新潟県のご当地味噌汁として、スキー汁とげんぎょ汁とゆうのがあります。地元の人でなければわからないご当地ものですが、スキー汁とはあのゲレンデを滑るスキーでしょうか。げんぎょも感じで書くと「幻魚」と書き、冬にしかとれない魚です。深海300mほどの所に生息している魚を使った味噌汁です。
スキー汁はスキー場で出されていたので「スキー汁」と呼ばれています。上越地方で盛んに作られていた味噌汁で、体が温まるのでスキー客にも人気でした。地元の給食のメニューにも登場しているほどなのです。上越地方は日本で初めてスキーが伝わった地なのですが、それを伝えたのはレルヒ少佐です。これが明治44年のことでした。金谷山では多くのスキー客が訪れるようになり、大鍋に仕込んでおくと冷めにくく、栄養が豊富なことから人気を呼び、旅館や茶屋でも出すようになって広まっていきました。
スキー汁に使われる具材にはそれぞれ意味があります。上越調理師会のメンバーが、正しいスキー汁の作り方を伝えたいとのことで考案されたレシピからなります。それでは具材の意味を紹介しましょう。
材料だけを見ると豚汁に煮ていますが、豚汁につきもののジャガイモは入りません。代わりにさつまいもが入ります。
・大根 30g ・人参 20g ・サツマイモ 30g ・つきこん 30g
・豆腐 40g ・豚もも肉 20g ・長ネギ 20g ・生椎茸 6g
・ゴボウ 10g ・味噌 20g ・煮干し 3g
新潟県上越地方の冬の珍味とされているげんぎょ日本海からオホーツク海にかけた深海でとれる魚です。コラーゲンを含むぬめりのある魚で鍋や汁物に使われます。干物にすると旨みが増す魚です。鮮度が命の魚で、新鮮なものはとても美味しいのですが、鮮度が落ちるとまずくて食べられたものではありません。とても極端な魚なのです。そのため、地元で食べる分には美味しい魚ですが、地方に運ばれるとあまり美味しくない魚になってしまいます。げんぎょをフリーズドライにしたサプリメントまであるくらい栄養豊富な魚です。
げんぎょ汁を作るのはとても簡単です。一般的には味噌ベースですが、しょうゆベースでもおいしくいただけます。げんぎょは内臓と頭をとってぶつ切りにし、鍋にお湯を沸かして沸騰したらぶつ切りにしたげんぎょを入れます。アクが出ますので取り除きながら煮込みましょう。げんぎょが煮えたら小口切りにした長ネギを入れ、味噌を溶き入れて一度煮立たせてできあがりです。簡単にできますが、げんぎょの時期があること、簡単に手に入らないことから、新潟地方に行く機会があったら食べてみましょう。