お好み焼きには2大勢力があり、大阪を始めとした関西風お好み焼きと、ここで取り上げる広島風お好み焼きです。両者は発祥からして違うのですが、普通の関西風お好み焼きではやきそばが入らない(トッピングとして焼きそばを入れるモダン焼きがありますが)のが大きな特徴になります。
広島風お好み焼きとは
小麦粉の生地の上に、野菜などと一緒に焼きそばをのせて焼いたお好み焼きの一種です。関西風ではトッピング扱いの焼きそばが、デフォルトで入っているのが特徴になります。その他に広島では関西風お好み焼きを「混ぜ焼き」と呼ぶことがあるように、具材と生地を混ぜないのも大きな特徴です。そのため、生地・麺・具材はそれぞれ独立した層を成すことになります。
広島風お好み焼きの歴史
終戦直後あたりから、お好み焼きの原型が食べられていましたが、正式に「広島風お好み焼き」というものが誕生するのは1950年頃、当時屋台が集まっていた屋台街と呼ばれる地域で「みっちゃん」なるお店が始めたのが広島風お好み焼きである「広島焼き」の元祖とされています。この当時はまだ、そばは入っておらず、具そのものネギ程度であったとされています。また、クレープ状に半分に折って供されることが多かったようです。次第にネギはキャベツになり、そばを挟むことがスタンダードになり、現在の広島風お好み焼きが完成したとされています。今ではそばではなく、うどんを挟むことも多いとか。
雑学その1・広島焼きってなにさ
広島の人に「広島焼きっておいしいよね?」と話しかけても通じないことが多いようです。なぜなら、広島の人にとっては、広島風お好み焼きがあまりにも基本であり「お好み焼き」とはそのまま広島焼きのことだからです。広島の人に広島焼きの話題をふる時には「(広島の)お好み焼きおいしいよね?」と話しかけなくてはなりません。逆に広島の人は広島焼き以外のお好み焼きを表現するときには「混ぜ焼き」などと呼んで区別します。
その2・ 押すべきか?押さざるべきか?
広島風お好み焼きは、ハンバーガーのように、生地・麺・具・肉・生地・玉子と、多層構造になっています。具材が豪華になった今では、その厚みはかなりになります。さて、この広島風お好み焼きの焼く工程をみていると、途中でぎゅーっとお好み焼きを押し込んで、圧迫している光景が良く見られます。しかし実験の結果では押さない方がより空気が含まれ、おいしいとされています。では、なぜ押すのか? 具材の成形や一体化させる目的ももちろんあるのですが、その他に「押した方がより早く焼ける」という飲食店ならではの理由があるのです。よって、お店ではきゅーっと押すことが多いのですね。もちろん「この方がより美味しくなる」という店主のこだわりの場合もあります。確かに圧迫しない方がよりキャベツなどの甘みを引き出せるのですが、それがおいしいかどうかは、結局お好み次第と言うことでしょうか。
広島風お好み焼きのレシピ
実は本場広島では、自宅で広島焼きを焼く習慣があまり無いのだそうです。自分で作るくらいなら近所に旨いお好み焼き屋がいっぱいあるから、ということですね。もう一つ、広島風のお好み焼きは作るのに結構な手間と、強力な火力が必要と言うこともあげられます。そこでここでは、広島風“風”お好み焼きの作り方を紹介してみましょう。なお、フライパンで作るなら2枚必要です。
材料(2人前)
- やきそば 2袋(ボリュームに直結します。多いと思うなら1袋で)
- キャベツ、もやし たっぷり。(山のようなキャベツ&もやしが基本!)
- 豚ばら肉 4枚
- お好み焼き粉 100グラム(無ければ小麦粉に玉子・ダシの元を加える)
- 玉子 2個
- お好みソース 適量(無ければウスターソースとトンカツソースをブレンド)
トッピング
- カツオブシまたは削り節
- 青海苔
- ベニショウガ
- マヨネーズ (本来の広島焼きには入りませんがお好みで)
- 天カス (あると格段に違います)
お好きなものをお好きなだけ。
広島風お好み焼きの作りかた
それでは広島風お好み焼きを作っていきましょう。今回は徹底的に簡略化して「家庭で作る広島風“風”お好み焼き」です。本場とは結構手順などが違いますが、より作りやすいようにという配慮なのであしからず。なお、使うフライパンは焦げ付かない素材をオススメ。(この方式で焦げつくと、かなり悲惨です)
- お好み焼き粉を水で溶きます。ダマにならないように振るっておくといいでしょう。
- 丼やボウルの半分くらいまでもやしを敷き、千切りキャベツをその上に載せ、少し押し込んで一杯にしておきます。
- フライパンAで具なし焼きそばを作って別皿に取り置きします。
- 空いたフライパンAに、生地の材料を1/4流し込み、丸く広げます。表面が乾き始めたら、削り節を表面に散らし、先ほどの焼きそばを半分のせます。
- その上に野菜丼を生地の上にひっくり返します。こうすると山のような野菜が山の形のまま乗せられるので便利。
- ある程度野菜に火が通り、量が減ってきたところで上に生地を1/4回しかけます。真ん中に、生卵をおとします。ついでに、フライパンBを予熱します。フライパンAの上に、フライパンBをかぶせてひっくり返します。こうするとデカイ具の山でも失敗せずひっくり返せます。
- じっくりと焼いて(むらし)全体に火が通ったら完成。後はソース・トッピングを使用していただきます。