大昔に発見された地磁気ですが、その役割は何なのでしょう?もう少しだけくわしく見ていく必要があるようですね。まだわかっていないことが多いものだけに、地球科学の分野でも大注目です。地磁気から、地球のしくみが分かるのかもしれません。
地球の磁界(磁気)といわれる地磁気は、方角を知るためにとても重要な役割を果たします。地球科学の分野の一つ、天文学でも“方角”は欠かせないキーワードになります。
地磁気は、ほぼ北向きの磁場になっていますが、磁石の重心をちょっとずらしてみると日本のまわりではN極が下向き加減になります。このことから分かるのは、磁場が上のほうから地球の中に向けて広がっているということ…。
また、南半球では上向きの磁場に、赤道のあたりでは水平、極では垂直になってしまいます。ちなみに、方位磁針がかたむかないように、金属線を巻いてバランスが保たれているんですよ。日本では大丈夫でも、海外では、方位磁針のバランスがくずれてしまうこともあるので、気をつけましょう。
昔から、地磁気と地球の自転は密接(みっせつ)に関係することがわかっています。それは、地磁気のN極とS極を結ぶ軸(じく)が、地球の回転軸とほとんど同じだからです。
地磁気を解明(かいめい)すると、地球科学のいろんな分野で役立つことが増えるでしょう。地磁気の変化は、地球の自転に応じて、1日周期といわれています。これを「地磁気の日変化」と呼んでいるんですよ。
この「地磁気の日変化」は、ゆっくり何時間もかけて変わるので、実際に自分の目では見ることができません。これを見るには、「吊り磁石式地磁気変化計」というものを使います。南北に向けた磁石を、鏡のついた細い糸にぶら下げます。磁石がまわって、少し鏡の向きが変わります。「吊り磁石式地磁気変化計」も同じしくみで作られています。
「地球科学や地磁気って、スケールが大きくてよく分からない…」という人もいるかもしれませんね。もっと身近なことで、見てみましょう。たとえば普通の磁気は、どんなことに使われているでしょうか?
すぐに思い浮かぶのは、心臓のわるい人がつけているペースメーカー。あれは、磁気の力で正常に動いています。また、それだけではなく、機械類はすべて磁気によって、作動しているんですよ。
さらに、リニアモーターカーなども磁気の力で動きますね。地磁気といわれるとむずかしいと思いますが、身近で磁気を使っているものを探してみてください。ほかにも、たくさんありますよ!
地球の内部でつくられていると言われる地磁気と同じように、地球の内部から発生するものに地震があります。実際のところ、地震を起こす地殻変動のためには、今の地磁気よりも、もっと強いものが必要です。とはいえ、もし地磁気で地震を予測(よそく)できたらいいですよね?ですが、地震の前に磁場の変化が見られたという報告はないのが現状です…。全然観測ができないというわけではないので、地球科学の分野でもさまざまな研究が進められています。一方、火山の噴火については、地磁気がその予測に役立ったという報告がいくつかあります。この火山噴火も地震とは大きくかかわっているため、本当に地磁気で地震の予測ができるようになる足がかりになるのではないでしょうか。まだ、だいぶ時間はかかると思いますけどね。