「せんべい汁」は青森県や岩手県で親しまれている料理です。けれど、何それ?と思う人もいるのではないでしょうか。
ここでは、そんな「せんべい汁」について紹介していくことにしましょう!みなさんも「せんべい汁」を作ってみてくださいね♪
もともと「せんべい汁」は青森県八戸市で古くから愛されている郷土料理です。この「せんべい汁」という料理は岩手県にもありますが、発祥地は青森県と言われています。
「せんべい汁」は肉や魚、野菜やキノコ類などでダシを取った汁に「南部せんべい」を割り入れて作る料理です。鍋料理として食べることもできますし、汁物として食べることもできます。「せんべい汁」に使われる煎餅は小麦粉と塩を原料とした「おつゆせんべい」「かやきせんべい」と呼ばれるものです。これは汁物専用に開発されたもので、煮込んでも溶けにくいという特徴があって、食べると独特の食感があるように焼き上げたものなんですよ。
いいダシが出ている汁がたっぷりしみ込んでいる「南部せんべい」の不思議な食感を楽しめます♪ちなみに、レシピは各家庭によって多少の違いがあります。
「せんべい汁」の歴史は今から200年ほど前、江戸時代にまでさかのぼります。江戸時代の後期から食文化は五穀がおもな主食に変わっていきました。すると、その影響で南部八戸地方では麦やソバを使った独自の食文化が確立されたのです。そんな中、生み出されたのが麦やソバを使った半熟焼きの煎餅でした。こうして「南部せんべい」が誕生したんですね!
「麦せんべい」や「ソバせんべい」は、主食やおやつにそのまま食べるだけでなく、野菜やウグイ、キジ、山鳥、カニ、ウサギなど、漁や狩りでとった獲物を具材として、ちぎった「南部せんべい」と一緒に汁物に入れて食べたりもしていました。これが「せんべい汁」の始まりです。
「せんべい汁」を食べる習慣があるのは、八戸市をはじめとする青森県の南部と岩手県北部の中のほんの一部の地域です。けれど、最近は青森県内のほかの地域でも「せんべい汁」が浸透してきているようですね。青森に比べると「せんべい汁」を食べる機会がそれほど多くない岩手県盛岡市では、町内のお祭りなどでたまに作られるんですって。
肉や野菜などを入れた鍋に、「南部せんべい」を入れるだけという簡単な作り方のため「すいとん」(現地ではヒッツミと呼ばれるもの)の代わりに作られています。今まであまり全国的には知られていなかった料理ですが、2002年の東北新幹線八戸開業によって、「せんべい汁」で町おこしをしようという機運が盛り上がりました。これをキッカケに全国に広まったというわけです。
それでは「せんべい汁」のレシピを紹介しましょう!鍋の要領なので作り方はとっても簡単♪好きな具材を入れて、お楽しみください!
シイタケ:4個、キャベツ:3枚、長ネギ:1本、ダシ汁:1600cc、
しょうゆ・みりん:各大さじ2、塩:小さじ1
- ニンジンとゴボウはささがきにします。シイタケは細切り、キャベツは太めの千切りにしましょう。
- 鍋で鶏肉を炒めて、そこにダシ汁を注ぎます。煮立ったら、さっき切った野菜を加えます。さらに調味料も加えましょう。
- 煎餅は食べる直前に食べやすい大きさに割って入れましょう。堅さはお好みで調節してくださいね。
- 最後に小口切りにした長ネギを入れて、できあがりです。
※「南部せんべい」の堅さは、もちろんお好みによりますがアルデンテがベストですね。すぐ噛み切れるくらいのやわらかさで、シコシコ感が残っている状態が、一番の食べごろでしょう。商品によって煮込み時間が違う場合があるので、確認してから調理しましょうね。