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風力エネルギー

風力エネルギーは、自然エネルギーの一つで、限りなく生産できるため、再生可能エネルギー、新エネルギーに分類されます。24時間稼動し、コストが低く、環境に優しいという利点があります。風力エネルギーの利用量は少しずつ増えてきています。これから最も期待されるエネルギーです。

風力エネルギーとは

風力エネルギーは風車で風を受け、風車の中に設置している発電機を回すことで電気を起こします。風力エネルギーは、風の運動エネルギーを羽の回転エネルギーに変えて作られるのです。風力エネルギーは、主に機械工業に使われる場合と、電気や熱に変えて使う場合があります。風力エネルギーの約40%が電気になります。

風力エネルギーの歴史

風車は4000年前のエジプトに存在したと言われています。古代では、水車と風車が最も多く利用されてきました。その後、ギリシャ、ローマに伝わり、12世紀にはヨーロッパに伝わりました。風車は、電気が普及するまで、風の強いオランダでよく使用されてきました。一番普及していた時期で8000基以上もありました。19世紀には、電気工学が発達し、1891年、デンマークのポール・ラクールによって風力発電が誕生しました。石油の普及により、風力発電は一次衰退したものの、オイルショックや地球温暖化問題が重なり、1990年代頃から復活してきています。風力エネルギーの利用は、アメリカ、ドイツ、スペイン、デンマークが盛んです。デンマークでは石油や石炭が入手困難になったときに力を発揮し、一層利用されるようになりました。日本では2004年時点で924基あり、総設備容量は約93万kWです。

その中でも北海道苫前町の風車は42基あり、デンマーク製のヴェスタス、ドイツ製のエネルコンという風車を使用しており、環境に優しい風力発電所として有名です。世界全体から見ると、日本は僅か2%しか導入されていません。環境省と経済産業省により、2010年には設備容量の目標を、現在の3倍の300万kWに定めています。これからもっと増えると予想されます。

風力エネルギーの仕組み

風車は、風の吹いてくる方向に向きを変えて風力エネルギーを捉えます。風車が回転するエネルギーで発電します。発電用の風車は、主にプロペラ型風車が使われます。プロペラ型風車は、風に対して回転軸が平行になっていて、飛行機の羽や鳥の羽のような役目をしています。他には水平軸風車として、多翼型風車、オランダ型風車があります。垂直軸風車として、ダリウス型風車、サボニウス型風車、クロスフロー型風車があります。風力エネルギーは、風速によって電力が左右されるため、小型の風力発電の場合、電気をバッテリーに蓄えます。大型の風力発電では、風車を何台も設置し、ウィンドファームを作っています。

風力発電の長所、短所

風力発電の長所は、二酸化炭素を排出しないところにあります。そして場所さえあれば設置が可能なことです。日本には、季節や地域によっていろいろな風が吹きます。冬の寒い時期も風が強く、風力発電に適しています。特に北海道や東北は、有効な土地が多く、これから最も多く増えてくると予想されます。風力エネルギーを熱に変換する場合は、100%の効率が得られると言われています。化石燃料と違い、燃料を運ぶコストや運ぶための熱量がかかりません。風力発電の短所は、風に左右されるところにあります。小型風車ではバッテリーに電気を蓄え、大型風車では、電力系統に接続して風力発電による不安定な出力を火力発電側の出力と調節して、一定になるようにしています。

また、騒音問題や景観の問題もありますが、海外では海の上に風車を設置することでこの問題に取り組んでいます。日本でも海の上に設置することは可能で、これから充分に考えられます。羽を軽量化することで、音を抑えられるようにもなりました。他に、風車に鳥が巻き込まれる事故がありますが、この場合は、適切な場所に設置すること、低速回転の風車にすることが求められています。

風力エネルギーの利用方法

風車を使った風力エネルギーは、古くは揚水、排水、撹拌などに用いられてきました。現在では、中継所の電源、電気自動車の充電、お風呂の予熱、温室の加温、発酵促進などに利用されています。家庭用の小型風力発電装置もあり、低音で微かな風も逃しません。

風力エネルギーの新たな取り組み

フィールドテスト事業

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と資源エネルギー庁により、風力発電システムの調査から設置、研究費の補助を行っています。

エネルギー事業者支援、地域新エネルギー導入促進事業

風車を設置しようという企業が増えてきたことから、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と資源エネルギー庁により、資金の借り入れ保証、経費の一部補助を行っています。

風力エネルギーの団体

日本風力エネルギー協会

風力エネルギーの利用、技術の振興と普及のため、研究者や研究団体との交流を深めることを目的とした団体です。研究発表会、見学会を開いたり、印刷物の発行、情報提供などを行っています。

資源エネルギー庁

経済産業省の中にある機関です。風力エネルギーについては、省エネルギー・新エネルギー部が関わっており、「風力開発フィールドテスト事業」を創設した他、地方公共団体や民間事業者へ支援制度として経費補助を行っています。

日本風力発電協会

日本で唯一の法人格を持つ団体です。風力産業にまつわる建設会社や電設会社などが集まっています。風力発電やその他の再生可能エネルギーの研究、企画立案、情報提供など、様々な活動を行っています。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

広いネットワークと公的資金を活用し、民間企業にはできないような新エネルギーの研究、技術開発、導入の普及を行っている独立行政法人です。

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