りんごの実すぐり時期に訪問
日常生活の中で、何気なく食べている『りんご』。
色々な果物の中でも、「りんご大好き!」という人も多いのでは?
今回は、私たちに馴染み深いりんご。りんごのあれこれを伺いに、りんご発祥の地・七飯町大川果樹園を訪問しました。
―初めまして。今日は取材を受けて下さり、ありがとうございます。早速ですが、まずは果樹園での作業形態について聞かせ下さい。
現在は、男性三人、女性四人の計七人で作業しています。
作業時間は基本的に午前八時から午後五時まで。十二時から一時半までは休憩時間ですが、収穫時期には陽が落ちるのも早まるため、一時から作業します。
作業は毎日します。
ただ雨の日は、雨露で効率が悪くなるので行いません。
―効率よく作業するにはチームワークも大切だと思いますが、そのチームワークを良くするために何か心がけていることはありますか
朝十時から三十分間は、コーヒーブレイクを入れるようにしています。
この時間は作業員全員のコミュニケーションの場にもなるし、ちょうどいい気分転換にもなっています。それに何をするにもそうですが、集中力ってそう長く続かないですよね。
高い所での作業もあるので、集中力が切れてしまうと危険なんです。そうならないためにも、コーヒーブレイクを大事にしているんですよ。
大川果樹園では、敷地内に約二千本以上の樹を栽培しています。
摘果や実すぐり、袋かけなど、りんごを収穫するまでには色々な作業がありますが、その一つ一つ、全ての作業がとても大変です。
大変な作業も『他園よりも、より美味しいものを』という栽培モットーのもと、スタッフ全員が協力し合って行われています。そんな生産者の熱い想いが、美味しいりんごを作り上げていくのでしょうね。
りんごがボケる!?
りんごについての様々な質問にも答えていただきました。日頃感じている素朴な疑問が解決できるかもしれませんよ!
―花が咲く時期と実のなる時期を教えて下さい。
りんごの花が咲くのは、桜が散ってからですね。「桜が散って寂しいな」そんな時は、果樹園にりんごの花を見にきて下さい。
白くてとっても可愛い花ですよ。実のなる時期は、その年の天候にも左右されますが、基本的には九月初めです。
―1本の樹からは、どのくらいの数のりんごが収穫できるんですか。
樹の大きさによって、採れるりんごの数も違います。他にも、りんごの品種や剪定、摘果のやり方、気候、土壌の状態などによっても違うので一概には言えません。
―『葉とらずりんご』というものをよく聞きますが、それはどうして葉を取らないんですか
葉とらずりんごの特長は、味の良さ。葉が多いほど養分が沢山摂れるので、美味しくなります。でも、葉の陰に隠れて実にあまり日光が当たらないので、着色不良になってしまいます。見た目が悪くても、味は美味しいので、是非食べてみて下さいね。
大事なのは、中心果
りんごの摘果は真ん中の実を残して、端の実を切ります。この時に残す真ん中の実を『中心果』と言います。この中心果には多くの栄養分があり、直径三~四センチの大きさ。
万が一、中心果が駄目な場合は、残念ですが周りの実も全て切ってしまいます。周りの実は「さび」がついたり、落ちやすくなっています。
―苦労の末、ようやく実った沢山のりんごをどうやって収穫するんですか。
りんごは全て手摘みです。傷がついてしまうので、絶対にゆすって落としたりしないように慎重に行います。一番緊張する瞬間かもしれません。
―収穫には、どれくらいの日数がかかりますか。手摘みなので、かなり時間がかかるでしょうね。
そうなんです。手摘みのため、時間がかかるのもありますし、品種や実の具合によって収穫時期が違います。いっぺんに収穫できないので、毎年九月末から十一月中旬にかけて行っています。
―収穫したりんごは、どこに出荷されるんですか。
主な出荷先は、自家直売所です。なので、もぎたてを食べることができるんですよ。そのほかでは、農協や市場に出荷しています。ブランドりんごなんかは直売所や農協だけでなく、全国に発送されているんですよ。
■北海道函館市七飯町にある「特産りんご」の直売所
―スーパーなどに行くと一年中販売されていますが、一番美味しい時季はいつですか。
また、どうして一年中スーパーに並んでいるんですか。
品種にもよりますが、収穫したばかりの秋から冬にかけてが一番美味しいと思います。
年中店頭にあるりんごを見て不思議に思う人もいるかもしれませんが、これは収穫したてのりんごを『ガス冷』という方法で保存しているからなんです。完全密封で新鮮さを閉じ込めてしまうんですよ。
―りんごを触ると、表面にぬめりのようなものがありますが、あれは何ですか。
表面のぬめりは『ボケサイン』と呼ばれるもので、りんごから出る成分です。
腐らないようにするための自己防衛反応なんですよ。
ちなみに、『ボケ』とは、シャキッとしていないという意味です。
なので、食べ頃が過ぎてぼふぼふになることを「りんごがボケた」と言います。
―「りんごがボケた」ですが……この言い方は、知りませんでした。なんか面白いですね!
そうですね。
でも、「りんごがボケる」という言い方は、人によってもそうですが、地域によって通じないところがあるみたいです。
全国共通の言い方じゃないみたいですね。
―美味しさを保つための保存方法を教えてください。
直売時には、保冷庫に入れています。
家庭では、薄めのポリ袋にりんごを入れて、密閉した状態で野菜室に入れるといいです。
ポリ袋の中に新聞紙を入れて、そこにりんごを入れ密閉し、野菜室で保存すれば一ヵ月は日持ちします。
―私たちにお馴染みのりんご『つがる』と『ふじ』。この二種類に、味の差はありますか。
実は、つがる種の親は「ふじ」なんです。なので、味も似ているところはありますね。
それぞれ日持ちと硬さが違って、「ふじ」のほうが日持ちして、シャキッとした硬さがあります。
「つがる」は果汁たっぷりで甘みも強いのが特長です。
ただ味は個人差がるので、どちらが美味しいかは食べる人の好みによります。
―続いても品種についての質問なのですが、
『サンふじ』と『ふじ』の違いは何ですか。
どうやって見分けるんですか。
サンふじの『サン』は太陽のSUNに由来していることから、無袋栽培。熟したものから色づくため、何回かに分けて収穫しなければならないので手間がかかります。一方のふじは有袋栽培。一気に色づくので、着色がよくなります。
簡単な見分け方として、『サンふじ』はくすんだ赤、『ふじ』は鮮やかな赤色をしています。
ハンドルネーム:Kanoko
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●すまい:はこだて
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