それゆけ!石油探検隊

石油産出国とオイルマネー

「オイルマネー」という言葉をご存知でしょうか?
現代の世界経済に多大な影響を与える資本のことですが、このオイルマネーも石油によって生み出されたものなのです。
しかし、石油を合成して生み出したものではありません。ここでは、経済学から見た石油の価値と石油によって生じる利益について解説していきます。

石油を扱うことで発生する利益とは

石油を扱うことで発生する利益とは

オイルマネーを知るためにはまず、経済学の基本となる考え方を知らなければなりません。 経済学の基本にして究極の目的は「長期的に、安定した利益を出すこと」です。

そのためには、生産コストを差し引いても利益を出せる商材を、安定的に供給できなければなりません。
つまり供給側にとっては、少ないコストで供給量を確保できるものを商材にする必要があります。そして、需要側が求めているものを商材にしないと利益が出せません。この二つの条件を満たせるものを、供給側である国や企業は常に求めているのです。

石油需要の発生

石油が貿易品となったのは20世紀初頭のことです。このころはまだ石炭との併用がされていた時代ですが、石油を燃料にする内燃機関の発達によって石油は主要エネルギー資源として認知されるようになり、石炭の時代を終了させたのです。
石炭を燃料としていたのは蒸気機関に代表される外燃機関だったのですが、内燃機関の評価がされていくと同時に需要を縮小していったのでした。

石油需要の拡大

石油の需要が拡大していったのは、石油が産業だけでなく日常にも活用できるものであることがわかったからです。そのきっかけとなったのが自動車です。20世紀初頭は、フォードやダイムラー・ベンツといった偉人たちによって自動車が実用・量産化された時代でもあります。彼らが電気や蒸気ではなく石油を動力源としたことが、自動車産業を発達させ石油の需要を伸ばしたのです。

石油需要の増大による効果とは

経済学において、商品の価格を決定するのは供給者ではなく需要者であると考えられています。需要者が必要としないにもかかわらず供給者が大量に商品を供給するならば、価格は低くならなければなりません。
需要者が必要としていても供給者が需要に応えられるだけの商品の量を揃えられなければ、価格は高騰します。石油においてもこの原理が働き、需要の爆発的な増大によって供給者は供給量を増やしても供給が追いつかず、需要者は大枚を叩いてでも石油を必要としたのです。

石油需要から生まれたオイルマネー

こうして石油市場が天井知らずの拡大を続けた結果、石油を扱うことで発生する利益効果は最大に高まったのです。石油の供給者は、市場拡大によって発生した利潤によって膨大な額の財を築きます。この石油市場の拡大で生み出された資財をオイルマネーと呼ぶのです。

オイルマネーの恩恵に浴する者とは

オイルマネーの恩恵に浴する者とは

では、どのような立場の人がオイルマネーの恩恵を受けられるのでしょうか?


石油メジャー

オイルマネーを得るには、「石油の供給側」にあることが大前提となります。石油時代の到来と同時に資本を束ね、供給力を支える掘削・精製・輸送などの分野を押さえて、オイルマネーをつかんだ石油を取り扱う大企業を石油メジャーと呼びます。

石油メジャーの中でもっとも有名なのがロックフェラーです。しかしアメリカの石油事業の大部分を独占し、膨大な富を築き上げたロックフェラーの会社であるスタンダード・オイル社は、反トラスト法によって解体されています。
スタンダード・オイル以後は「セブン・シスターズ」と呼ばれる七大石油メジャーによって、主要な石油供給ルートが運営されていましたがセブン・シスターズ同士の合併などで「スーパー・メジャー」と呼ばれる四大石油メジャーに再編成されています。

石油産出国

石油を産出できる油田は、基本的に特定の地形条件を持った場所にしか存在しないものです。そのため、有力な石油鉱脈が存在している国家は石油メジャーとの契約によって莫大なオイルマネーを確保することが出来ます。
石油が産出できる国は世界中にあるものの、市場取引できるほどの生産量を誇る国は限られてきます。石油産出国の中で、潤沢なオイルマネーを蓄えているのは中東諸国やブルネイなどの一部の国に限定されています。
中東諸国を筆頭とする石油産出国は、石油メジャーの寡占状態にあった石油市場での原油価格の設定に対する不満から、1959年に「石油輸出国機構(OPEC)」を組織して産出国の利益を保護しています。

各国のオイルマネーの使い道

オイルマネーは、石油が産出される限り国に蓄えられていく性格の資本です。基本的には国家予算として積み立てられるので、その使い道に苦慮する産出国は多いようです。

OPECの中心である中東諸国において、潤沢なオイルマネーを施政に使っているのはアラブ首長国連邦・サウジアラビア・バーレーン・カタール・クウェートの五カ国のようです。サウジアラビアでは、その莫大なオイルマネーで国民の税金は無いという恵まれた状態であるのですが、日本で言うところのニートになる若者が増大していることが最大の悩みのようです。
中東以外で潤沢なオイルマネーの恩恵に預かっている国としてはブルネイがあります。ブルネイは、その潤沢なオイルマネーで国民の所得税を撤廃しているだけでなく東南アジアでも有数の軍事力を保有する国となっています。

今後のオイルマネー

オイルマネーという資本は、基本的には「あぶく銭」です。永遠に莫大な金額が国や企業に入り続けるのではなく、「保有する石油資源が枯渇するまで」という期限が付いているのです。先見性のある国家などでは、国民福祉に使うだけでなくITなどの経済的な価値が大きい分野を引き込むための都市設計などに投資しています。

石油メジャーも、石油に代わるエネルギー資源の研究にも力を入れています。オイルマネーの恩恵に浴するということは、石油資源が枯渇した後のことを考える義務を負うということなのです。