小学1~2年生の算数で使われることのある百玉そろばん。40年以上昔には、学校の授業で普通に使われていました。使い道は様々で、算数の足し算、引き算を覚えるのに使うほか、掛け算にも使えますので、そろばんを覚える一歩手前の道具として、子供たちも楽しんで取り組むことができます。算数以外の様々な使い方もあり、赤ちゃんのオモチャとしての百玉そろばんもあります。
五玉そろばんは、五玉が2個、あるいは1個、一玉が5個あるそろばんのことです。日本にそろばんが伝来した頃のものは、この形をしていました。昭和10年頃までは、五玉が1個のものが使われていましたが、それ以降は当時の文部省の取り決めで、現在のような玉数のそろばんになりました。
五玉そろばんは、今では殆ど見ることがなくなってしまいました。そろばんを使いこなす人でも、この五玉そろばんの使い方を知っている人は少ないのではないでしょうか。自分も段位取得者ですが、この五玉そろばんの使い方が分かりませんでした。
そろばんで使われることが多いのが、23桁と27桁のそろばんです。そろばんの桁数は奇数と決まっていて、そろばん塾の生徒さんを見ますと、多くが23桁のそろばんを使っているようです。
どちらも計算するうえでの違いはありません。23桁のものは、短い分持ち運びに便利、27桁のものは、計算したあとの玉払いがやりやすいということくらいでしょうか。
自分は最初、27桁のそろばんを使っていましたが、持ち歩いているバッグからどうしてもそろばんが突き抜けて出てしまい、大変邪魔だった記憶があります。
ワンタッチそろばんとは、計算したあとのそろばんの玉をボタン一つで、きれいに珠払いをすることができ、計算がスピーディーになります。指で珠をはじく時間すら惜しいという、そろばんの級が上になると使用率の高くなるそろばんです。
実際、有段者になってから使い始めましたが、ほんの0コンマの違いでも、やはりこのワンタッチソロバンで計算を行うと、かなり早く次の計算に取り掛かることができました。
世界を見渡すと、様々なそろばんがあることに驚きます。アメリカ・インディアンの使っていた物は、動物の角が使われていました。穴をあけた角に木でできたピンを刺し、そのピンの数を数えて計算に使っていました。ここではローマ、ロシア、中国のそろばんを紹介していきましょう。
ローマのそろばんは『溝そろばん』と呼ばれる物で、2300~1500年前まで使われていたと言われています。
現在残っている物は青銅製の物で、板に溝が彫ってあり、その溝に移動可能な玉がはめこんであります。百玉そろばんにも似ていますし、現在のそろばんに似ています。
ロシアのそろばんは『ショティ』と呼ばれる物で、シベリア鉄道の車掌は、現在でも小型の物を携帯しています。大きなショッピングセンターなどではレジを使用していますが、小さな商店やキヨスクなどでは大き目の物が使われています。
同僚に、ロシア留学を経験した人がいるのですが、買い物に行くと、やはりこの『ショティ』をよく見かけたそうです。日本の百玉そろばんのような物です。
中国のそろばんは『支那そろばん』と呼ばれ、日本に最初に伝来したものと同じ形の物になります。玉は日本のものとは違い、丸くなっています。
この他にも変わったそろばんが多く、上下2段になっていて、同時に2種類の計算ができる物や、天3珠そろばんという、五玉が3個の物、占いなどに用いられた円盤型のそろばんなど、ユニークなそろばんが数多くあります。