アスファルトは炭化水素の混合物で、原油を蒸留することで得られる物質です。
現代では、主に道路の舗装に使用されていますが、建築現場や電気作業の現場では防水加工や絶縁材としても使用されています。
アスファルトは、原油の蒸留だけでなく自然に噴き出た原油の揮発成分が蒸発することでも生成されます。このような天然のアスファルトを「瀝青(れきせい)」と呼びます。
歴史におけるアスファルト
現在のように化学的に接着剤が合成できなかった時代において、接着剤として盛んに用いられたものの一つにアスファルトがあります。動物の骨や皮を煮出して取り出したゼラチン質を利用した膠、口にするものに使用しても化学的な影響の無い漆など、様々なものが接着剤として使用されていましたが、アスファルトは接着力が強かったので力が掛かりやすい物に使用するのにもってこいだったようです。バベルの塔の建設においても使用されていたといわれています。
日本におけるアスファルト
古代日本では、アスファルトは石器を強く固定するために使用されていたようです。ある実験では、黒曜石から作った鏃(やじり)をアスファルトで固定した矢の貫通力は拳銃の銃弾に匹敵する結果が出たといいます。
しかし、黒曜石にしてもアスファルトにしても限られた地域からしか採取できなかったものなのですが、日本全国の遺跡から発掘されているという事実があります。どうやら、古代日本人は交易を日本国内で広く行っていたようです。
アスファルトとコンクリートの違い
一般的には、アスファルトで舗装された道路も「コンクリート」と呼ばれます。しかし、コンクリートで舗装された道路もまた別に存在しています。では、「コンクリート」とは何を指しているのでしょうか?
そもそも、「コンクリート」とは「人工的に作った石」を指しています。砂や砂利に硬化剤を混ぜて固め合わせたものが「コンクリート」なのです。一般的に「コンクリート」と呼ばれているのは、セメント剤で硬化させたもので正式には「セメントコンクリート」と呼びます。
アスファルト舗装は「アスファルトコンクリート」になるのです。セメントコンクリートは、圧力や温度の変化で間延びすることがあり、硬化に時間が掛かるため、道路舗装では変化が少なく短時間で済ませることが出来るアスファルトコンクリートが多用されているのです。
アスファルトを作るには
アスファルトとともに道路舗装に使用されていたコールタールは、石炭を蒸し焼きにしてコークスを製造する際に出る副産物です。アスファルトは、前述のように原油を蒸留して石油製品を取り出した後に残った残渣油が原料となっています。
この残渣油をそのまま使ったり、加工したりして始めてアスファルトとして使用されるのです。しかし、アスファルトの原料である残渣油は接触改質などを行うことでガソリンを作り出せるため、アスファルトの生産量は他の石油製品ほど多くはありません。