ブラッド・ダイヤモンド
世界の有名なダイヤモンドのページでも紹介したのですが、ダイヤモンドを持つことが幸せとは限らない、という話です。このサイトの「ダイヤモンドの陰影」というタイトルもそこらへんを考えてつけさせてもらいました。さて、このブラッド・ダイヤモンド、同じ名前で映画になったせいか、随分と注目を浴びているようですね。では、このブラッド・ダイヤモンドについていろいろお話してみましょう。
ブラッド・ダイヤモンドとは
ブラッド・ダイヤモンドは別名を「紛争ダイヤモンド」と呼ぶダイヤモンドで、名前からして不幸そうな感じがしますね。これは、ダイヤモンドの主産出国において、反政府軍の手によって採掘されたダイヤモンド(の原石)です。
反政府軍がこのダイヤモンドを販売し、手に入れた外貨によって何を買うか? それがなんであるかは「ブラッド」の名が示すとおりです。ダイヤモンドを購入する先進国の外貨が、反政府軍の手に渡り、反政府軍はそれを利用して武装を整え、戦いは長期化していく…これがブラッド・ダイヤモンドというものなのです。
映画・ブラッド・ダイヤモンドについて
やや誇張されているのはエンターティメントとしての定めかも知れませんが、この映画の高い評価は、主演のディカプリオたちの熱演はもちろん「タブー」に触れたこの映画の筋立てにもあります。大げさなポイントがあるにせよ、ブラッド・ダイヤモンドというものがどういうものであるのか、理解する一助になるはずです。
ブラッド・ダイヤモンドの廃絶に向けて
映画ブラッド・ダイヤモンドで語られるのは、アフリカの小国シェラレオネのお話ですが、実際は各国においてこのようなブラッド・ダイヤモンドがまかり通っていました。それは不幸で、間違いのない事実です。
しかし、いつまでもそのような非人道行為を認めることはできないとして、各国からこのブラッドダイヤの購入を制限しようとする動きが現れています。
先ほどのシェラレオネの例を出すなら、シェラレオネの(反政府軍が掘削した)ダイヤは、隣国リベリアに一括購入され、その代わりにリベリアは反政府軍にさまざまな供与を行っていました。そういった疑惑から、リベリアからのダイヤモンドの不買運動なども行われています。
そしてキンバリー・プロセスへ
こうしたブラッド・ダイヤモンドを廃絶するための最大の動きが2000年に南アフリカ・キンバリーで行われた会議です。この会議は開催地の名をとって、後にキンバリー・プロセスと呼ばれることになります。
キンバリー・プロセスはダイヤモンド産業に関わる国家間によって話し合われ「ブラッド・ダイヤモンドを根絶する」ということで一致しました。もちろん、日本もそのうちの一国です。
具体的にはダイヤモンドの原石から宝飾品への一連の流通の中で、「このダイヤはブラッド・ダイヤモンドとは無関係である」ことを明記し、保障するということが参加国間で義務付けられました。2003年で42カ国+EC諸国家が調印し、さらに10カ国近くが、キンバリー・プロセスへの参加用意があることを表明、暫定的な保証書の発行などを行っています。
キンバリー・プロセスの穴
しかしながら、最近でもガーナ(ガーナはキンバリープロセス参加国)のダイヤの中にはブラッド・ダイヤモンドが混入していたと指摘され、ガーナはきちんとキンバリー・プロセスの条件を満たしきれていないとして輸出入を一時凍結されるなど、まだまだ足並みが揃っていないのも現実です。
現在は厳しいキンバリー・プロセスの導入など、さらに規制は強まっていますが、完全にブラッド・ダイヤモンドを根絶するにはまだ難しい状況にあります。
日本では、ほぼキンバリー・プロセスに準拠していますので、かなりのブラッド・ダイヤモンドの駆逐に成功したとされています。少なくとも、2003年以降日本ではブラッド・ダイヤモンドが輸入された事は無いはずです。しかし、先ほどのガーナのような例もありますから、100%ということが出来ないのもまた現実です。
ブラッド・ダイヤモンドは無くなるのか
もちろん、これからもこうしたブラッド・ダイヤモンドに関する規制はますます強まっていくでしょう。エンゲージリングに代表されるように、幸福の代名詞であるべきダイヤモンドが、現地の人々の不幸の上に成り立つものであってはいけないからです。
「なくなるのか」という問いには「難しい」と答えるしかないのですが、「なくすべきなのか」という問いには「その通りだ」と答えることが出来ます。
もし、あなたがダイヤモンドの購入を考えているのであれば、少なくとも「このダイヤはブラッド・ダイヤモンドではない」という保障を確認してから購入するべきでしょう。