ピラミッドと数学
日本でまだ稲作が始まるずっと前、竪穴式住居に住み獣を追い回し、貝を捕って暮らしていた時代に、古代のエジプトではピラミッドを造り、象形文字を考え出し、天文学、物理学、数学の高度な知識を持っていたのです。素晴らしい文明だったことでしょう。
ピラミッドと円周率の関係
観光地として人気の高いエジプトのギザの三大ピラミッド。このピラミッドは数字と大きく関係しています。
ピラミッドには円周率を表わすπが隠されていると言われています。クフ王のピラミッドの一辺の長さをピラミッドの高さを半分に割ると、πの値に極近い数字が算出されます。古代のエジプト人は円周率のことを知っていたのでしょうか。
ピラミッドと黄金比
黄金比は黄金分割とも呼ばれ、古代ギリシャで発見されました。私たち人間にとって最も美しく安定した比率で、美しく見せるための基本的な条件とされています。
ピラミッドには、この黄金比が使われていると言われています。クフ王のピラミッドを例に挙げると、ピラミッドの高さと底辺の長さの比率がだいたい1:1.6になります。これは黄金比と呼べる特別な比率になります。
同じ黄金比の比率を持つものとして、ミロのヴィーナスも腰で区切ると上下に1:1.6になりますし、ギリシャのパルテノン神殿も高さと幅の比率が1:1.6、古代ローマの凱旋門も高さと幅の比率が1:1.6になっています。
このように、1:1.6の比率を持つものはとても美しい形をしているので、この比率は神秘的な比率と考えられました。身近なものではテレホンカードやハガキなども黄金比になっています。
ピラミッドと地球
ピラミッドの大きさが地球の大きさと深い関わりがあると言われています。地球を東西と南北へ360度ずつ区切っていく地理度というもので見ると、クフ王のピラミッドの一辺がその地理度の1分の1/8と同じで、辺心距離はこの地理度の1分の1/10と同じになります。また、クフ王のピラミッドの高さが地球と太陽の一番近い距離の1/10億になります。
要は、大ピラミッドの高さを10億倍すると、地球から太陽までの距離の1億4700万キロになるということです。同じくピラミッドの高さを43200倍すると地球の半径になります。そして、ピラミッドの総重量の100兆倍が地球の重量と同じです。
長さの単位
私たちが長さを表わすときは「mm」「cm」「m」などとしています。古代エジプトでの長さの単位は「キュービット」という単位を用いていました。
紀元前2750年頃のエジプト、サッカラで、キュービットとみられる長さの単位を用いられていたということが分かっています。その長さの標準は523.5~524mmです。cmやmなどのように、キュービットを表わす単位の記号があり、その象形文字は肘になっています。
キュービットは肘から中指までの長さからきており、身体尺といわれるものです。人それぞれ長さは違いますが、平均値で使われていました。もちろんピラミッドはキュービットを基準として計測されていたようです。
その長さを細部に至るまで精密にはかると、ピラミッドに使われているキュービットには2種類あることが分かります。これには根拠があり、長い方のキュービットはファラオの腕の長さを基準に、短いほうは国民の腕の長さを基準に決められたものとされています。
キュービットの単位は古代エジプトだけではなく、古代ギリシャや古代ローマ、古代イスラエルなどでも使われていますが、国によって1キュービットの長さが違っています。
古代エジプト人と数学
ピラミッドの高さや一辺の長さ、水平や直角を作っていること、地球の大きさや数学との関係が明らかにされてきました。しかし、これは現代の科学で分かったことであり、古代エジプト人がどうやってその数字をはじき出していたのかはやはり謎なのです。
地球の大きさや太陽への距離、その偶然とはいいがたい数字の一致に謎は深まるばかりです。ピラミッドには、まだまだ解明されていない謎がたくさんあります。ピラミッドにまつわる全てのことが明らかになったとき、きっと歴史は大きく変わるのではないでしょうか。
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