キングサーモン
日本人が知っている鮭は、ほとんどが日本で獲れる鮭であり、それ以外の種類の鮭はあまり知られていないことがほとんどだと思います。しかし、日本では獲れないけれども、非常に有名な鮭が存在します。キングサーモンです。恐らく世間一般的には、「異常にデカい鮭」というイメージしかないでしょう。そんなキングサーモンについて見ていきましょう。
キングサーモンとは
キングサーモンの学名はOncorhynchus tschawytschaといいます。日本では今こそキングサーモンという呼び名で定着していますが、日本古来の呼び方が存在しています。日本ではマスノスケといいます。古来の呼び名がついているので、昔から日本近海で獲れた鮭の仲間であると考えられます。
キングサーモンの生息地域
キングサーモンはアラスカ近辺をはじめとして、主に北太平洋やオホーツク海、日本海北部などに広く生息しています。しかしながら、日本の川に遡ってくるキングサーモンはありません。極稀に迷い鮭が日本の川に遡ってくる程度です。また、日本近辺に全くこないことはないので水揚げされることはされますが、数は非常に少ないです。そのため、日本のお店に並んでいるキングサーモンはほとんどがカナダやアメリカからの輸入物です。
キングサーモンの生態
普通の鮭は秋口に繁殖のため一斉に川を遡りますが、キングサーモンは秋口だけではなく、春や夏に遡るものもいます。とはいっても春に産卵することはなく、秋になるまで川の中で過ごしています。そして秋になると繁殖場所に行き、そこで繁殖行為を行うのです。また、アラスカのユーコン川に遡るキングサーモンは夏である7~8月に産卵します。川によって産卵する季節が変わっているのもキングサーモンの面白い特徴の一つです。また、卵が孵るまでの期間が他の鮭よりも長い(3~5ヶ月、他の鮭は2ヶ月程度)のもキングサーモンの特徴の一つです。
キングサーモンの一番の特徴
キングサーモンの見た目の特徴を一言で言えば、何と言っても「巨体である」事に尽きるでしょう。他の鮭が50~60cmなものが一般的であるのに対し、キングサーモンの場合は1mを超えるものはザラで、ものによっては1.5m近くまで成長するものもあります。しかし、巨体なものにありがちな大味であるかというとそうでもなく、鮭の中でも一番脂がのっていて美味であると言われています。まあ、脂が多い少ないのどっちがいいのかは個人差があるのでなんとも言えませんが、脂ののった魚を好む人が多い日本人には好まれる鮭であると言えるでしょう。応用範囲が広く、キングサーモンを食するためのいろいろなレシピも豊富に存在しています。
キングサーモンとアトランティックサーモン
キングサーモンは北太平洋に分布している鮭ですが、キングサーモンと同じくらい大型で、大西洋を中心に分布している鮭があります。それがアトランティックサーモン(タイセイヨウサケ)です。キングサーモンとアトランティックサーモンは、似ているのは大きさくらいで、見た目も生息地域も全然違うのですが、近年アトランティックサーモンの日本における輸入量が増加していることもあり、お店でキングサーモンと銘打ってアトランティックサーモンを売っているところもあるようです。ただ、食するための用途としてはキングサーモンもアトランティックサーモンもほとんど変わらないようですね。
キングサーモンの一本釣り
キングサーモンは雑食性なので、ギンザケと同じく釣りの対象になっています。特にキングサーモンは巨大なので釣りとしての醍醐味も大きいらしく、カナダやアラスカにキングサーモン釣りをしに行く人たちが後を絶ちません。キングサーモン釣りの季節は夏で、6月から9月にかけて盛んに行われています。ただし、キングサーモン釣りたいからといってアラスカに行って勝手に釣っていいかというとそうではありません。62cm以下のキングサーモンはリリース(お持ち帰りしないでそのまま海に戻す)しなくてはいけないとか、キングサーモン釣りする前にライセンスを購入しなくてはいけないとか、キングサーモンは1日2匹までしかお持ち帰りできないとか、実に多くのルールがあるようなので注意が必要です。しかし、キングサーモンを食べることが目的ではなく、スポーツとして釣りをすることにおいては非常にやりがいのあることではないでしょうか。
幻のホワイトキングサーモン
鮭は初めにも述べたように、身が赤いことで有名ですが、キングサーモンの中にはキングサーモンでありながらも身が白いものが存在しています。これがホワイトキングサーモンです。キングサーモンの1000匹に1匹しか存在しないとも言われており、非常に希少価値の高い一品となっています。希少価値が高いことと、普通のキングサーモンに比べても美味であるという話で、市場での価格も普通のキングサーモンの3倍程度で取引されているようです。一生のうちに一度は食べてみたいものですね。