紙生活
紙と森林

紙と森林

紙は元々木からできています。木から作られる物は紙ばかりではありません。家屋や家具の材料にもなっています。様々なものに木が使われ、その木はどこからくるのでしょうか。環境保護のためにも私たちは知っておかなければいけません。

製紙会社の取り組み

木を伐採しているだけでは自然破壊につながります。森林には多くの動植物が生息していて、木が無くなることで生態系が崩れてしまいます。石油や石炭は自然が作り出す物なので我々人間の力ではどうしようも出来ない部分もありますが、木は私たち人間の手でも増やしていくことのできるものです。そこで日本の製紙会社では世界各地で植林をし、森林を育てていこうとする運動をしています。使ったら補っていかなければ地球上から木が消えてしまいます。製紙会社がこれまでに植林してきた面積は、東京ドームに換算すると102000個分ほどにもなります。植林する国の気候に合わせ、アカシアやラジアータ松、ユーカリなどの木を植えています。ユーカリは生長が早いので、早くて9年もたつと使えるようになり、そのあとまた植林をしていきます。

森林の伐採

木材を原料とする物を作ろうとすると、必然的に森林を伐採しなければいけません。何らかの原料にするからといって、木を1本だけ切るわけではありません。世界で一番の輸出量を誇るオーストラリア。オーストラリア国民は、木材チップのために、原生林を伐採することはやめるべきだと実に80%以上の人々が口にしています。目先の利益よりも将来のことを考えるべきだとしているのです。木材チップを作る会社の製品をボイコットする運動が起こり、国民の関心を集めてこの運動は大成功しました。こうしてオーストラリアの原生林を守ろうとする国民の声が大きくあがっているにも関わらず、オーストラリア政府や木材関係の企業はその声に耳を傾けません。日本にむけて十分に輸出できるだけの植林木があるというのにです。

違法伐採

こうして森林伐採の反対の声がある一方で、地域住民が燃料用に使う木材としての不法採取、国内や国外への供給のための違法商業伐採などが後をたちません。オーストラリアに限ったことではなく、世界的にみても違法伐採は起こっています。こうした行為は人々の生活に影響が出るばかりではなく。政府の収入源にもつながり、国際的な取引市場を歪めます。森林の減少により、二酸化炭素の吸収源が減少し、地球上の気候にも関係してくるでしょう。ロシアなどではこの違法伐採を認めて、法の執行体制の強化に取り組んでいます。ロシアで作られる木材の50%が違法伐採だという事実は驚くばかりです。世界中の森林が減少している現在、深刻な問題として取り組もうとしている人はどれだけいるのでしょうか。

間伐材を使うチップ

紙の原料となる木材チップは間伐材が使われています。間伐とは木の生長に合わせて必要ではない分を間引くことです。では何故日本では外国からの輸入に頼って、自国の間伐材を使用しないのでしょうか。間伐は林業ではなくてはならない作業ですので、間伐材が出ないわけはないのです。日本の間伐材はパルプの原料とするのには2%に満たない量で、しかも割高になってしまいます。輸入原料の方が低コストで済んでしまうのです。こうした関係から日本は外国からの輸入に頼り、海外の天然林が伐採されるという結果を招いているのです。

森林の働き

森林は私たちの生活に欠くことのできない役割を果たしています。紙を作るばかりではありません。森林の働きを知って、森林が減少することにより、どんな深刻な問題が起こるのかを考えていく必要があります。

水源涵養

植物があると水分を吸収して、ゆっくりと流し出す役割をします。森林も同じ働きをしていて、降ってきた雨を吸収して少しずつ流し出します。私たちの生活の中に水があふれ出るのを防ぎ、栄養を含んだ水は自然や水産資源をはぐくんでくれるのです。

土砂崩れ防止

森林は山の斜面に存在しているものも多く、木があることでその根が土壌に張り巡らされ、土が崩れるのを防いでいます。また、落ち葉などで覆われた地面は土の流出なども防いでいます。

環境保全

森林の周りは気温変化を和らげ、二酸化炭素を吸収して酸素を供給します。風や音をさえぎり、防塵の働きもしてくれています。

生態系

森林の中では様々な生態系がなされています。動物たちが植物の実を食べ、動物のフンが植物を育てる。きのこなども生えて私たちの生活も潤してくれます。森林の中にはフィトンチッドと呼ばれる効果があり、快適な環境を作り出しています。


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