重油は、原油を蒸留する工程でガソリンや灯油、軽油を取り出した後に残る石油製品です。そのため、他の石油製品にはほとんど含まれていないタールやアスファルトを含むため黒くてドロドロと粘っこい見た目になるのです。
重油は、他の石油製品よりも高い発熱量を持っているため、エンジンなどの内燃機関よりもボイラーなどの外燃機関を動かすための燃料として効果を発揮します。
重油の使い道
重油は精製してアスファルトの原料や、発電や大型船舶の燃料として使用されます。重油は火力が強いので大きなものを動かすとか、大量の電気を生み出すといった作業にはもってこいの燃料となるのです。重油から分離されたアスファルトは、道路整備などの目的に使用されます。道路に穴を開けて、砂利を敷き詰めたところにアスファルトを巻いてバーナーで焼いて固める光景は、春の風物詩ともなっています。
重油の種類
重油には、税法上いくつかの種類に分類されています。重油はA重油・B重油・C重油の三種類に分類されます。この分類の違いは、「残渣油」と呼ばれる蒸留後に残った油と軽油をどの程度の割合で混合したかで決まります。A重油は残渣油1:軽油9の割合、B重油は残渣油5:軽油5の割合、C重油は残渣油9:軽油1の割合が基準となっています。
油と水をミックスさせたエマルジョン燃料
油と水は、決してひとつにならないものの例えとして使われてきました。しかし、科学の発達によって油と水を混合させることが可能になったのです。たとえば、マヨネーズはサラダ油と酢と卵が原料ですが、卵が水である酢とサラダ油を結びつける役割を果たしています。このように、油と水を混合させる仲立ちをするものを乳化剤と呼び、乳化剤の力で混合した液体をエマルジョンといいます。
エマルジョン燃料は、重油などと水を乳化剤の役割を果たす界面活性剤の力で混合した燃料なのです。重油などをエマルジョン燃料に加工すると、水分子が蒸発することで油分子の大きさが小さくなり燃焼しやすくなるのです。
そして、普通に重油などを燃やすよりも排気ガスに窒素酸化物やPMなどの汚染物質が少なくなるというメリットが生まれるのです。エマルジョン燃料は、近年実用化のための研究が始まったので未だ完全に実用化されていないのですが、汚染物質の減少のみならず燃費の向上と言う効果もあるため、実用化が期待されています。