元町を歩いていると思わず目に入る赤レンガの建物で、日本で唯一当時のまま残っている、清朝時代の伝統工法によって建築された建造物です。国の登録有形文化財にも指定されています。普段は入れませんが、期間限定で館内に入ることも可能です(2010年8月現在)。
元町の中でも特に目立つこの中華会館は、1906年に建てられた集会場です。しかしそのときはまだ現在のような様式ではなく、西洋風の建物でした。翌年、函館西部を襲った大火によって建物が焼失し、当時の理事長だった張尊三が中心になって現在の関帝廟(三国志の英雄、関羽を祭る廟)形式で建設されました。設計や彫刻など工事に携わる人は全て中国から招き、木材や美術品、調度品なども同様に中国から運ばれました。赤レンガの壁は清朝時代の伝統工法に従って作られたもので、釘が一本も使われていません。
閉館した後、一時期は一般公開されていましたが、2005年には建物の老朽化や入場者の減少、日中関係の悪化に伴い、公開を停止しました。
しかし2008年に四川大地震が起き、被災者支援の義援金目的のために期間限定で公開が始まりました。また、2010年には中華会館創設100周年を記念して、館内の撮影が期間限定で可能となりました。その中の様子は、その名の通りに中華の香りが漂っており、意匠の精巧さと華麗さに思わず目が奪われます。