石油は俗に「化石燃料」と呼ばれています。それは、石油の生み出される過程と密接に結びついて生まれた呼び方なのです。
化石から生まれる石油有機由来説
石油の成因として代表的で、教科書などでも主体に取り上げられているのが「有機由来説」です。まず、遥か古代の動物や微生物の屍骸が積み重なり、年月とともにその上に地層が幾重にも積み上げられていくことから始まります。
地下にいけばいくほどマントル層の熱を受けやすくなります。そして土の重みと土の上からの重みで物凄い圧力がかかります。この高温と高圧の影響で化石化するはずの屍骸が変質して、石油に変化するのが「石油有機由来説」です。
動物や微生物ではなく植物が変質したものが石炭になるとも考えられ、学問の領域では長くこの有機由来説が信じられてきたのです。
有機由来説の根拠となっているのは、石油の成分や石油・石炭の発掘場所です。石油の成分には、アミノ酸などの生物由来の成分が含まれていることが知られています。
また、石油や石炭が発掘される場所からは化石が見つかることがあります。この化石は石油や石炭になりきれなかったものと考えられると同時に、石油・石炭が有機由来であることを立証する根拠になると考えられているのです。
新説・石油無機由来説とは
一方「石油は無尽蔵であるかも知れない」という、やや楽観的に感じられるものの定説を覆す学説が存在しています。それが「石油無機由来説」なのです。
地球の成分から生まれる石油無機由来説
石油無機由来説は、旧ソ連の学者が唱えていた学説で主流である有機由来説に真っ向から反発するものであったため長く省みられなかった説です。しかし、2003年に科学者のトーマス・ゴールドが再び取り上げたことで脚光を浴びました。
天文物理学者であるゴールドの説では、「惑星が誕生する際には必ず大量の炭化水素が含まれる」「この炭化水素が惑星内部の高圧・高熱を受けて変質することで石油が生まれ、地上を目指して浮上してくる」という、それまでの有機由来説とはまったく別方向からのアプローチを受けているものだったのです。
無機由来説の根拠とはでは、無機由来説の根拠となるものは何なのでしょうか? まず挙げられるのが「有機由来説である生物由来の成分」です。実際のところ、条件がそろえば無機質だけの環境でも有機質が生成されることは既に証明されています。
また、「有機由来説では説明できない成分が石油に含まれている」ことも根拠となります。石油にはダイヤモンドの微粒子が含まれているのですが、ダイヤモンドは無機物由来の物質なのです。
そして、「地層よりもさらに下の岩盤や地層がない花崗岩からも石油が発掘される」ことがあります。そして、「一度採掘しつくした油田の石油埋蔵量がピークまで回復することがある」ということも大きな根拠となっています。