広東醤油
醤油は、私たちのお台所や食卓テーブルの上で欠かせない調味料の一つです。日本語では醤油を「正油」とも書きますが、醤油の本場である中国では絶対通じない漢字ですのでお気をつけてください。醤油は、中華料理と和食でよく使う調味料です。広東料理ではしょうゆのことを「生抽(中国語でshengchouと発音します)」、「老抽(中国語でlaochouと発音します)」と言います。
広東醤油の種類
広東醤油は大きく「生抽」と「老抽」に分けることができます。抽というのは「取り出す」という意味ですが、両方とも醸造醤油です。広東料理で一般的によく使われるのは、前者です。なぜなら生抽は老抽より色が薄く、味がまろやかなので色彩を大変重宝している広東料理に一番合うからです。しかし、料理の色を濃く出したい時には老抽を使います。
広東醤油の特徴
生抽
生抽は色が薄く、見た目は日本の薄口醤油に似ています。でも、味は大変濃いので、日本の薄口醤油の感覚で料理に入れたら大変なことになります。色が薄く、味が濃い生抽は、サラダと炒め料理によく使われます。チンゲン菜、菜の花など特に緑の色を出したい料理に、広東の人はよく使います。
老抽
老抽は、キャラメルが入っている甘味が強いしょうゆで、主に料理の着色として使われますので、「トンポーロー」など色を出す煮込み料理に向いています。老抽は生抽をベースにして搾り出したしょうゆを更に2~3ヶ月寝かし、沈殿とフィルタにかける複雑な過程を経て作ったものです。その製造過程は、生抽より複雑で手間が大変かかりますが、複雑な製造過程と何ヶ月という時間をかけているので、味に非常に深みがあります。生抽は口に入れた瞬間「塩辛い」という印象ですが、老抽は「甘い」という感じです。
醤油の元祖は中国
醤油は「豆醤」が変化と発展を遂げ誕生した調味料で、中国では宋の時代から醤油という名前を使っていました。しょうゆが中国から日本に伝わってきたのは、紀元755年前後です。その後韓国、ベトナム、タイ、マレーシア、フィリピンなどに伝わりました。しょうゆに使われている原料は、植物性たんぱく質と澱粉質で、大豆と小麦は製造に欠かせないものです。中国で大人気な「海鮮醤油」はえび、ホタテなどの魚介類のだしが入っていて「高級醤油」という別名も持っています。海鮮しょうゆは1瓶(500ml)10元前後もするので普通のものに比べると割高ですが、発売当時から売れ行きが良いそうです。
広東醤油の値段
「中国は物価が安い」と思っている日本人は少なくありません。確かに発展途上国である中国は全体的な物価が日本よりまだ安いです。しかし、中国は大都会と地方都市、沿海都市と内陸都市、特別区と一般都市の格差がとても大きいです。富裕層と貧乏人の生活水準、経済レベルがまったく違うので一つの商品にしても値段は様々です。ビニール袋に入っていて、今にでも袋が破れそうな醤油は一袋1元(1元は約16円です)です。でも、しっかりした瓶に入っていて有名醤油メーカーが出しているものは、日本の醤油と変わらないお値段です。広東省は、中国でいち早くから改革解放政策を実施した都会なので、中国国内でも物価が高いです。
広東醤油に合う中華料理
生抽は広東料理で最も一般的に使われている醤油で色が薄く、味がしっかりしているので、中華素材で作るサラダに非常に合います。その独特な風味と黒酢がきいたきゅうり、白くらげ、にんじん(ニンジン)の和え物は広東の人がよく食べる家庭料理です。老抽は分かりやすく言えば広東のたまり醤油で、黒砂糖を加えキャラメル状に作っています。粘りが強く、色が濃いので料理の仕上げに用います。
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