風もまた気象現象の一つとして、おなじみですよね。私たちは風からも天気や季節の変化を感じ取ります。地球科学の要素として重要なものです。ときに風はちょっとした問題を起こし、それが災害につながることもあります。
どうして風が吹くのか、その正体に迫ってみましょう。風とは、空気の流れのことをいいます。空気の、ある性質によって生まれます。
空気は温まると風船のようにふくらんで軽くなり、どんどん上に上がっていく性質を持っています。反対に冷えると小さく縮んで重くなり、下に下がっていく性質を持っています。
こうして上下する空気の流れを“対流”と呼びます。この対流によって、風が発生するんですね。
風速というのは、地上気象観測で地上約10mの高さでの10分間に吹く風の平均的な速さをあらわします。空気が動いた距離と、かかった時間の比率で風速がわかります。風速をはかるには、風速計を用います。
今まで風向は、風が吹いていく方向だと思っていた人もいるでしょうね。実は風向というのは、風が吹いてくる方向なのです。風向をはかるには風向計を用いますが、ない場合は、煙突からの煙や雲の流れなどで、だいたいの風向を予測できます。
※気象庁などでは、風速計と風向計が合体した「風車型風向風速計」というものを使って、常時観測しているんですよ。
天気予報を見たり聞いたりしていると“フェーン現象”という言葉がたまに出てきますよね?気温がものすごく高くなったときの理由として、使われることが多いのではないでしょうか。フェーン現象とは、山から乾いた暖かい風が吹く現象のことをいいます。ここで、フェーン現象のしくみを見てみることにしましょう。
① まず、湿った風が山へのぼっていき、雲を作ります。
②
その雲が山に雨を降らせます。
③
そして、降らせ終わると雲は消え、乾いた熱い強風となって、吹き下りてくるのです。
ただ、雨が降らなくても、気温が高くなることも多いですね。それは、山を越えるときに空気が混ざって、湿度の高い上空の空気が一緒に引き下ろされるためだとされています。ところで、フェーン現象の“フェーン”には、どんな意味があるのでしょうか?
実はこれ、ドイツ語で、アルプス山脈に吹き渡る乾燥した暖かい風のことを指しています。日本では、この現象はおもに春に日本海側の地域で起こります。このフェーン現象によって、山でなだれが起きたり、山火事などを引き起こすこともあります。
偏西風…これもよく耳にする言葉ではないでしょうか。この偏西風は“ジェット気流”とも呼ばれ、日本の上空12~16kmのところを吹いている強い西風のことをいいます。北極を中心に蛇行しながら、地球のまわりをグルグルとまわるように、西から東へと吹いていきます。偏西風は、まさに地球科学という言葉にふさわしい理由で、発生しているんですよ。
北極・南極と赤道近くの温度差、それから地球の自転との関係で、発生しています。一方で、偏東風というものもあります。偏西風に比べて聞き慣れないかもしれませんが、地球のまわりを東から西に向かって吹いている風です。また、偏東風は貿易風とも言われています。
これは昔、まだ飛行機や自動車などの交通手段がなかった時代に、商人たちがこの風を利用して海路貿易を行っていたことからきています。さらに、偏東風は北半球で吹く北東貿易風と、南半球で吹く南東貿易風に分けられています。
気象現象の一つになっている風は、自然のものですよね。地球科学に関することは、すべて自然界で起こります。今は、人工的に発生させる機械なども開発されていますが、やっぱり自然のものにはかないません。
風は日本をはじめ、世界中でいろんなことに利用されています。まず、第一に挙げられるのは風力発電でしょう。最近は、風力発電機を結構見かけるようになりました。
風力発電とは、風の力を利用して風車をまわすことで、電気を作り出すというものです。環境のことを考えた、地球にやさしいエネルギーとして注目を集めています。
そのほか、乗り物や遊び、スポーツなどにも風は欠かせません!ジェット気流を利用して飛行機は飛びますし、ウィンドサーフィンやヨットは風を受けながら海上を走ります。また、パラグライダーは山の斜面をかけ上がる上昇気流にのって、空中散歩をしますし、スカイダイビングにも必要ですね。たこ揚げなんかも、風がなければ楽しめない遊びの一つといえるでしょう。