よく分かる鏡の世界

双眼鏡

コンサートやスポーツ観戦、バードウォッチングなどの際に不可欠なのが、双眼鏡です。その双眼鏡にも、鏡が組み込まれているんですよ。さて、どのように鏡が使われているのでしょう?ここでは、鏡との関係とともに双眼鏡の種類や上手な使い方などについても紹介していきましょう。

鏡と双眼鏡

双眼鏡にも「対物レンズ」や「接眼レンズ」などが使われているので、ものを映す意味では鏡が使われているといってもいいでしょう。ちゃんとしたメーカーのものはそんなことありませんが、名前もブランドもないような1000円くらいで購入できる超格安の双眼鏡などは、プリズムの代わりに鏡が用いられていたりします。プリズムと比べると鏡の反射率はよくないので、暗く見えてしまうことが多いですね。そのため、夜間の使用には向いていませんが、昼間使うのであれば、鏡式でもさほど問題ないかもしれません。

双眼鏡の種類

双眼鏡は主にポロプリズム型、ダハプリズム型、ガリレオ型の3つの種類に分けられます。それぞれの特徴を知り、購入時の参考にしてください。

ポロプリズム型

ポロプリズム型は、直角プリズムを2枚組み合わせた双眼鏡です。“双眼鏡”と聞いてすぐに思い浮かぶ、一般的な形をしています。口径の大きなものも製造することができます。本体が大きめになってしまうというデメリットも少しずつ解消され、最近ではコンパクトサイズも多く発売されています。このポロプリズムは、19世紀の中頃にイタリア人のポロが発明しました。

ダハプリズム型

ダハプリズム型は、屋根の形をしたプリズムを使った双眼鏡です。構造上、小型・軽量を実現することができます。デメリットとしては、大口径のものが製造できないという点が挙げられますが、最近は徐々に大口径の双眼鏡も発売されるようになってきています。ちなみに、ダハプリズムの“ダハ”はドイツ語で“屋根”という意味です。

ガリレオ型

ガリレオ型は、凸(おう)レンズと凹(とつ)レンズを1枚ずつ組み合わせた双眼鏡です。小さくて単純な構造をしています。視野が狭いというデメリットがありますが、安く製造できるため、おもちゃの双眼鏡やオペラグラスのほとんどはこのタイプになります。ちなみに、その名は有名なイタリアの物理学者でもあり天文学者でもあったガリレオ・ガリレイに由来していると言われています。

双眼鏡の性能

双眼鏡の性能をあらわす主な用語を紹介しましょう。望遠鏡と同じ性能もあれば、そうでない性能もあります。「有効径」と「倍率」については望遠鏡と同じなので、その他の性能を見ていきたいと思います。

用語 性能
ひとみ径と明るさ 接眼レンズが作り出す対物レンズの像の直径をあらわしています。ひとみ径の値が大きいほど、明るく見えます。また、明るさは、ひとみ径を2乗した値になります。
実視界・見掛視界 実視界は、対物レンズの中心から双眼鏡を動かさずに見ることができる範囲を測った角度であらわしています。これが広いほど、広範囲を見ることができます。見掛視界は、双眼鏡からの視野がどのくらいの角度で開けているかをあらわしています。
1000メートル先の視界 双眼鏡を動かさずに見ることができる1000メートル先の範囲をメートルであらわしています。
アイレリーフ 双眼鏡をのぞいたとき、全視野を見ることができる目の位置と接眼レンズとの距離をあらわしています。これが長いほど、目に負担をかけずに済みます。
レンズコーティング フリーコート レンズ前面に、コーティングが施されています。光の損失が少なくなるため、より自然な色で見ることができます。
マルチコート 多層膜コーティングが施されているため、余計な光の反射を防止します。光の損失が少なくなり、コントラストがはっきりします。

双眼鏡の使い方

双眼鏡の使い方の基本は、まず姿勢を正すこと!両手を使うので、安定した体勢でなければ見たいものをしっかり捉えられませんよね。壁に寄りかかるなどして、なるべく身体や腕がぶれないように気をつけましょう。 上手な使い方のポイントは、次の3点になります。


目の幅を調整する

左右の接眼レンズの幅を自分の目の幅に合わせて調整しましょう。双眼鏡をのぞいてみて、見える範囲の2つの円が1つになれば、調整完了です。

視度を調整する

左右の目の視力の違いを補うために、視度調整をしましょう。基準にするのは、左目です。最初に視度調整リングの目盛を0にして、双眼鏡をのぞきながら、両目のピントを合わせてください。

ピントを調整する

見たいものにピントが合っていなければ、キレイに見ることはできません。双眼鏡をのぞきながら、焦点調整リングを少しずつ回してピントを合わせるようにしましょう。