山菜採りをするとき、常識として守らなければいけないことがいくつかあります。山菜は野菜と違い、土や気候など、山菜に適している環境の中で自生するものです。種や苗で増えていくものではありません。
山菜は、むやみやたらに採ってはいけません。ちゃんと採り方があるのです。山菜が豊富に自生しているからといって、必要以上に採るのはいけません。食べ頃のものを家族で食べられるだけ採るようにします。まだ食べ頃になっていない山菜は採ってはいけません。時期を逃して成長しきってしまった山菜も採らないようにしましょう。
種類別の採り方
山菜は、種類によって採り方が違います。後にも述べますが、根こそぎ採ってしまわないようにしましょう。ウドやタケノコはナイフを使って、土ギリギリの所で切ります。ワラビ、ゼンマイ、たらの芽などは、手で自然に折れるところから採ります。これらのものは、それより下は固くて食べられませんので、根こそぎ採るということは、翌年、そこには自生してこないということになりますので、次につながっていく採り方をしなければいけません。
熊よけやラジオ・鈴
山に入る以上、熊よけ対策はしなければいけません。毎年熊の被害も報告されています。熊はこちらの存在をアピールしていれば近づいてきません。熊も人間が怖いのです。大きな音を立てていたり、ラジオを大きな音で流しっぱなしにしたり、腰に大きな鈴をつけ、動くたびに鳴るようにしておきます。ここまでしていれば、熊に遭遇することはないでしょう。
何も対策をしていなければ、バッタリと出合ってしまう可能性があります。慌てるのは仕方がありませんが、決して後ろを見せてはいけません。後ろを向けて逃げ出すと、習性として熊は追いかけ、襲ってきます。じっと目を見て威圧感を与え、そのままの体勢で持っているものを左右に投げて熊の気を逸らしながら、後ずさりでゆっくりと逃げましょう。
昔からよく言う『死んだフリ』は絶対にいけません。自分からやられに行くようなものです。真新しい糞を見つけたら近くにいるサインでもありますので、すぐに山菜採りをやめて引き上げましょう。
携帯電話
どこに行くにも、やはり携帯電話があれば、もしものときにとても便利です。一緒に来ている人とはぐれたとき、電話で連絡をとりあえますし、いよいよ本格的に遭難してしまった場合、自分で警察に通報することもできます。
ただし、注意しなければいけないのはバッテリー切れです。バッテリーがなくなってしまうと、連絡を取ることができません。山菜採りに出かける前は、携帯電話の充電をフルにしておきましょう。また、万が一のことを考え、電池式などになっている、緊急の充電器などを持参するといいでしょう。
水と食料
水と食べ物は必ず持参しましょう。たかが山菜採りで、登山するような恰好はできないと言う人もいるかもしれませんが、もし遭難してしまったら、条件は登山で遭難したときと同じです。軽装ゆえに、助かるものも助からなくなるかもしれません。
人の山に勝手に入らない
山菜を採りに行く山は、必ず誰かの所有物です。持ち主のいない山はありません。勝手に人の山に入ることはやめましょう。また、国立公園や自然保護地域に指定されている山では、いくら豊富に山菜があるからといって、採ることは禁止されています。禁止されている場所でこっそり採ると罰せられますので注意が必要です。
国有林などでは、山菜を採ると料金を徴収される場合があります。『入山禁止』『立ち入り禁止』の看板のある山には絶対入らないようにしましょう。入り口の近くならいいだろうと、甘い考えではいけません。
先に誰かが採ったところは採らない
特にたらの芽がそうなのですが、山菜の中でもたらの芽は大人気です。ですが、他の人が先に採っているところからは採らないようにしましょう。たらの芽がついていても、翌年のために全部採らないで二番芽を残しているものです。芽がついているからと言って、全部採るものではないのです。
ですが、芽をとるだけではなく、木を途中から切り落としている人もいるようで、年々たらの芽の自生が少なくなってきています。おいしいからといって欲張ると、将来絶滅してしまい、食べられない幻の山菜になってしまうかもしれません。
根こそぎ採らない
どんな山菜でもそうですが、根こそぎ採るのはやめましょう。来年以降、もう自生してこなくなります。山菜を採るときは、毎年採りに来られるような採り方をしなければいけません。ですから、根がおいしいゆり根などは、スーパーで購入することにして、自生しているのは見逃してあげましょう。山菜の根は残しておくことが忘れてはいけないマナーです。
山菜採りにきて、キノコのなどの栽培業者が栽培しているものを、自生しているものだと勘違いをし、根こそぎ持っていく人がいるそうです。商売として、生活の糧として行っているものです。確認せずにむやみに採っていると、こうしたことが起こってしまいます。近くに監視小屋があったり、木に菌のコマがうち付けられているようであれば、栽培されているものなので、採ってはいけません。