エコロジーを考えよう・省エネ塾

原子力エネルギー

原子力エネルギーは、1950年代に誕生したエネルギーです。 発電費用が安いことから、石油の代わりとして、人工的に作られたエネルギーで、現在の埋蔵量は約60年分と言われています。 石油が約40年分と言われているように、原子力もやがて不足してきます。 また、原子力エネルギーは非常に注意が必要なため、反対の声も上がっています。 もっと安全に原子力エネルギーを作ることが課題になっています。

原子力エネルギーとは?

原子力とは原子核反応により得られるエネルギーで、石油の代わりになるエネルギーです。 核エネルギーとも呼ばれています。一次エネルギーの中で、石炭、石油、天然ガスに次いで多く消費されています。 特にフランスでは石油に頼らない国を目指し、電力の3/4以上を原子力に頼っています。 発電方法別では、火力約60%に次いで、水力、原子力が約20%となっています。発電のための平和利用と軍事利用の役目があります。

原子力エネルギーの歴史

1895年 レントゲンがX線を発見しました。ベクレルにより、ウランに謎のビームを発見し、放射線と名づけられました。
1898年 キュリー夫妻により、ラジウムが発見され、放射線の研究が始まりました。
1945年 原子力の軍事用の利用が普及され、日本にも使用されました。その後、原子力は、どの国でも軍事機密となりました。
1955年 原子力の研究開発、利用の促進のため、原子力基本法が制定されました。
1966年 日本で東海発電所により、原子力発電を開始しました。
1986年 旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所で事故が起こりました。
1999年 茨城県那珂郡東海村のJCOで原子力事故がありました。この事故により、JCOは解散しました。
2004年 福井県三方郡美浜町の美浜原子力発電所で蒸気漏れ事故がありました。

原子力エネルギーの作り方

原子力エネルギーは、火力発電と同じように、蒸気を作って、その力でタービンをまわして発電しています。 燃料には、ウランという物質が使われます。ウランは金属の一種で、日本では、カナダやオーストラリアなどから輸入しています。 ウランの原子が核分裂することで熱エネルギーを発して蒸気を作ります。 現在実用化されている、軽水路と呼ばれる型の原子炉では、ウランの中でも、核分裂しやすいウランを使用しています。 ウランを効率よく核分裂させるために、「濃縮」という作業をします。0.7%だった濃度を、4%まで高めます。 濃縮したウランは、原子炉でペレットと呼ばれる小さな粒に焼き固め、燃料として使います。このペレット1個で石油500㍑分になります。

原子力発電の長所、短所

原子力発電所の実態

現在、世界中で425の原子炉があります。日本では53の原子炉と12箇所の核燃料再処理施設があります。 水を大量に使うため、海辺によく建てられます。 原子力発電は、火力電力に比べて、窒素酸化物などの大気汚染物質や、二酸化炭素の排出を少なく抑えることができます。 そのため、地球温暖化対策の切り札とも考えられていますが、発電の後に、高レベルの放射能を持った核廃棄物が出てしまい、この処理が難しい問題となっています。

放射能は、体に有害な物質を含み、放射線に当たると、高い確率で白血病などの病気にかかります。 この放射性廃棄物が安全なものになるには、数百年、数千年という長い時間がかかるため、どこかに埋めるなどをして処分をしなければなりません。 また、原子力発電所で事故が起きた場合、放射能による汚染が心配されています。 1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故は、原子炉が壊れ、放射能が上空に上がり、他の国々に流れました。 そして発電所周辺約30kmの範囲は人が住めない地域になり、約14万人の人が避難しました。 数年の歳月が流れてから病気にかかる人もいます。

高速増殖炉からの見直し

原子力発電所では、使用した燃料を再処理してプルトニウムという物質を取り出し、燃料として発電することがきます。 高速増殖炉という原子炉を使うと、多くのプルトニウムを得ることができます。 核廃棄物を安全な物にし、プルトニウムの再利用を研究する高速増殖炉計画、プルサーマル計画がありました。 しかし、福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」は、1995年に事故を起こしました。 このことにより、「もんじゅ」の運転計画が停止され、建設費用、安全性、プルトニウムの再処理の問題が浮き彫りになりました。

これからの原子力発電所

近年、原子力発電に頼らない国作りを目指す国も出てきました。 1980年スウェーデンに始まり、1987年のイタリア、1999年のベルギー、2000年ドイツが続々と原子炉を廃止する「脱原発」政策を打ち出しました。 しかし、ロシアや中国のようにこれから原子力発電所を増やそうという国もあります。 日本では、2010年までに、原子力による発電を42%まで引き上げる方針をとっています。 以前、青森県六ヶ所村に六ヶ所原燃PRセンターができた時、反対の声も上がったのですが、小さな村だから原子力施設で活性化させるんだ、という声を聞きました。 原子力撤廃は環境の問題、政治の問題と絡み、代替エネルギーへの転換が迫られています。

原子力エネルギーの団体

原子力エネルギー協会(NEI)

Nuclear Energy Instituteと言います。アメリカや世界中の原子力エネルギーや原子力の技術に関する政策を考える機構です。 原子力エネルギー協会には4.000人以上の専門家がいて、15カ国約260の法人メンバーやマスメディアなどに原子力の情報を発信しています。

原子力安全・保安院(NISA)

原子力施設などの安全確保を使命とした経済産業省の「特別な機関」です。 日本の全ての原子力施設に原子力保安検査官事務所を設置し、原子力保安検査官、原子力防災専門官を配置しています。

日本原子力研究開発機構

2005年10月に、日本原子力研究所と核見料サイクル開発機構が統合した独立行政法人です。原子力に関する総合的な研究を行っています。 本部は茨城県那珂郡東海村にあり、福井県敦賀市を敦賀本部として、本部の一部機能を置いています。 展示館として、青森県むつ市のむつ化学技術館、茨城県那珂郡東海村のアトムワールド、テクノ交流館リコッティ、岡山県苫田郡鏡野町の人形峠展示館などがあります。

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