最近、ミネラルウォーターを購入する人が増えています。1本(1.5リットル)200円とガソリンよりも高い値段なのに、なぜか売り上げは好調。豊かできれいとされていた日本の水に一体なにが起きたのでしょう? 一番身近な環境問題ともいえる、水質汚染について迫ってみました。
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経済活動などにより、水の質が劣化する状態を「水質汚染」といいます。そもそも、海や川の水には汚れを浄化する“自浄作用”が備わっています。 これは海や川に生息するプランクトンが汚れを食べて分解、水をキレイにしてくれるというものです。しかし、ある程度以上に汚れてしまうとその自浄作用が働かなくなります。 また、化学的な汚染物質の中には自浄作用で浄化できないものもあるでしょう。これらの汚れが川や海へと流れ込み、私たちの貴重な水資源を汚しています。 地球には約14億立方キロメートルの水があり、そのうち約97%は海水となっています。塩分を含まない淡水は約3%にとどまり、このうち約70%は南極や北極にある氷です。 さらに細かく分類していくと・・・飲み水は全体のわずか0.01%に過ぎません。世界人口62億人に対して、たったそれだけなのです。そのわずかな飲み水が今、“減少”という危機に晒されています。 水に恵まれた国、日本ではあまり実感がわかないかも知れません。しかし、日本のように“蛇口をひねれば水が出る”といった国はむしろ少ないのです。実際、世界には十分な飲み水を確保できずに息絶える人が多くいます。では、なぜ今飲み水が減っているのか? 地球温暖化による気候変動や人口増加など、その原因はさまざまです。中でも、最も注目されているのは水質汚染でしょう。水質汚染では飲み水に限らず、海や川に生息する生物すべてを汚染することとなります。白く濁った川で魚が死んでいる・・・そんなニュースを何食わぬ顔で見ている人も多いはず。しかし、それは私たち人間の手によってなされたことなのです。 生活排水や工業排水など、水質汚染のほとんどは“排水”が原因とされています。ここでは、生活排水と工業排水について詳しく見ていきましょう。 生活排水水質汚染の60~70%は、生活排水(トイレやお風呂、洗濯などから出る排水)とされています。中でも、もっとも汚れの割合が大きいのは台所排水です。食べ残しや米のとぎ汁などをそのまま流す、といった行為はすべて水質汚染へとつながります。また、食器洗いに使う合成洗剤も汚染の原因といえるでしょう。そう・・・私たちは知らず知らずのうちに、水質汚染の手伝いをしているのです。食品はできるだけ水に流さず、また洗剤も極力使わないよう心がけましょう。 工業排水水質汚染の原因として、工業排水があげられます。工業排水とは、工場や事業所などから出される排水です。水俣病やイタイイタイ病などの公害は、工業排水に含まれる有害物質が原因でした。その後、法律の規制や下水道の整備などによって改善されつつあります。しかし、下水道が普及していない地域では、処理せずにそのまま川や海へと流しているのが現状です。 水質汚染の原因として、産業廃棄物があげられます。産業廃棄物の中でも、有害物質(ダイオキシンやPCB、鉛、ヒ素など)による水質汚染は深刻です。 それらによって土壌が汚染されると、有害物質が地下水に溶け出すこととなります。その地下水を飲用することで、人体にも何らかの影響が出るでしょう。 また、不法投棄による土壌・水質汚染も深刻です。山間部の地下水が汚染された場合、その影響が現れるのは数十年~数百年後とされています。しかし、「今」大丈夫だからといって決して安心はできません。美味しく、かつ安全な水を次世代に引き継ぐことこそ私たちの義務なのです。 公共用水域(河川や湖沼、沿岸など)および地下水の水質汚染を防ぐため、昭和45年に制定された法律を“水質汚濁防止法”といいます。工場や事業場(廃棄物処理場など)が公共水域へ排水を排出する際、この水質汚濁防止法に基づいて排水基準が適用されます。 また、水質汚濁防止法では排水などの規制を行うため、特定施設や水質基準値についても定めています。地下水に関する規定が追加されて(平成元年)以来、この法律が地下水汚染に関して中心的な役割を担っているのです。 [ スポンサードリンク ]
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