牛肉の部位 |
牛肉にはさまざまな部位があります・・・と同時に、いくつかの等級があることをご存知ですか? 市場に出回っている牛肉は、全国共通の格付け制度によるランク分けが行われています。牛肉を適正な価格で取引するためにも、この格付け制度は欠かせません。ここでは、そんな牛肉の格付け・・・いわゆる「等級」について見ていこうと思います。格付け(等級)について学ぶことで、美味しい牛肉の見分け方がわかりますよ! |
牛肉の格付けとは?
「格付け」とは、(社)日本食肉格付協会が全国共通の基準に沿って行うランク付けです。正式には「枝肉取引規格」といい、食肉を適正価格で取引するうえで欠かせない基準となります。ちなみに・・・枝肉とは肉牛の体から皮や頭足、内臓を取り除いた状態(通称「丸」)です。これを中央から左右2つに切り分けたものを「半丸」といい、この状態で格付けやセリが行われています。その後、部分肉(枝肉を脱骨して各部分に分割、余分な脂肪などを除去して整形したもの)から部位別の精肉となって私たちの食卓に届きます。
歩留等級とは
枝肉から脱骨した際、どのくらいの肉がとれるか・・・要するに、枝肉から得られる部分肉の重量を3等級(A,B,C)で表したものです。歩留等級は「歩留基準値」と呼ばれる数値を計算式に当てはめ、そこから算出された数値と格付表を照合することで出されます。
歩留基準値の計算式
歩留基準値=67.37+(0.130×胸最長筋面積)+(0.667×バラの厚さ)-(0.025×冷と体重)-(0.896×皮下脂肪の厚さ)
歩留等級の判別
等級 |
歩留基準値 |
(部分肉)歩留 |
A |
72.0以上 |
部分肉歩留が標準より良いもの |
B |
69.0以上72.0未満 |
部分肉歩留が標準のもの |
C |
69.0未満 |
部分肉歩留が標準より劣るもの |
歩留等級の補正
上の計算式から判別された歩留等級でも、筋間脂肪が枝肉重量や胸最長筋面積に対してかなり厚いもの。また、「もも」の厚みに欠けていて、なおかつ「まえ」と「もも」の釣り合いが取れていないものに関しては補正が入り1ランク(等級)下がることもあります。
肉質等級とは
肉質等級は、「脂肪交雑(霜降り)」「肉の色沢」「肉の締まり及びきめ」「脂肪の色沢と質」の4項目から定められます。前3項目に関しては第6~7肋骨間切開面の胸最長筋や背半棘筋、頭半棘筋の断面から判断します。また、第4項目「脂肪の色沢と質」については切開面の皮下脂肪や筋間脂肪、枝肉の外面及び内面脂肪の4部位から判定されます。
「脂肪交雑」判定
ロース芯部分に含まれる脂肪分(サシ)の蓄積具合から判断される・・・いわば、霜降り具合のレベル分けです。この基準には12段階に分かれたチャート(B.M.S)が使われ、等級が判定されます。ちなみに「BMS」とは、B(ビーフ)M(マーブリング)S(スタンダード)の略称です。
等級 |
脂肪交雑 |
BMS No. |
5 |
かなり多いもの |
No.8~No.12 |
4 |
やや多いもの |
No.5~No.7 |
3 |
標準のもの |
No.3~No.4 |
2 |
やや少ないもの |
No.2 |
1 |
ほとんどないもの |
No.1 |
「肉の色沢」判定
色沢の判定は、牛肉の色を評価する基準(BCS)と光沢のバランスによって定められます。ちなみに「BCS」とはB(ビーフ)C(カラー)S(スタンダード)の略で、7段階(No.1~No.7)のうちNo.3~5が最良となっています。
等級 |
肉色及び光沢 |
BCS No. |
光沢 |
5 |
かなり良いもの |
No.3~No.5 |
かなり良いもの |
4 |
やや良いもの |
No.2~No.6 |
やや良いもの |
3 |
標準のもの |
No.1~No.6 |
標準のもの |
2 |
標準に準ずるもの |
No.1~No.7 |
標準に準ずるもの |
1 |
劣るもの |
等級5~2以外のもの |
「肉の締まり及びきめ」判別
肉の保水力を示す締まり、また生地のきめ細かさなどを元に判定します。ちなみに、この判定は肉眼で行われます。
等級 |
肉の締まり及びきめ |
締まり |
きめ |
5 |
かなり良いもの |
かなり良いもの |
かなり細かいもの |
4 |
やや良いもの |
やや良いもの |
やや細かい |
3 |
標準のもの |
標準のもの |
標準のもの |
2 |
標準に準ずるもの |
標準に準ずるもの |
標準に準ずるもの |
1 |
劣るもの |
劣るもの |
粗いもの |
「脂肪の色沢と質」判定
脂肪の色沢と質の判定は、脂肪の色を評価する基準(BFS)と脂肪の光沢と質のバランスによって定められます。ちなみに「BFS」とはB(ビーフ)F(ファット)S(スタンダード)の略で、7段階(No.1~No.7)のうちNo.1~4が最良となっています。
等級 |
肉色及び光沢 |
BFS No. |
光沢と質 |
5 |
かなり良いもの |
No.1~No.4 |
かなり良いもの |
4 |
やや良いもの |
No.1~No.5 |
やや良いもの |
3 |
標準のもの |
No.1~No.6 |
標準のもの |
2 |
標準に準ずるもの |
No.1~No.7 |
標準に準ずるもの |
1 |
劣るもの |
等級5~2以外のもの |
肉質等級の最終判断
4項目の審査結果から、最も低いランクのものを「肉質等級」とします。例えば「肉の色沢」がランク3で、他は全てランク5・・・だとしても、この牛肉の肉質等級は「3」となります。肉質等級「5」の称号を得るには、4項目全てにおいて最高ランク5とならなければなりません。このように、牛肉は厳格な審査のもと格付けされています。
ランクと味は比例しない?
巷で有名な超高級牛肉(神戸牛や松坂牛など)は、格付けランクでいうと最高級を意味する「5」に値するでしょう。色艶もよく、見事な霜降りから上質な肉であることはわかります・・・が、万人に「美味しい」と支持されるかはわかりません。なぜなら、牛肉にも好みがあるからです。赤身が好きな人、また固い肉が好きな人は最高級ランク「5」の牛肉を食べても美味しいと感じないでしょう。最高級ランクの牛肉を「美味しい」と思うかどうかは、人それぞれです。格付けランクは、あくまで牛肉を適正な価格で購入するための目安・・・ということを忘れずに。
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