トランプは世界各地で発展したカードです。海外のトランプを見ると、枚数や絵柄が日本とは違います。 日本でも独自の発展を遂げ、現在のトランプになるまでに、たくさんのカードが誕生しました。 昔のトランプとはどのようなものだったのでしょうか。歴史を振り返ってみましょう。
1543年 | 日本に初めて「かるた」が伝わりました。 |
1597年 | 「博多かるた諸勝負」の禁止令が出ました。 |
1688~1704年頃 | 「うんすんかるた」が誕生しました。 |
1772~1780年頃 | 「めくりかるた」が誕生しました。 |
1821年 | 宇田川榕庵が「オランダかるた」を模写しました。 |
1882年 | 西洋かるたの輸入自由化が始まりました。 |
1902年 | 「かるた税」が導入されました。 |
1957年 | 「かるた税」がトランプ類税になりました。 |
1989年 | 消費税導入にともない、トランプ類税が廃止されました。 |
トランプの誕生にはいろいろな説があります。最も有力なのが、中国のマムルーク・カードがヨーロッパへ伝わったというものです。マムルーク・カードにはジョーカーは存在せず、ジョーカーは19世紀になってから登場しました。
ほかにも古代エジプト説やインド説などがあります。古代エジプトやインドではヒンズー・カードというカードが占いに使われていました。ヒンズー・カードはタロット・カードと呼ばれるようになります。
タロット・カードの変化したものがトランプではないかという説もありますが、タロット・カードより古いトランプが発見されているので、この説は弱いとされています。けれど、どれもトランプの誕生にかかわっているようで、まちがっているとはいえません。
日本に伝わったのは1543年、室町時代末期といわれています。日本にはポルトガルから伝わってきました。ポルトガル語ではトランプのことを「かるた(carta)」といいます。日本では「南蛮かるた」が最も古く48枚のカードからできています。
南蛮かるたを真似したものが天正かるたといって、今も残っています。天正かるたは、ポルトガルに伝わってきたときのトランプの特ちょうが残されていて、竜と戦っている様子などが描かれています。「かるた」はとばくに利用され、1597年には「博多かるた諸勝負」の禁止が出ました。
西洋文化の人気にともなってトランプ類は製造を禁止するほどの人気になりました。天正かるたはその後も、「めくりかるた」「うんすんかるた」に変化していきました。
「うんすんかるた」
1688~1704年頃に誕生しました。1=うん、11=うんすんといいます。うんすんカルタは5スーツ15枚、合計75枚で成り立っています。「うんともすんともいわない」という言葉の語源にもなっているんですよ。
「めくりかるた」
1772~1780年頃、めくりというルールができました。坊主めくりや花ふだの原点といわれています。かるたの1枚1枚に点数があり、同じ点数のカード同士を合わせてとり、数回のゲームによる合計の点数を競います。
花ふだの登場
「博多かるた諸勝負」の禁止令以降、次々とトランプ類の禁止令が出され、代わりに登場したのが花ふだでした。トランプ(かるた)の代わりとして登場した花ふだはかけ事に用いられるようになり、トランプのほうは大衆娯楽として広まるようになりました。
トランプといってどんなゲームが思い浮かびますか?広く知られているのは、ババ抜きや神経衰弱といった、子供でも遊べるゲームではないでしょうか。トランプは今でもブラックジャックやバカラのように、かけ事の要素を持つゲームがあります。
日本ではかけ事は良くないという印象があり、子供向けの遊びとして発展しました。本当は、大人だって楽しめるゲームはたくさんあるのです。ちなみに、セブンブリッジやナポレオンといったゲームは、日本で発展したゲームなので、海外では通用しません。
トランプのエースを見てください。ほかのエースとどこがちがうかわかりますか?スペードのエースだけ、大きなデザインをしていますね。なぜ、スペードのエースだけが大きいデザインなのでしょうか。
1628年、イギリス政府はスペードのエースに税金をかけ、デザインを複雑にすることで偽造を防止しました。今でもスペードのエースが大きいのは、その名ごりなんですね。日本では1902年に施行されたかるた税が1957年にはトランプ類税になりました。トランプ類税は1989年の消費税導入まで採用されていました。
イギリスのサンドイッチ伯という人がいました。
この人は食事の時間を惜しむほどカードゲームが大好きで、パンに肉を挟んだものを食べながら1日中ゲームをしていました。このときに誕生したのが、サンドイッチだったのです。
三井カルタ記念館とは、福岡県大牟田市にある建物です。カルタが初めて作られたのが、三池(みいけ)という現在の福岡県大牟田市でした。カルタは絵柄の美しさや遊びの面白さから全国的に広まり、できの良いカルタを三池と呼んでいました。
三井カルタ記念館には貴重なトランプや、現在のトランプになるまでの、いろんなカードが展示されています。興味のある方は、ぜひ足を運んでみてください!
日本で初めてトランプを製造したのは、京都の任天堂でした。1902年にトランプの製造を始めてからプラスチック素材を取り入れたりオリジナルのデザインを試みてきました。
当初任天堂では、入社したデザイナーにトランプのデザインをさせていたそうで、「スーパーマリオブラザーズ」や「ゼルダの伝説」を生み出した宮本茂さんもデザインをしたそうです。
2006年1月、三菱マテリアルという会社で純金のトランプを発売しました。純金を厚さ0.007ミリという薄さに加工して、ラミネートした上に印刷したものなのだそうです。
普通に遊ぶこともできますが、壊れないようにびくびくしながら遊んでしまいそうです。価格は標準で425,250円ということで、ちょっと変わったものを記念に残したい方にいかがでしょうか。