現在、最も有名なご当地やきそばが静岡県富士宮市の富士宮焼きそば。そのおいしさで日本各地からB級グルメ王を競うB-1グランプリにて優勝したほど。おいしいのはもちろんなのですが、プロデュースの上手さも大したもので、巧みな宣伝によって一気に全国区にのし上げました。今では町おこしのモデルとしても注目されています。
富士宮焼きそばとは
市民有志の草の根運動によって、一躍有名になったのが富士宮焼きそばです。横手やきそば、太田やきそばと三国同麺なる地域交流を行うなど、その活動は高く評価されています。独自の製法によって腰のある麺、一風変わったトッピングなどそのものの魅力も高く、ますます活躍が期待されるところです。現在ではカップやきそばを始め、麺やソースのネット販売など、地方でも楽しむことが出来るようになりました。
麺について
富士宮焼きそば最大の特徴がこの麺。他のやきそばは製麺所で蒸した後、さらに茹でるのですが、この茹でる工程がありません。替わりに冷やして、麺に油を塗りこむという方法で作ります。この結果、大変コシのある麺に仕上がるのです。麺が固めであるせいか、ソースも少し辛めにして、良く噛む必要があるやきそばに、ソースが力負けしないようになっています。
具材について
富士宮焼きそばは、具材のほうもなかなか独特で、一番に目を引くのはただの豚肉ではなく、肉かすを使用するところでしょうか? 肉かすとは豚肉からラードを絞った後のもの。豆乳とおからみたいな関係だと思えばいいでしょう。それにカツオブシではなくイワシの削り節(ダシ粉)を使用するのが基本です。肉かすは余り物であり、安く使用できたためによく使用されていたという話ですが、現在の人気のおかげで肉かすのほうが利用価値が高まり、かえってラードの方があまってしまうくらいだとか。ただ、普通富士宮焼きそばを炒めるのにはラードを使うのが一般的なので、共存共栄ということかもしれませんね。
富士宮焼きそばの歴史
富士宮焼きそばとはいえ、最初は他と変わらない焼きそばであったらしいです。しかし、この地方には零細なお好み焼きを食べさせる店が多く(副業でやきそばをやっていた)そういったお店のために麺を茹でない製麺が考案されたのです。つまり、麺の水分を極力増やさない方向で製麺したため、日持ちがするわけです。水分の無いインスタントラーメンが日持ちするのと一緒ですね。また、小さなお店がおやつ代わりに提供していることが多かったため、安く仕上げる必要がありました。そのため安価な肉かす・イワシ節を使用するようになったとされています。今では豚肉自体も安く手に入るようになりましたが、 やはり富士宮焼きそばには肉かすでなければ、というファンも多く、現在でも肉かすを使用するのがスタンダードのようです。まさに土地の事情が作り上げたといえるでしょう。
富士宮焼きそばのレシピ
とりあえずは麺が特徴なので、出来れば通販などで仕入れたいところですが、そこまでは・難しいというのもあるでしょう。ここでは普通のやきそば麺を使用した富士宮(風)やきそばを作ってみましょう。
材料(2人前)
- 焼きそばの麺 2袋
- ソース 適量(辛めのソース推奨)
- ラード 適量(炒め油にします。なければサラダ油)
- 豚肉 100グラム
(ラードを使うなら肩など脂が少ない部分、使わなければ脂の多い肉で) - キャベツ 葉っぱ2~3枚ほど
- イワシ削り節 適量
富士宮焼きそばの作りかた
さすがにのコシをそのまま再現するのは無理なのですが、普段よりやや固めに仕上げる方がそれらしくなります。
- キャベツを刻みます。普通より細めに切るのが富士宮流。豚肉も一口サイズに。
- 1の具材をラードで炒め、火が通ったところで皿にうつします。
- 焼きそば麺を水洗いして、丁寧にほぐします。
- 焼きそば麺を焼きそばの袋で指定された水で蒸しあげていきます。少し水を減らしてもいいでしょう。
- ある程度水分が飛んだら、2の具材をと混ぜ合わせます。
- 具材が混ざったところでソースと絡ませて、皿に盛り付けます。
- イワシの削り節、好みでベニショウガなどをトッピングしたら完成。