山形県のご当地味噌汁からは、納豆汁とどんがら汁を紹介します。山形の寒い冬に、体の芯から温まるこの味噌汁は大変好まれています。納豆汁はいつでも食べられますが、どんがら汁のおいしい季節はやはり冬です。さっそく紹介していきましょう。
納豆汁はインスタントの味噌汁でも販売されていますので、全国的にポピュラーな味噌汁ですが、納豆嫌いな人には遠慮したい味噌汁かもしれませんね。山形県では、現在は少なくなりましたが、手作りした納豆で納豆汁を作って食べられていたのです。煮た大豆を藁の筒の中に詰めて、温かいこたつの脇などに2昼夜ほど置いておくと納豆ができます。この納豆を味噌汁にしてとろみがついたものは、体をポカポカ温めてくれるのです。俳句では冬を表わす季語にまでなっています。納豆は江戸時代にはすでに食卓に上がっていた物ですが、納豆単品ではなく、納豆汁として食されることの方が多かったのです。
納豆汁に使われる納豆の効果として知られているのが、ナットウキナーゼの働きによって、血液がサラサラになるということです。これにより、血栓ができるのを防ぎ、しいては脳血栓や心筋梗塞などの血栓症の予防にもなります。更にはO-157まで防げるというのですからまるで薬のようですね。また、納豆に含まれるビタミンK2が骨粗鬆症を防ぐのにも一役かっているのです。「東海道中膝栗毛」の十返舎一九は毎朝納豆汁を飲んでいたそうです。あやかってみませんか?
納豆汁の作り方なんて簡単なんじゃないの? 味噌汁に納豆を入れるだけでしょ? そうおっしゃるのはインスタント味噌汁でしか納豆汁をご存じない方かもしれません。本場の納豆汁の作り方を紹介しましょう。
・納豆 1パック ・こんにゃく 1/2枚 ・味噌 大さじ5杯 ・豆腐 1/2丁
・きのこ類 適宜 ・長ネギ 10cm ・いもがら 2本 ・山菜(あれば) 適宜
・芹 少々 ・油揚げ 2枚 ・だし汁 5カップ
どんがら汁ってなんだか分かりますか? 寒鱈で作る汁のことです。1月が旬の寒鱈を丸ごと1本使って作ります。頭も内臓もぶつ切りにして味噌仕立てにし、脂ワタと呼ばれる肝が深いコクを出します。これが入っていないと本物のどんがら汁ではないと言われるくらいです。庄内では時期になると、各地で寒鱈祭りが催され、観光客はもちろんのこと、地元の人達にも人気があり、大変にぎわいます。
普通の鱈と違い、冬の極寒の季節の鱈は、産卵のために回遊してきます。とても脂がのって太って丸々としています。そのため、特別に寒鱈と呼ばれているのです。寒い冬の時期の鱈が特別おいしいのはこういうわけなのです。
鱈で捨てるところは尾の先と胃の中身、腸だけです。あとは全て使いましょう。白子が絶品なのでお勧めは雄ですが、値段もおいしさに比例してついてくるのがお財布には痛いですね。
・鱈 小さめのを1本 ・大根350グラム ・豆腐 300グラム ・しめじ 適宜
・人参 1/2本 ・長ネギ 1~2本 ・水菜 適宜 ・水6カップ
・だし用昆布 10cm ・味噌 70g前後(お好みで)