ペンダントなどの素材としても人気の琥珀(こはく)は、樹脂が固まってできたものです。なぜか琥珀を見ていると、神秘的な雰囲気が漂いますね♪琥珀の呼び名、特徴、古くからある伝説と、琥珀の秘密を、少しずつ解き明かしていきたいと思います!
琥珀は世界中で、いろんなふうに呼ばれています。ここでは、おもに琥珀が多く採れる国での呼び方を中心に見てみましょう。
日本では、昔から琥珀のことを「くんのこ」と呼んでいました。今でも琥珀の産地として知られている岩手県の久慈地方では「くんのこ」という名で親しまれています。
漢語では、樹脂のお香のことを薫陸香といいます。それが、なまって「くんのこ」となりました。ちなみに、私たちが聞き慣れている“琥珀”というのは、実は中国での呼び名なんですよ。
琥はトラの形をしたヒスイを意味します。また、珀は一文字だけでコハクを意味します。
英語では、琥珀のことをアンバーといいます。日本でもパワーストーンとしての琥珀を言うときには、アンバーという言い方をしたりしますよね。
その意味は、古代アラビア語のアンバール(海に漂うもの)に由来しています。なんでも琥珀は塩水に浮く性質があることから名付けられました。
ドイツでは、琥珀のことをバーニングストーンといいます。この呼び名も琥珀の性質によるものですね。琥珀は燃える性質があることから、“燃える石”という意味で、ドイツではそう呼ばれるようになりました。
このほか、ポーランドでも同じ理由で、ブルシュテイン(燃える石)という呼び名がつけられています。
ギリシャでは、琥珀のことをエレクトロン(電気)といいます。表面をこすると、静電気が起きる琥珀の性質から、こう呼ばれるようになりました。静電気で物を吸い寄せるができる琥珀は、本当に神秘的ですね!
リトアニアでは、琥珀をギンタラスといいます。このギンタラスという言葉には、“病気から身を守る”という意味が込められています。昔から魔よけや病気予防のお守りとして、琥珀を身につける習慣があったんですよ。
ロシアでは、琥珀のことをヤンターリ(太陽の石)といいます。これはラテン語の“黄色のもの”とかという意味からきていると考えられています。ロシアでアクセサリーや様々な民芸品に使われている身近な宝石の一つですね。
琥珀は、木の樹脂が土砂などに埋もれて数億年もの長い歳月をかけて化石化したものです。今まで琥珀を宝石と思っていた人も多いでしょうけど、このように鉱物ではないので、本当は宝石という言い方は、ふさわしくないのかもしれません…。
強いて言えば“樹脂の化石”といった感じでしょうか。ちょっと硬い言い方になってしまいますけどね。さて、琥珀には、どんな性質があるのでしょう?
樹脂が化石化したものにしては硬いですが、やっぱり他の鉱物から比べるともろいですね。 それに比重が軽いため、濃度の濃い塩水に浮く性質を持っています。
150℃で軟らかくなり、300℃で溶けてしまいます。このように琥珀は、簡単に燃えてしまいます。この性質は加工のしやすさにもつながりますね。
琥珀は、表面をこすると静電気が発生するという不思議な性質があります。
琥珀を触ったことがある人なら分かると思いますが、何だか温かい感じがします。琥珀は熱を伝えにくいので、いつまでも内側にぬくもりを保っています。
琥珀は“幸福をもたらす石”“太陽の石”“人魚の涙”など…色んなふうに呼ばれています。これらは、伝説がもとになっているんですよ。ここでは、“人魚の涙”の伝説を紹介しましょう。
昔、深い海底にユラテという人魚が住んでいました。ある日、どこからかキレイな歌声が聞こえてきました。
その歌声の主は一人の若い漁師で、ユラテはたちまち彼に恋をしました。海の神ポセイドンはそれを知り、怒って二人を引き離していまいました。
ユラテは海底に縛られて動けなくなってしまったのです。ユラテは悲しみの涙を流し、その涙が琥珀となって、海辺にいる漁師への愛の証として流れていきました。