観賞用の人形としては、アンティークドールとも呼ばれるビスクドール、伝統的な美術工芸品としての日本人形のようなものなどは、汚れないようにガラスケースに入れてインテリアや観賞用として使います。伝統的な行事に飾る観賞用の人形としては、雛人形や端午の節句の人形などがあります。このように、行事として意味を持って飾られる観賞用の人形や、日本の伝統を伝える日本人形や価値のあるものはインテリアとして飾ります。贈り物に使われる人形のほとんどは、この観賞用になるでしょう。一部の人の間で人気のフィギアなども観賞用の部類に入るでしょう。
前ページで紹介したように、かつて人形は呪術に使われていました。呪術といっても呪いをかけるのが本来の目的ではありません。本来は、人間の身代わりとなって厄災を引き受けてもらったりして川に流すなどの使い方をしていました。
また、人形(ひとがた)も、陰陽師や神主が祈祷やお祓いを行う際に、人間の代わりとして使われます。人形(ひとがた)は形代とも言い、人の代わりとなるものです。人の汚れや災いを移してお祓いをするものです。雛人形は、元を糺せば流し雛と呼ばれ、この一種になるのです。ブードゥー教の泥人形も、祭礼用の人形の1つです。
お祭りで出される山車には人形が乗せられることも多いです。巨大なものから小さなものまで様々です。有名な青森のねぶた祭りで使われる山車も、広い意味では人形に入るのでしょうか。
人形は商業用としても使われています。衣料品売り場で見られるマネキン人形が代表的な例でしょう。男性、女性、子供など、様々なポーズができるように作られています。売り場にハンガーでかけられている洋服を見るよりも、実際にマネキンにコーディネートをして着せている方が着たときのイメージも湧きます。
美容室で、練習用カットマネキンも商業用の人形と言ってもいいでしょう。よくゴミ捨て場に首が並んでいて驚いたという話しを耳にしますね。
チェーン展開している店舗などでは、シンボルキャラクターの人形を置いているところもあります。製薬会社の某有名キャラクターは、人形だけではなく、グッズも大人気です。季節ごとに洋服を着替えさせたりして、季節感を出しています。
子供の遊び道具として使われる人形です。昔からあるリカちゃん人形や、最近では指人形のようなものがセットで販売され、専用の家などもあります。着せ替え人形も幼い女の子の間では人気です。
美術のデッサンに使われる人形をご存知ですか?小さなものですが、関節が動くようになっていて、様々なポーズにできる人形です。これまでは木製のものでしたが、最近では比較的価格の安い、カスタマイズドールで代用する人もいるようです。
田畑で活躍している人形と言えばかかしです。スズメやカラスに作物を荒らされないよう、人間の代わりに威嚇してもらうものとして、田畑の中に立てます。昔ながらのかかしは、十字に組んだ帽に頭をつけ、麦藁帽子をかぶせて服を着せたものでした。現在では滅多に見ることもなくなりましたが、自治体でかかしコンテストを行っているところもあり、マネキンを流用するなどして多様化しています。
交通安全のために、警察官や婦人警官の人形を歩道脇に設置することがあります。夜間は車のライトをあびると反射するようになっているものもあります。横断歩道にあるものは、子供が持って渡る横断旗が入れられるようになっているものもあります。