よく分かる鏡の世界

望遠鏡

望遠鏡にも鏡が使われていることを知っていましたか?望遠鏡に鏡がなければ、その役割を果たせなくなってしまいます。それほど、欠かせないものなのです。鏡は望遠鏡のどこに組み込まれているのか…ここでは、鏡の仲間として、望遠鏡の種類や性能などの基礎知識を紹介していくことにしましょう。

鏡と望遠鏡

子供のころ、天体観測がしたくて親に望遠鏡をおねだりした経験のある人もいるのではないでしょうか。実は、その望遠鏡にも鏡が使われているのです。普通、望遠鏡には「対物レンズ」と呼ばれる星の光を集めるためのガラス製レンズを使います。また、大きなものになると、レンズではなく、反射鏡という鏡を使います。このようなレンズや反射鏡を主鏡といい、それが入っている鏡筒と鏡筒を支える架台から望遠鏡はなっています。

望遠鏡の種類

私たちが天体観測のために使う一般的なものは、大きく屈折望遠鏡と反射望遠鏡の2種類に分けられます。それぞれ、どんな特徴があるのでしょう?

屈折望遠鏡

これは、主にガラス製レンズを使って見ます。レンズ加工の問題から、大きく作ることは難しく、日本で一番大きな屈折望遠鏡で直径65センチのものになります。屈折望遠鏡は、筒の先にある対物レンズで星の光を集め、接眼レンズで像を拡大します。像の上下が逆に見えますが、視野が広く、倍率を高くしやすいという特徴があります。取り扱いが簡単なので、初心者にも人気があります。

反射望遠鏡

これは、鏡を使って光を反射させます。片面を加工した鏡を使うことから、大きな望遠鏡が作りやすく、日本で作られた最大のものは、ハワイにある「すばる望遠鏡」で、直径8メートルもの大きさです。 反射望遠鏡の中ではニュートン式とカセグレン式が一般的で、 どちらも凹(とつ)面鏡(放物面)で光を集めます。

架台の種類

望遠鏡を支えるための架台にも、経緯台式と赤道儀式の2種類があります。

経緯台式

経緯台式は、星の動きに対して左右、上下の2方向に望遠鏡を動かすことができます。操作が簡単なので、望遠鏡を初めて使う人や学習用としてもおすすめです。

赤道儀式

赤道儀式は、星の動きに対して赤経ハンドルの操作だけで天体観測を続けることができます。使う前に極軸のセッティングをしなければなりません。長時間の観測や写真撮影に最適で、初心者から上級者までレベルに合った使い方ができますよ。

望遠鏡の性能

望遠鏡の性能をあらわす主な用語を紹介しましょう。望遠鏡の性能の良し悪しは倍率によって決まると思っている人も多いでしょうけど、ほかにも色々なことが関係しています。下記のことを総合的に見て、各機能のバランスのとれたものが性能のいい望遠鏡になります。選ぶ際の参考にしてくださいね。

用語 性能
有効径 有効径は口径ともいい、望遠鏡の太さの違いをあらわしています。この有効径が大きいと、鮮明な像を見ることができます。
焦点距離 焦点距離とは、対物レンズを通ったり主鏡で反射した光が、像を結ぶ焦点と対物レンズや主鏡の中心までの距離をいいます。筒が長いほど、焦点距離は大きくなります。
倍率 対物レンズの焦点距離を接眼レンズの焦点距離で割ると、倍率が求められます。付属の接眼レンズを取り替えることで、倍率が変わります。望遠鏡によって見やすい倍率が決まっています。
集光力 集光力とは、肉眼を1と考えたときに、その何倍の光を集められるかをあらわしています。集光力が高いほど、暗い星も見ることができます。
分解能 倍率を上げるだけでは、細部まで見ることができません。分解能は、どれだけ天体を細部まで見ることができるかをあらわす数値です。
極限等級 極限等級とは、望遠鏡を使って見ることができるギリギリの星の明るさをいいます。この極限等級が大きいほど、より暗い星まで観察することができます。