人にかかる虹色の輪

人のかげのまわりに丸い虹が出ることがあります。いくつかの条件が重なったときに見ることができるので、運がよければ、あなたも見ることができるかもしれません。写真ではなく自分で体験するととても感動しますよ。

 

虹ができるためには、太陽の光と雲を作っている水や氷のちいさなツブが必要です。人や山のまわりにたくさんの色が見えるしくみは、虹が作られる方法と同じです。虹は、とても大きなわっかになっていますが、物のまわりには小さな虹色を見ることができます。このかげと虹のようなわっかのことを「ブロッケン現象」と呼んでいます。たまに、月の光によるブロッケン現象も見られます。月の光はもともと太陽の光を反射しているので、同じような効果があるのです。

ブロッケン現象と呼ばれるのは？

ブロッケンというのは、ヨーロッパ地方で昔から伝えられているモンスターの名前でした。そして、そのモンスターがブロッケン山に住んでいると思われていたのです。ブロッケン山の頂上では、ほとんど雲や霧（きり）がかかっています。山の上は雲がかかっていると、ぶきみな感じがするのであまり近づけない場所だったのですね。ブロッケン山の山頂で発見されたときに、かげと虹色の光が出る様子をブロッケン現象と名づけました。ブロッケン現象で見える虹は、何重にも色が重なって見えることがあります。

日本でのブロッケン現象

日本でも、ブロッケン現象は起こります。昔から見ることができていました。日本語では「ごらいこう」という名前がつけられています。ほとけさまの後ろに光のわっかができることから、とても神聖なものだと言われてきました。人のかげにもブロッケン現象がおこっているのですね。

ブロッケン現象は、飛行機の中からも見ることができます。飛行機にのってしばらくたつと、雲の上に出ますよね。雲の上ということは、太陽が見えているのでとても晴れているように感じます。虹は、太陽の光と水や氷のツブで作られているので、雲の上では虹が出る条件がそろっているのです。太陽がでている方向の逆側に座っていると見ることができます。でも、ふつうの虹とは違うのでブロッケン現象の虹を見るためには、かげになるものが必要です。かげになるものって…飛行機がありました！　太陽が上にあるので、飛行機のかげが雲にうつります。そのまわりに丸く虹のように色をたくさん見ることができます。飛行機によく乗る人は、山の上よりもブロッケン現象を見ることができるかもしれませんね。

ブロッケン現象は、山や雲の上からではなくても見ることができるのです。うっすらと遠くが見えるくらいの霧（きり）がかかっている場所で、太陽の光があると見えるかもしれません。霧の中の小さな水のツブが丸い形になっていると見ることができるので、毎回というわけではありません。虹がたまにしか見ることができないのと同じですね。霧のよくかかる地域に住んでいるひとは、ブロッケン現象を見たことがありそうですね。

空から見る！

飛行機から見る場合には、朝や夕方のお日様がかたむいている時間がベストです。お昼では、もしブロッケン現象が出てきても、窓からのぞき見ることができる確率が少ないのです。外をみて、雲に飛行機のかげがうつっていたら、虹色を見ることができるはずなので今度、飛行機に乗ったら見てみてくださいね。

山から見る！

山登りをしていて、自分のいる場所に雲がかかってきたときがチャンスです。ブロッケン現象のことを思い出して見てくださいね。太陽と反対の方向をみて、自分のかげを雲にうつしてみましょう。風が強いときにはなかなか見ることができませんが、運がよければ見ることができます。

平地でみる！

虹とは違ってブロッケン現象は、空の高い場所にできるとは限りません。広い牧場や畑があるところで、晴れているのに霧がかかっているときにブロッケン現象が起こりやすいです。長い時間ずっと見えるわけではないので、残しておきたいときには、すぐに写真をとりましょうね。