![漢方薬としての桃](../img/20.jpg)
桃は、漢方薬としても利用されることがあります。おいしく食べて、しかも無駄なく、種や花まで漢方薬として使うことができるモモには、嬉しい効果をたくさん期待できます。
ここでは、桃の種や花の効果を紹介していきましょう。桃を余すところなく使って、その効果を実感したいものですね!
桃の種にも、たくさんの栄養が含まれていることをご存じでしょうか?一度モモの種を割ってみてください。すると、中から更にいくつかの種が出てきます。出てきたこれらの種は「桃仁(とうにん)」と呼ばれるものなんですよ。
脂肪油、アミグダリンなどの成分を含んでいて、漢方薬としてよく知られています。
この桃仁には、消炎・鎮痛や血のめぐりを良くする作用があって、便秘、肩こり、頭痛、そして高血圧や脳梗塞の予防にも効果的だと言われています。
さらにもう一つ、桃仁の注目すべき効果として、婦人病の漢方薬としての役割が挙げられます。
生理不順や生理痛、更年期障害など、女性特有の症状の緩和に役立つことから、人気となっています。
けれど、桃仁はとても効果が強いので、使う際には十分な注意が必要です。必ず、漢方薬の専門医のアドバイスを受けるようにしましょう。
ちなみに、油気が少なくなって古くなった桃仁は、効果が弱まってしまいます。
桃は、果実が実る前に咲く花にも効果があると考えられています。
漢方の分野では、桃の花は「白桃花(はくとうか)」と呼ばれる生薬として使われているんですよ。
日本では半開きの花を白桃花と呼びますが、中国では完全に開花した花をそう呼びます。
白桃花には、ケンフェロールという成分が含まれているため、利尿、緩下の作用があります。このため利尿剤や下剤に多く用いられていますね。
また、むくみの解消や便秘改善、生理不順にも効果的です。
漢方薬としてよく用いられる白桃花ですが、桃仁と同じようにとても強い効果を持っています。
なので、白桃花が含まれる漢方薬を使うときにも、専門医のアドバイスを受けるようにしてくださいね。
上の項目で、『桃の花は「白桃花(はくとうか)」と呼ばれる生薬として使われる』と書きましたが、生薬って一体何なのでしょう?
生薬とは、植物を中心として、動物や鉱物などの天然のものから作られた薬のことをいいます。
生薬は全部で394種類ほどあると言われています。そのうちの大半を占めているのが薬草類なんですよ。
何種類かの生薬を決められた割合で組み合わせたものが、漢方薬となるわけですね。漢方薬は体にやさしく作用して、ゆっくりと効いていきます。この漢方薬の効果は、生薬のおかげといっていいでしょう。【桃の栄養】のページで触れたモモの葉も、この生薬に数えられます。
やっぱり自然由来のものって、体にいいんですね。用法を守って上手に使いたいものです。
ここで、漢方薬を使うときの注意点に触れておきましょう。参考にしてくださいね。
モモの葉、種、花のせいぶんが含まれている漢方薬もまれに副作用が起こることがあります。
「漢方薬って、副作用はないんじゃ…」と思っている人もいるでしょうが、まったくないというわけではないんですよ。
いつくかの症状を挙げてみます。少しでも症状が見られたら、すぐ服用をやめて、診てもらいましょう。
・間質性肺炎
間質性肺炎は漢方薬服用後、2~4週間後に見られることがある副作用です。症状として息苦しさ、空咳、寒気のない発熱が挙げられます。
風邪の症状と似ているので、気をつけましょう。
・偽アルドステロン症
偽アルドステロン症は低カリウム血症、血圧上昇、浮腫、体重増加などの副作用を起こすことがあります。この副作用は、甘草という生薬が入った漢方薬にもよく見られます。
妊娠中の人は、漢方薬の服用を避けましょう。天然の生薬を使っていても、お母さんやお腹の中の赤ちゃんに影響することがあります。どうしても…というときは、専門医に相談してください。