1991年の通称「三浦レポート」以来、日本ではカイロを「非科学的な医学的根拠のない無資格の医療類似行為」と判断し、法制化は難しいという立場をとっています。
そのような中でもカイロの有効性に関しては、国内外問わず、研究報告として様々な論文やレポートが発表されています。
2003年、日本の整形外科学会雑誌として国内で初めて『カイロプラクティックの現状とカイロプラクティックの急性腰痛に対する治療』という論文が、「東日本整形災害外科学会雑誌」 (第15巻第4号)に掲載されました。
さらに2005年にはカイロと教育~日本の場合~Vol.4【カイロ コラム~Vol.4】というカイロの研究論文が「日本腰痛学会雑誌」(第11巻第1号)に掲載されたのです。
それをきっかけに、その論文は同年「ペインクリニック」や「日本統合医療学会誌」など多くの学会誌に掲載されています。
徐々にではありますが、カイロの有効性が知られるようになってきたのは、この頃からではないでしょうか。
海外ではカイロの有効性を認めるレポートが多く発表されていて、WHOでは鍼灸等と同様の代替医療として認可されています。
1979年のニュージーランドで行われた調査報告『ニュージーランドレポート』以降、海外では数多くの研究報告が発表されているのです。
日本に比べて、海外のカイロ研究が進んでいる理由としては、カイロが医療行為の一環として認められていることが考えられるでしょう。
下記が、日本と海外のカイロに関する研究報告の一覧です。
ご覧いただくとわかるように、いくつもの研究報告の中で、カイロの有効性を唯一認めていないのが、冒頭部分でも触れた『三浦レポート』なのです。
その他は、すべて有効性が認められています。
日本と海外のカイロ関する調査研究と報告 |
||||
---|---|---|---|---|
研究調査名 |
年度 |
国名 |
研究責任者 |
有効性 |
ニュージーランドレポート カイロプラクティック調査委員会 |
1979 |
NZ |
イングリス委員長 (弁護士・法学部教授) フレイザー、ペンフォールド他 |
認める |
スウェーデン 代替医療委員会報告書 |
1987 |
SWE |
政府、教育者の代表と医師、カイロプラクター各1名 |
認める |
日本厚生省 脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究・三浦レポート |
1991 |
日本 |
主任研究者:三浦幸雄(整形外科教授) 研究協力者:石田肇他7名の整形外科医 |
認めず |
米国ランド研究 腰痛に対する脊椎マニピュレーションの妥当性 |
1991 |
米国 |
シェキリー主任研究者(大学教員) その他医師6名、カイロプラクター3名 |
認める |
カナダオンタリオ州政府 マンガレポート |
1993 |
CAN |
マンガ主任研究者(大学教授) 健康経済学者他3名 |
認める |
英国王室基金 ビングハムレポート |
1993 |
英国 |
カイロプラクティック特別調査委員会 |
認める |
米連邦政府ヘルスケア対策研究局 成人における急性腰痛の諸問題腰痛ガイドライン |
1994 |
米国 |
ビゴス整形外科医他23名のパネル委員とカイロプラクター2名 |
認める |
英国政府 腰痛の臨床業務ガイドライン 腰痛ガイドライン |
1994 |
英国 |
臨床スタンダード委員会 10名中カイロプラクター1名参加 |
認める |
カナダケベック州 むち打ち関連疾患に関する調査 |
1995 |
CAN |
ケベック州調査委員会 スパイザー委員長他34名の専門家 (カイロプラクター含む) |
認める |
英国腰痛運動とマニピュレーションの無作為試験 |
2004 |
英国 |
英国BEAM |
認める |
カイロプラクティックの 基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン |
2005 |
WHO |
WHOカイロプラクティック調査委員会 計26名(WHO、政府機関関係者含む) |
認める |
慢性非特異的腰痛管理 ヨーロピアンガイドライン |
2004 |
欧州 |
欧州委員会慢性腰痛ガイドライン委員会 9ヶ国11名の専門家(整形外科医、理学療法士、心理学者、麻酔科医他) |
認める |
米国内科学会および 米国疼痛学会による 統合臨床診療ガイドライン |
2007 |
米国 |
米国内科学会臨床有効性評価委員会および米国疼痛学会腰痛ガイドラインパネル計医師7名 |
認める |
運動器の10年・頚痛とその関連疾患の調査委員会 |
2008 |
BJD |
運動器の10年(BJD)調査委員会 |
認める |
NICE(英国国立臨床評価機構)ガイドライン |
2009 |
英国 |
NICE (英国国立臨床評価機構)調査委員会 |
認める |
BMA(英国医師会)腰痛・頚部痛ガイド |
2011 |
英国 |
BMA(英国医師会) |
認める |
急性と亜急性の頚痛に対する脊椎マニピュレーション、薬物治療、在宅運動指導の比較 |
2012 |
米国 |
米国内科学会 |
認める |
腰痛診療ガイドライン 2012 |
2012 |
日本 |
日本整形外科学会 日本腰痛学会 |
認める |