ナメクジは生物学的分類において、「軟体動物門・腹足綱・有肺亜目・柄眼目」に分類されています。一般にナメクジと呼ばれているのは、「ナメクジ科に属するもの」と「カタツムリの仲間の内、貝殻が退化したもの」とされています。
実はカタツムリは「軟体動物門・腹足綱」に属する巻貝の一種で、ナメクジは背負った貝殻が退化して無くなったカタツムリも含まれているのです。
ナメクジの生態
ナメクジは、基本的に草食で様々な植物を餌としています。その為、農業においては作物を食い荒らす害虫とされています。
ナメクジは湿気のある場所を好み、日中は日差しの当たらない湿ったところに隠れて、体内の水分が直射日光で失われるのを防いでいます。移動時に、ナメクジは粘液を通り道に残していく特性を持っており、雨上がりの道にぬらぬらとした跡が残っていることがよくあります。
ナメクジはなぜ塩に溶けるか
子供の頃、ナメクジを見かけると家から食塩の瓶を持ってきてナメクジに塩を振りかけたことがあったのではないでしょうか? 塩を振りかけられたナメクジは見る見るうちに萎れていき、跡形も無いほどに溶けてしまうのはなぜなのでしょうか。
これは、ナメクジの体を構成している水分が塩によって体外に吸いだされたために起こる現象なのです。この時、完全に溶け切る前に水分を与えればナメクジは復活できます。また、塩でなくても砂糖などの水分を吸いだす性質のものであれば、ナメクジを溶かすことが出来るのです。
ナメクジの好きなもの・嫌いなもの
人に好き嫌いがあるように、ナメクジにも好き嫌いはあるのでしょうか。一般的にナメクジが好むとされているものに、小麦と酵母があります。この二つを材料とする特定の飲料をナメクジは好んで吸引する性質を持っています。
この性質を利用して、ナメクジを駆除する方法も開発されています。またナメクジには銅イオンを嫌う性質があり、畑などの周りに銅板や銅線を配置することでナメクジ害を防除することが出来ます。
カタツムリとナメクジの違い
では、ナメクジとカタツムリにある大きな違いとは一体何なのでしょうか。基本的に、ナメクジは「カタツムリの殻が退化して無くなった種類」も含まれて居ますが、カタツムリは分類的にはアワビなどの巻貝の仲間なのです。
一方ナメクジに含まれるのは殻が退化したカタツムリだけではなく、「ナメクジ化」と呼ばれる変異を起こしたものも居るのです。生物の進化とは、ダーウィンの進化論によれば「環境に適応して能力や機能を取捨選択すること」で、ナメクジ状の形態になることで餌の捕食や移動などにメリットが生じることを期待した生物も居ると言うことなのです。つまり、カタツムリとナメクジは似て非なるものなのです。