りんごは寿命の長い作物といわれています。
苗木を植えてから実がなり始めるまでに約4~5年、大事に育てるとそれから約数十年間は実をならせ続けることが可能です。
りんご栽培のほとんどは手作業で行われ、農家の人々が1粒1粒を丹念に育てていきます。
ではりんご農家ではどのような栽培がされているのでしょう。
ここでは、りんご農家の1年を季節ごとに追ってみました。
秋の収穫が終わり、ひと段落した頃新たな収穫に向けての準備が始まります。まず、"皮削り"という作業を見てみましょう。
これは幹の粗皮を削り、その下に潜む害虫(ダニなど)やその卵を駆除する作業です。また、これによって消毒も当てやすくなるとか。
次に、"剪定(せんてい)"という作業を見てみましょう。
1粒1粒のりんごに万遍なく日光が当たるように、余分な枝を切り落としていきます。その年のりんごを決めると言われるほど、大切な作業です。
りんごの花が咲き始める頃、農家の人々は"摘花"という作業に追われます。
余分な花を摘むことで、1粒のりんごに十分な栄養が集まるようにするとか。また、"受粉"をするのもこの時期です。人工受粉のほかに、ミツバチやマメコバチを使った受粉も行われています。
それらの作業が終わると、今度は"消毒"です。りんごは害虫の被害を受けやすいよって、この消毒作業は欠かせません。
夏になると、実を付け始めます。
しかし多くならせすぎると実が小さくなり、木も弱って翌年には実を付けなくなるとか。
よって、余分な実を摘むいわゆる"摘果"という作業を行います。
これによってりんごの数を調整、実の成長を促します。摘果が終わると、今度は"袋かけ"です。これは害虫の侵入を防ぎ、りんごの色と見栄えをよくするために行います。ちなみに無袋栽培のりんごは多少見劣りするものの、日光がよく当たって味が良くなるとか。
"サン○○"と呼ばれるりんごはたいてい無袋栽培種なので、ぜひチェックしてください。
さぁ、りんご狩りの季節になりました。農家でも、最終段階"収穫"に向けての作業が行われます。
葉を摘んで、満遍なく日光を当てるようにするいわゆる"葉摘み"によって色付きを良くします。 また、翌年の成長を促す"試肥"も欠かせません。これらの作業が終わると、待ちに待った"収穫"です。
収穫期は品種によって異なり、8~11月頃まで続きます。
よって、天災(台風など)への注意も必要です。 収穫されたりんごは冷蔵庫に"貯蔵"され、出荷のときを待ちます。その後冬の訪れとともに、りんごの木々たちも春の一斉発芽に備えて深い眠りにつくのでした。
こうして、農家の1年は過ぎ去っていきます。
確実に実らせるためには、人工的な"受粉"が必要になります。これはとても大変な作業、昔はたくさんの人手&時間が必要でした。
ところが近年では"マメコバチ"という蜂の協力によって、作業時間および労力ともに軽減されています。
では、このマメコバチとは一体どのような蜂なのでしょう?
マメコバチ(成虫)はアシガヤの中で春を待ち、5月上旬ころ冬眠から目を覚まします。脱出後すぐに交尾をはじめますが、雄蜂はその直後に息絶えてしまうとか。交尾を終えた雌蜂はりんごの花から花へと飛び回り、休むことなく花粉を集めてはアシガヤへと運びます。
この際、マメコバチが腹部に抱えた花粉(オシベ)が他品種のメシベにくっ付き受精。それによって実ったりんごが赤く色づく頃、成虫になったマメコバチは深い休眠に入ります。このように栽培にはマメコバチの協力が欠かせません。
私たちが"りんご狩り"を楽しめるのも、農家の人々とマメコバチの努力があってこそ。
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