ピラミッドとスフィンクス
ギザの大地に三大ピラミッドを守るように鎮座しているスフィンクス。ピラミッドと並んでエジプトの謎とされてきました。
カフラー王が作り、スフィンクスの顔もカフラー王がモチーフだとされてきましたが、どうやらそうではなさそうです。
スフィンクス
スフィンクスはエジプトだけではなく、メソポタミア神話やギリシャ神話にも登場します。ここではエジプトにおけるスフィンクスについて触れていきましょう。
ギザの大スフィンクスは、第2ピラミッドを建造したカフラー王が作ったとされていました。スフィンクスの顔もカフラー王の顔で、ピラミッドを守っている存在とされてきたのです。
ネメスという頭巾をかぶったファラオ(王)の顔を持ち、体はライオンの形をしています。王者のシンボルでもある顎髭をたくわえ、神聖なものとされてきました。
スフィンクスは長い間砂漠の砂に埋もれていました。全貌が明らかになったのは100年前にも満たない近年になってからです。ナポレオンがエジプト遠征でギザを訪れたときも、砂に埋もれていました。その顔は恐らく元々違う顔をしていたと考えられています。
エジプトにある他のスフィンクスは、体はライオンですが顔(頭)は山羊の形をしています。恐らくギザの大スフィンクスもそうだったと考えられます。後に、カフラー王の顔に掘り変えられたと考えていいでしょう。大きさは高さ20m、長さは73mです。
スフィンクスはその場で作られた?
スフィンクスは違う場所で作られたものを運んできたのではなく、元々そこにあった岩山を削って作られました。ピラミッドを作るために石を切り出した岩山を利用して作られたとするのが定説となっています。
カフラー王の第2ピラミッドの参道が、スフィンクスを避けるように作られているのですが、これは石を切り出したあとの岩山を崩す事が出来なかったため、やむをえずに参道を横にそらしたと言われています。
岩山をそのままにしていくのは景観上あまりよくないということでスフィンクスを作ったのです。そう考えられてきました。しかし、調査が進むにつれて明らかになってきたことがあります。岩山の残骸からスフィンクスを作ったのではなく、最初から岩山をスフィンクスとして作り上げる計画だったのではないかという説です。
違う方向からの研究では、カフラー王がピラミッドの守護神として作ったとされているスフィンクスですが、ピラミッドが作られるより以前に、すでにスフィンクスは作られていたという研究結果が出ています。現在ではこの説が定説となっていますが、本当のことはまだ誰にもわかりません。
スフィンクスの役割
現在、スフィンクスはピラミッドが作られるより以前にすでにそこに存在していたとする説が強くなってきていますが、スフィンクスは何故そこに作られたのでしょうか。
スフィンクスの元々の名前は「シェプスアンク」といいます。これがなまってスフィンクスになりました。「シェプス」は姿という意味を持ち、「アンク」は復活や再生の神様という意味です。スフィンクスは太陽神を表わしていたのです。
その後ピラミッドや神殿が作られ、それらを守る守護神となっていくのです。最初から守護神だったわけではないようです。
スフィンクスの顔
スフィンクスは風雨にさらされて浸食が進み、これまでにも何度か修復されてきました。ファラオの象徴である髭は砂の中から発見され、現在は大英博物館に保管されています。
鼻が崩れてなくなっているのは、ナポレオンらが試射の的にしたためだと言われてきましたが、それ以前から鼻はなくなっていたようです。異教徒達によって崩されたとする説の方が強くなっています。
鼻がなくなってからも、気が遠くなるほど長い時代をスフィンクスは見つめ続けてきたのです。
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