三平汁

鮭料理というのは非常に多くの種類があります。今まで挙げてきた鮭料理はほとんどの人が食べたことがある、あるいは、食べたことはなくても名前は知っているというものだと思いますが、世の中にはまだまだマイナーな鮭料理が存在しています。ここで紹介する三平汁もどちらかといえばマイナーな部類に入るのではないでしょうか。北海道ではメジャーな鮭料理なんですけどね。余談ですが、うちの父はこの三平汁が大好きで、家では最低でも年に1回は必ず食卓にあがる鮭料理です。

三平汁の名前の由来

三平汁の名前の由来は諸説あって、

  • 斉藤三平という南部藩士が作ったから三平汁
  • 三平さんという松前藩の漁師が作ったから三平汁
  • 三平皿に入れて食べていたことから三平汁

などがありますが、どれが本当なのかは定かではありません。しかし、南部藩や松前藩という地名、また三平皿の発祥時期などを考えると、相当昔から食されていたことだけはわかります。少なくとも、江戸時代末期には既に三平汁が食されていたことは間違いないでしょう。

三平汁のレシピ

三平汁は、使う食材は石狩鍋に似ていますが、スープが塩味ベースになっているのが一つの特徴です。元々は三平汁は鮭を入れた味噌汁という形だったようですが、それでは石狩鍋との区別がつきにくく、三平汁と石狩鍋を別料理にする理由が希薄になることから、最近では塩味ベースにした鮭入りスープを三平汁と呼んで区別するようにしています。また、場所によっては鮭以外の魚を使った三平汁もあるようです。

  1. 鮭を下ごしらえする。この時、中骨やあらの部分を使うのでとっておく
  2. 鮭を下ごしらえする方法は今までの鮭料理と同じですが、他の鮭料理と違って三平汁はあらを使いますので、ちゃんととっておきましょう。誤解を恐れずに言ってしまえば、三平汁を作る場合は鮭のあらさえあればいいです。別に鮭の身を入れてはいけないというわけではないですが。

  3. ジャガイモ、にんじん、こんにゃく、大根などを用意し、鮭のあら(鮭の身)とともに食べやすい大きさに切る
  4. この時、鮭のあらはそのままでは臭みが出てしまうので、一旦熱湯にくぐらせておくといいでしょう。石狩鍋のときと同様です。入れる具材は好みのものを選べばいいと思います。

  5. 鍋に水を張り、昆布を入れて煮込んでダシをとる
  6. ここのところも石狩鍋と同様の手順になります。石狩鍋と違って三平汁はダシが味の決め手になりますので、しっかりとダシをとるようにしましょう。

  7. 湯が煮えて十分ダシが取れたら、そこに煮えにくいものから順に入れていく
  8. ダシをとった昆布をそのまま残しておくことがポイントです。鍋に昆布を入れっぱなしにしておくとスープがにごりますから、いやな人は取り除いてもいいでしょうが、個人的には昆布も残しておき、あとで一緒に頂く方がいいと思います。先に鮭のあらを煮込んであくをとるようにしましょう。

  9. 鮭のあらや野菜が煮えてきたら、塩、酒などで味を調える
  10. 三平汁の味付けはこれだけです。好みによって酒粕を入れる人もいますが、ベースとなるのは昆布だしと鮭のだし、そしてここでいれる塩だけです。

十分煮込んだら三平汁の完成です。味噌汁のようにして扱うもよし、メインのおかずとして扱うもよしです。ご自由にお召し上がりください。

三平汁の魅力

三平汁はちゃんちゃん焼きや石狩鍋、また、一般的な鮭料理と違い、鮭のあらが主役になっているところが大きなポイントです。三平汁においては、鮭の身は必要不可欠なものではなく、逆になくても別に構わないというものになっています。恐らく、鮭のあらを捨てるのがもったいないと思った人が、なんとかしておいしく頂く方法はないかと考えて作ったのが三平汁なのでしょう。
以前にもお話しましたが、鮭は全ての部分が食材として利用できます。鮭の身ではなく、その他の部分もおいしく味わえる三平汁は鮭の本質を存分に引き出した料理といえるでしょう。実はつい先日、夕食のおかずとして三平汁が私の食卓に上がったばかりですが、鮭の骨がちょっと多いのが面倒なだけで、おいしく頂くことができました。
あなたが切り身ではない丸ごとの鮭を手に入れた時には、身だけとってあらは捨てるのではなく、鮭のあらを使って三平汁を味わって欲しいものです。一度でいいから三平汁作りにチャレンジしてみることをお勧めします。

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