けっこう身近なものでも山菜と呼ばれているものがあるものです。よく知っているけれど、山菜だとは思っていなかったものもあり、驚かされます。ここでも少し紹介しましょう。
ハスカップは、スイカズラ科の落葉低木です。アイヌ語のハシカブが訛ったものといわれていて、意味は『枝の上にたくさんあるもの』ということです。果実を食用としますが、甘みはなく、酸味が強いのが特徴です。ジャムやお菓子、果実酒に加工用とされます。甘みの強いものを品種改良すべく、栽培も行われています。
ハマボウフウはセリ科の多年草です。海岸性の植物ですが、山菜として食用にされています。根がとても長くなるので、鉢やプランターでの栽培には向いていません。全く癖がないので、生食でもよく食べられ、刺身のつまにも使われています。新芽をほんの少しだけ茹でて酢味噌和えなどで食べられます。野菜として認識している人もいるようで、とても身近な山菜と言えます。
フキはキク科の多年草で、高さが2~3mになるものもあります。茎は地中で、地下茎になって横に伸びます。地表に出てしまった茎は光合成で緑色になってしまい、ワサビと間違えて誤食されることがありますが、毒があるので注意しましょう。春になると雪をかきわけて、葉が出る前に花茎が出ます。これがふきのとうです。このふきのとうや葉柄を食用としますが、毒性の強い成分が含まれているので、どちらもしっかりとアク抜きを行わなければいけません。
ふきのとう
つぼみの状態を使います。天ぷら、煮物、味噌汁などにします。花が咲いてしまった状態のふきのとうは通常あまり食べませんが、細かく刻んで油味噌に絡めて食べることもあります。
葉柄
重曹や木の灰を入れた熱湯でアクを抜きます。煮物や炒め物にしますが、塩や塩糠に生のまま漬け込むと保存がききます。使う前に煮て、流水で塩抜きしてから調理すると、季節を問わずに食べることができます。砂糖と醤油で濃い味付けにした佃煮も、保存食や常備食として昔から食べられています。
ニリンソウはキンポウゲ科の多年草で、葉が毒性の強いトリカブトと似ていて、しかも同じところに自生するのも珍しくないので、間違わないよう細心の注意が必要です。ニリンソウの花と一緒に摘めば間違うことはないでしょう。採るときは、地上に出ている若葉、葉柄、花茎など、根を残して採ります。軽く茹でておひたし、和え物、油炒め、葉は天ぷらに、花は軽く茹でて酢の物などにします。
またたびは、マタタビ科の落葉蔓性低木で猫が大好きなアレです。2cmほどの白くて可愛らしいが咲く頃から、秋になって実をつけるまで、上の部分の葉が白く色が変るので、簡単に見つけることができます。若芽と花は茹でて水にさらして、和え物やおひたしにします。花に塩味を聞かせて酢の物にすると、絶品の肴になります。果実は塩漬け、果実酒にします。
三つ葉はセリ科の多年草です。山菜としては春から初夏が旬ですが、ハウス栽培のものがスーパーで販売されており、季節を関係なく食べることのできる山菜の一つですが、自然のものに比べると、やはり香りが落ちます。お吸い物、おひたしなどにして食べます。
モミジガサはキク科の多年草で、紅葉の葉に似ていることからこの名前がついています。葉が開き始めた頃の若芽を採ります。柔らかいので手で簡単に採ることができます。塩を一つまみいれたお湯でさっと茹で、胡麻和えや酢の物、天ぷらなどにします。青海苔やもみのりを入れて、磯部揚げにも向いています。
アバラナ科の多年草です。花の咲く頃に、株全体を採取します。葉のついている方から、円を描くようにすりおろしていきます。辛みと鼻に抜ける香りは、すりおろし方によって全く変わってきます。
コバイノイシカグマ科の多年草で、以前はイノモトソウ科に分類されていました。葉の開いていない若芽をスプラウトとして食用にする他に、根茎から取れるデンプンをワラビ粉として使います。生では毒性があるため食べられません。木の灰や重曹を入れた熱湯でアク抜きしたものや塩漬けしたもので、はじめて無毒化されます。和え物や煮物、おひたしにします。茹でたものを天日干しすると、保存食にもなります。