腰椎分離症や脊椎すべり症は、年配者に多い腰椎疾患です。
病気の原理は椎間捻挫とほとんど同じで、外的な主な原因は腰椎がずれる(すべる)ことで痛みが発症します。ぎっくり腰と大きく違うのは、滑ってずれた腰椎が元に戻らずに、ずれっぱなしということです。
これが、腰椎分離症とすべり症の大きな特徴と言えるでしょう。
腰椎分離症とすべり症は、症状や原因が似ているために、同じようなものだと誤解している人も多いのですが、根本的に違う病気になります。
腰椎分裂症の場合、椎骨棘突起が折れてしまい、腰痛が起こります。
脊椎すべり症の場合、椎骨がすべることによって腰痛が起こります。
こうした根本的な原因の違いがありますが、症状的に違いがありません。
腰椎分離症とすべり症は、ぎっくり腰などの急性の腰痛と違って、年配者に多く見られる腰痛です。それはどうしてなのでしょうか。それは、腰椎がずれたり折れたりしてしまう原因にあります。
この2つの腰痛を引き起こす主な原因になるものは、靭帯組織や椎間板の劣化によるものです。
劣化の原因は加齢によるもので、加齢が過負荷を起こしてしまうのです。若い年代では耐えられていた負荷が、年齢を重ねると共に過負荷になってしまうにも関わらず、若い頃の感覚でいるために、腰椎がすべってしまうことになるのです。
年齢が若ければ、靭帯も丈夫で柔軟性もあり、腰椎がすべっても瞬間的なものに留まり、すぐに元に戻ることが出来ます。加齢が進むと靭帯も衰えてきますので、すべってすまうと柔軟性がないために、元に戻すことが出来なくなってしまいます。
結果的に、そのまますべりっぱなしのままになってしまうのです。これが、年配者に腰椎分裂症とすべり症が多く見られる理由です。稀に、激しい運動をする若い世代に、腰椎分裂症が見られる場合があります。
急性の腰痛の場合、突然激しい痛みに襲われて、動くこともままならなくなりますが、腰椎分裂症とすべり症の場合、いきなり症状が現れるものではなく、加齢と共に徐々に症状が進行して行き、なんとなく気になるような違和感から始まり、慢性痛となっていきます。
腰椎がすべるときに神経を圧迫してしまい、坐骨神経痛も同時に発症する場合があります。
こうした痛みの出方から、激痛を起こすことはほとんどありません。
なんとなく痛い、腰に違和感があるような痛みのため、年齢的に仕方がないと思ってしまう人も多く、激痛ではないために我慢する人も多いのが現状です。
ですが、油断をしていると、脊柱狭窄症を発症してしまう場合があるので注意が必要な腰痛でもあるのです。脊柱狭窄症については【腰部脊柱管狭窄症】のページで詳しく紹介していますので、参照してください。
前述したように激しい痛みはありませんが、稀に下肢の痛みや痺れがある場合も有ります。
腰椎分裂すべり症 |
前かがみでの腰の突っ張り感、不安定感。 |
腰椎変性すべり症 |
長時間立つことでの腰痛や臀部痛。下肢に痺れが出る場合も。 |
先天性腰椎すべり症 |
先天的な形成異常。お尻が出た姿勢になる。腰痛の他に下肢痛も。 |
外傷性腰椎すべり症 |
外傷で骨折が生じ、腰椎がすべり出す。 |
病的脊椎すべり症 |
悪性の腫瘍や感染で生じる。 |
腰椎分離症の痛みは、腰痛症と同じような痛みが出て、稀に下肢の痛みや痺れが出ることもあります。
長時間同じ姿勢でいると腰が痛くなったり、背中を後に反らせたり、腰掛ける、立つ、歩くなどの連続して同じ動作を続けるのが辛くなります。
激しい運動をしている最中に、いきなり腰が抜けたようになることもあります。