広東麺(かんとんめん)
日本で「麺」といえば、ラーメン、そうめん、うどん、そば(蕎麦)、焼きそば、坦々麺などを指しますが、中国の「麺」の範囲はとても広く、日本で言う「麺」のほか、パン、中華まん、ナンなども中国では「麺食」と言います。中国で麺料理を食べ始めたのは、今から何百年前からです。中国の麺は、横浜が海外に開港したことをきっかけに、日本に伝わってきました。寿司、刺身と肩を並んで日本料理の定番として世界の人々に親しまれている「うどん」は、実は中国から日本に伝わってきたことです。
上海に広東麺がない?
中国に旅行に行ってきた友人がとても面白い話をしてくれました。お昼ごろ上海のある麺料理の専門店に入ってメニューをみたところ、何十種類にのぼる麺料理の中に広東麺がないことに気が付きました。麺好きな友人は1日のうち、一食は必ず麺を食べるほどですが、その中でもいろんな野菜が入る広東麺が好きだそうです。せっかく中国に来たので本場の広東麺を絶対食べられると胸を膨らました友人は、とてもがっかりしたそうです。「広東麺は広東に行かなければ食べられないのでは?」という私の一言に友人は妙に納得した様子でしたが、後で調べてみたら意外な事実が判明されました。
広東麺は日本人が作った?!
「ラーメンの本場は中国」と思っている日本人は少なくありません。ラーメンを中国語で書くと「拉麺」、「lamian」と発音しますが、上海にラーメン屋ができたのはここ2、3年の話です。中国語で「拉」は、「引っ張る、伸ばす」という意味で「拉麺」は、小麦粉などの生地を伸ばした麺の総称でもあります。ラーメンは、日本人の食生活に欠かせない「国民食」と言っても過言ではありません。麺と汁でできたラーメンは、種類が多く、バリエーションが豊富であるだけではなく、値段が手ごろなので「大衆食」とも言われています。
広東麺のほかに「天津丼」
日本のラーメン屋さんが上海に進出していることは、「ラーメンは中国が本場」と思い込んでいる日本人にとっては大変皮肉なことかも知れません。しかし、ラーメンのほか、「天津丼」も日本人が「発明」したことはご存知ですか? 天津は、1000万人以上の人口を持っている中国の直轄市です。北京から天津までは、車で2時間もしません。天津はまた中国北方最大の港として、中国で重要な貿易港の役割を果たしています。しかし、残念ながら大都会の天津に「天津丼」はありません。誰が「天津丼」という名前を考え出したかは分かりませんが、天津に行った時にはくれぐれも「天津丼」を注文しないようお願いもうしあげます。
広東麺から更に
日本人はほかの国から伝わったものを、自国の習慣と好みに合わせ色々変化をつけて、新たなものに作り変えるのが本当に上手です。中華料理(中国の地名)の名前と和食メニューをミックスして生まれたメニューには、「天津丼」、「広東麺」、「マーボー豆腐丼」、「中華丼」などがあります。この三つの「丼」に共通するものは、どれも「とろみをつけていること」、つまり片栗粉を使っていることです。日本で紹介している中華料理レシピを見ると、調味料の欄に片栗粉が入っていないレシピは少ないです。日本人は、どうやら「とろみ」が好きなようです。
広東麺とウーロン麺
広東麺は聞いたことがあるし、食べたことがある日本人は少なくありません。しかし、「ウーロン麺」を食べたことがありますか? 「ウーロン麺」という名前を初めて聞く方がほとんどだと思いますが、ウーロン茶と小麦粉を混ぜた麺だと勘違いしている人もいるでしょうね。「烏龍麺」は実は、「うどん」の中国語読みです。「うどん」は、中国では外来語として「ウーロン(烏龍)麺」と表記しています。でも、黒烏龍茶は普通のウーロン茶より脂肪燃焼効果が高いと言われているので、黒烏龍茶を小麦粉に混ぜてうどんを作るのは案外良いかも知れませんよ。
広東麺レシピ
材料(3人分)
白菜(3枚)、にんじん(半分)、ピーマン(2個)、しいたけ(3個)、たけのこ少々、チンゲン菜(1束)、木耳(きくらげ)少々、長ネギ(1束)、生麺3束
調味料
塩少々、醤油大さじ2杯、砂糖大さじ1杯、胡椒少々、中華スープの素大さじ1杯、サラダ油大さじ1杯、ごま油少々、水溶き片栗粉少々
作り方
- 全ての野菜を食べやすいサイズに切り、加熱ボールに入れラップをしてから電子レンジで2分ほど加熱します。(電子レンジで事前に加熱することによって、サラダ油大さじ2杯分のカロリーをカットできます)
- 木耳は水に戻し、一口サイズにちぎります(硬い部分は取り除きます)。
- フライパンにサラダ油を入れ、葱を炒めます。
- 葱の香りがたってきたら加熱済みの野菜を入れ、合わせ調味料も同時に入れ素早く炒めます。
- 水溶き片栗粉とごま油をかけ、仕上げます。
- 大き目の鍋で麺をゆで、作っておいたあんかけ野菜をのせたら「あんかけ広東麺」の完成です。
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