タランチュラ
タランチュラをはじめとするクモ類は、私たちの生活に密着した存在であると言えます。クモはその肉食の性質から害虫を食べてくれる益虫とされたり、獲物を捕らえるための網を張ることから害虫とされたり、物語の題材とされたりしてきました。そして、クモは昆虫食の対象としても定着した存在なのです。
クモを知る
クモは生物学上「節足動物門・鋏角亜門・クモ綱・クモ目」に属しています。クモは昆虫と勘違いされやすいのですが、四対八本の足を持っていることと頭部と胸部の境目がほとんど無いことなどから昆虫の分類からは除外されています。
クモは口吻部の鋏角から毒を分泌する能力を持っています。この毒は命に関わるほどのものではなく、獲物を捕らえる時に相手の体に打ち込んで、体を麻痺させて抵抗力を奪う程度の威力を持っています。体の自由を奪われた獲物は体内に消化液を注入され、クモに中身を啜り出されるのです。
クモの能力
クモの最大の特徴は、腹部後方から糸を出す能力を持っていることです。このクモの糸はクモ自身の全体重を支えられるほどに丈夫な性質を持っています。俗に言う「クモの巣」は、鳥などの「巣」とはまったく違う「獲物を捕らえるための網」です。
クモは糸を生成するときに粘液を糸の表面に添付して、粘着性を持たせることで様々な場所に網を張り獲物を待ち構えるのです。このクモの糸は、獲物を捕らえるだけでなく移動手段としても効果を発揮します。
クモが糸を木の枝などに絡みつかせて風に乗って移動することを「バルーニング」と言い、孵化した子グモが分散する際などに行われます。また、クモの糸は未だ人工的に合成できていない物質なので、世界的に研究が進められています。
クモにまつわる話
クモは、害虫を食料とする性質から益虫として扱われていますが外見のグロテスクさから嫌悪する人も少なくありません。クモは昔から吉兆と不吉を示すとして、「朝のクモは親の仇でも見逃せ、夜のクモは親でも駆逐しろ」と言われてきました。
なぜ、朝のクモが縁起の良いものとされてきたのかというと、古代日本から古代中国に使節として渡った大臣がクモの助けで利きを脱したと言う話に源流があるようです。
また、クモは古くからペットとして高い人気を持っています。戦国時代に端を発すると言われる「クモ合戦」は、現在でも鹿児島や高知で行われています。
タランチュラを知る
タランチュラは、クモ目のオオツチグモ科に属する種類のクモです。私たちが普段見かける種類のクモよりも大型で、足や体に毛が生えているという外見的な特徴を持っています。
タランチュラの語源はイタリアにあり、港町のタラントが語源と言う説とタラントで生まれたクモの毒を抜くための舞踏「タランテラ」が語源という説があります。
タランチュラは危険なのか
「アラクノフォビア(クモ恐怖症)」という言葉があるように、毒を持つタランチュラは危険な生き物として扱われ、恐れられています。前述の「タランテラ」を引くまでもなく、毒を持ったクモは身近な危険なのです。
しかし、人間の命に関わる程の毒を持つクモはタランチュラを含めてもほんの僅かしかいないことが現在ではわかっています。その為、「扱いさえ間違わなければ安全」としてタランチュラをペットとして飼う人も少なくないのです。
タランチュラの特徴
タランチュラ最大の特徴は、やはりその外見にあります。クモは四対八個の単眼を供えていますが、タランチュラの目は視力が弱いため「触肢」と呼ばれる触覚の一種を使って外界の様子を認識しています。
この触肢はかなり大きめなので、「タランチュラは10本の足がある」と思われがちになっています。タランチュラは触肢や脚に生えた毛を使って周囲の様子を窺って居るのです。
タランチュラ・クモを食べる
クモやタランチュラは、昆虫食としての観点からも人気の高い虫であるといえます。ある漫画家は「クモの味を知ることでより一層リアルなクモが描けるようになる」と、解剖したクモの味見をしたことで有名です。また、南米やオーストラリアなどでもクモやタランチュラを食用とする食文化があります。
タランチュラ・クモの料理法
クモとタランチュラでは、タランチュラの方が食用にされる比率が高くなっています。これはタランチュラの方が体格も良く、食べられる部分が多くなるからです。それに、味という点で言えばクモはチョコレートのような味で、タランチュラはカニを思わせる味をしていると言われています。
タランチュラの場合は、腹を割って生で食べたり素揚げしたものに塩を振って食べたりするのが一般的です。クモやタランチュラは加熱せずに食べた方が美味と言われていますが、安全性を考えるのであれば揚げるか茹でるかして充分に加熱してから食べた方が良いでしょう。
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