よく分かる鏡の世界

製法

私たちが毎日使っている鏡は、一体どのようにして作られているのでしょう?よく理科の実験教室などで子供たち向けに鏡の作り方を教えたりもしていますが、本格的なものはキケンを伴うおそれがあるため、そういった場で作ることはできません。ここでは、工場での鏡の製法を紹介しましょう。

鏡の構造

一般的な鏡は、最初に素板ガラスに銀膜を吹き付けます。それから、その銀膜を湿気などから守るために、上から銅メッキ、保護塗料を塗って作られています。すべて自動工程で、ゆがみのない良質な鏡が出来上がります。これを“銀引製法”といいます。 また、ガラスの種類によって透明のものだけではなく、熱線吸収板ガラスを素板にしたブロンズ色タイプ、グレー色タイプなどもあります。 さらに、用途により、ガラスの種類も異なります。詳しくは種類の各ページをご覧ください。

銀引製法

まずは、銀引製法を見ていきましょう。この製法は、ガラス面に銀膜を薄く吹き付けていくものです。一度に機械を通ることによって、安定した生産、さらには大量生産ができることが特徴として挙げられます。

1.洗浄

ガラスの表面に付いたゴミやホコリを完全に取り除くために、洗剤を使って洗浄します。 次に、銀引きの準備としてガラスを塩化錫で処理したあと、純水を使ってさらに洗浄します。

2.銀引き

ガラス面に銀の溶液と還元液を同時に吹き付けていきます。そうすることで、銀膜が形成されます。

3.銅引き

できた銀膜の上に、今度は銅の溶液と還元液を同時に吹き付けていきます。そうして銅膜を作ったあと、純水で洗浄し、熱風で乾燥させます。さらに、水分を完全に取り除くために、電熱で乾燥させます。

4.塗装

鏡用に特別に作られた塗料を塗って、銀膜をしっかりと保護します。

5.洗浄・乾燥

最後に、表と裏の両面に付いた汚れをきれいに洗い落としてから、十分に乾燥させます。

6.検品・出荷

検品後、出荷されます。そして、切断や加工などの作業を経て、様々な製品になります。

真空メッキ製法

鏡の製法には銀引製法のほかに、真空メッキ製法もあります。この製法は、真空タンクの中でガラス面に反射金属膜を蒸着(じょうちゃく)させていくものです。金属を一度真空タンク内に移動させるために、手間とコストがかかります。その代わり、粒子の細かい繊細な鏡ができます。

1.洗浄

ガラスの表面に付いたゴミやホコリを完全に取り除くために、洗剤を使って洗浄します。

2.乾燥

真空蒸着の準備として、ガラスを熱風と電熱で十分に乾燥させます。これによって、ガラスのアルミ蒸着がより完全になります。

3.真空蒸着

縦型の“ベルジャ”と呼ばれる専用装置でアルミを溶かし、それをガラス面に蒸着させます。

4.塗装

鏡用に特別に作られた塗料を塗って、真空蒸着膜をしっかりと保護します。

5.洗浄・乾燥

最後に、表と裏の両面に付いた汚れをきれいに洗い落としてから、十分に乾燥させます。

6.検品・出荷

検品後、出荷されます。そして、切断や加工などの作業を経て、様々な製品になります。

鏡の額装

普通、鏡には強度を高めたり、見た目をよくする目的から額装が施されています。鏡の裏面には防湿保護マット、スチロールなどのクッション材、ベニヤの合板などの裏板の順に貼られています。そして、額縁があたる部分の鏡の両端にはウレタンコーキングを施して、腐食を防いだり、外部からの衝撃を和らげているものもあります。最後に額縁をはめ込み、金具で固定します。額縁の構造によっては、裏板をビスで固定する場合もあります。