したり、自発的に医師に相談を行わない場合は、家族や周囲のサポートが必要になります。
心因性以外の腰の痛みに限れば、整形外科が最適な相談先なので、専門科で診てもらうと具体的な症状や原因が分かります。
診断を受けて治療に取り組めば、症状は軽減して消失する結果に結び付くでしょう。
ところが、肉体が原因な腰痛と、心因性を同時に発症している場合は厄介で、幾ら体の治療を行っても改善が見られません。
ここで初めて、精神的ストレスや鬱などが原因となっていた、と分かることもありますから、整形外科でよくある腰痛と診断の結果を得ても油断大敵です。
肉体的な原因と、心因性腰痛症とは原因こそ異なりますが、症状的には区別が付きにくく、医療のプロでも正しく判断できないケースがあります。
心の内面的な理由で症状が出るメカニズムは、自律神経の乱れと神経過敏によって、痛みの抑制力や弱まると説明できます。
健康的な人は、正常な自律神経の働きのお陰で、小さな痛みをあまり感じずに済んでいます。
一方、精神的なストレスや鬱が進むと、自律神経は痛みを和らげることができなくなって、些細な痛みでも大きく感じられるようになります。
加えて、心因性腰痛症とは、心の内面的な原因による総称ですから、精神的な不調が肉体的な症状を引き起こし、それが腰痛を発生させている場合もあります。
ストレスが原因となって発症したり、間接的に腰の痛みを生じる病気には、胃腫瘍や十二指腸潰瘍、胆石症や胃下垂などが挙げられます。
深刻な場合は、腹部大動脈瘤や胆嚢炎、それに大腸がんといった病名も並びかねません。
女性であれば、月経不順に月経困難症も考えられますから、一過性の痛みだとは判断せず、不調の大元となる原因を特定することが重要です。
このように、心因性腰痛症とは肉体的な痛みの後ろに隠れているものなので、専門科以外で心因性の特定は難しいのが実情です。
身体的な症状の原因になるストレスと欝は、心療科領域の治療対象ですから、相談先が根本的に異なるのが、この問題を複雑化させる要因となっています。
整形外科で検査しても異常がなく、治療薬や治療法を試しても改善しない時は、心因性が強く疑われます。
他の症状を同時に発症するのも特徴なので、首や肩の張りや痛み、胃の不快感や不眠なども判断材料となるでしょう。
原因になるストレスと欝に関しては、目に見えないからと軽視されがちですが、実は時に肉体だけの症状よりも深刻化することがあります。
ストレスは、自律神経の働きを悪くして痛みに対する感覚を麻痺させますし、鬱を発症して気が付かない場合も珍しくありません。
職場で人間関係や仕事が上手くいってなかったり、家庭内で家族の悩みを抱えているなどの思い当たる節があるなら、諸症状の原因になるストレスと欝に対処する必要があります。
腰痛は不調のバロメーターで、ストレスや鬱に気が付かせてくれることもありますから、気になったら心因性腰痛症とは何かを知り、疑ってみることをおすすめします。
深刻な症状ばかりが目立ちますが、案外強い思い込みも痛みを生むので、肉体的には何も異常が見付からないこともあります。
悩んで相談や診察を先延ばしにするより、思い切って原因を徹底的に調べた方が、安心したり解決できる可能性が高まります。
腰の痛み自体は、急性から慢性化していたり、姿勢に関係なく痛みを感じるのが特徴的です。
朝方に気持ちが晴れず、日中よりも痛みが強まる、あるいはストレスを感じる場面で痛むようであれば、十分に心因性の特徴に当てはまることになります。
勿論、これだけで判断することはできませんが、診察を受けたり相談する切っ掛けにはなるはずです。
精神的な負担が原因になるストレスと欝は、正義感の強い人や繊細な人、信念を曲げることが難しかったり、他人の目が気になる人が発症しやすい症状です。
つまり、誰でも発症する可能性はあるので、症状や原因に当てはまると思ったら、心因性の治療を得意とする専門科の医師に相談しましょう。