イルカと気持ちが通じ合えたら、どんなに素晴らしいでしょう!違う生き物同士が言葉を理解しなくても、気持ちを伝えることはできるのでしょうか。
水族館などの施設で、どのようにイルカとコミュニケーションをとっているのか説明したいと思います。
みなさんは言葉が伝わらない人と会話をしようと思ったら、どのように気持ちを伝えますか?イルカも同じ、言葉が伝わらなくてもコミュニケーションをとる方法はあるんです。
人間からのコンタクト
・ボディランゲージ
・目を見て会話する
・観察をする
・合図を送る
イルカからのコンタクト
・身振り手振り
・声を出す
・表情に出す
一般的に知られているのは、イルカが運動不足になったり、ストレスがたまるから、人に広くイルカのことを知ってもらいたいから、というものではないでしょうか。
イルカのトレーニングをしてデビューをするまでには個体差があり、半年でデビューできるイルカもいれば、2年かかるイルカもいます。昨日はできたのに、今日はできないということはよくあり、それぞれに合わせたトレーニングをしています。
動物は眠ったり、食事をしたりして生きていきます。野生の動物たちは、小さいときからそのことを学びます。しかし、施設に入るとその環境は大きく変化するため、イルカたちもそれに対応していかなければなりません。
トレーナーはイルカの自然な行動、自然な反応を捉えながら新しい環境に導いていきます。イルカをトレーニングしていくことで、トレーナーとのコミュニケーションをはかります。
トレーナーが飼育しやすいようにコミュニケーションをとることで、施設の中でイルカが生活しやすいようにします。イルカをトレーニングする目的の1つには、イルカの動きを見て、健康状態を管理する目的もあるのだそうです。
オペラント条件付け
イルカがジャンプをしたときに餌を与えることで、イルカが人間を見たときに餌をもらうためにジャンプをするようになることです。条件付けすることによって、イルカが自然に行ってきた特定の行動を自分からするようになります。
スキャントレーニング
トレーナーが教えていないことでも、イルカが自然に行動したことを強化していきます。
オブザベイショナルトレーニング
イルカ同士がその行動を見て学び、真似していくことをいいます。
野生イルカが水族館に来れば、おのずと泳げる範囲は限定され、人間とのコミュニケーションが欠かせなくなります。野生イルカが新しく水族館に来たときのステップは次のようになります。
1.体温や血圧など、体調管理をします
2.プールに慣れます
3.イルカ同士が仲良くなります
4.トレーナーとコミュニケーションをとります
5.回転や逆立ちなど、トレーナーの合図でイルカが行動をとれるようになります
6.自分の気持ちを表現することができるようになります
では、野生のイルカと水族館のイルカショーの行動がどのように似ているのかを見てみましょう。ジャンプや回転、泳ぎの演技が多いのが判りますね。どうしても水族館は狭い空間になってしまうので、このほかにもイルカにおもちゃを与えて退屈しないように工夫しているのだそうです。
ジャンプ
ジャンプ
イルカショーの演技にもたくさんの種類があるのがジャンプです。
スピンジャンプ
回転しながらジャンプして、水上に顔を出すことをいいます。野生でも飼育下でも見ることができます。
ロケットジャンプ
イルカに足裏を押してもらって、トレーナーとイルカが一緒にジャンプすることをいいます。野生のイルカでは難しい演技です。
ハイジャンプ
高くジャンプすることをいい、野生でも飼育下でも見られます。
スプレージャンプ
水面に勢い良く飛び出し、たくさん水を出しながら着水することをいいます。
水上に出る、潜る
ブリーチ
水上に体を大きく持ち上げることをいいます。
スパイホップ
海面に顔を出して様子を伺うことをいいます。
ブロー
海面に浮かんで呼吸し、白い水しぶきをあげます。
ペダンクルアーチ
海に潜るときに体がアーチ状に曲がることをいいます。水深が深いときに多く見られるので、浅い水深のときにはあまり見られません。
フロントフリップ
空中で前転することをいいます。2回転はダブルフロントフリップ、後転をバックフリップといいます。野生でも飼育下でも見られます。
泳ぐ
後ろ泳ぎ
子イルカと遊ぶときに多く、野生でも飼育下でも見られます。
背泳ぎ
おなかを上にして、尾ビレだけで泳ぎます。
キック
ボールキック
高い位置にあるボールを尾ビレでキックします。
オーバーヘッドキック
プールに浮かぶボールを口先で持ち上げ、尾ビレでキックします。
そのほか
フラフープ
水族館の演技で、フラフープを口先で回してトレーナーに渡します。
食事中
海の深いところの餌なら、逆立ちしながら食べるところを見ることができます。
サーフィン
波の高いところで波乗りします。水族館ではあまり見られません。
コミュニケーションはお互いの気持ちを知ろうとすることが大切です。相手の調子が悪いときに何かを要求しても、意思の疎通にはなりません。イルカが嫌なものは嫌だと意思表示することがコミュニケーションになります。
トレーナーとイルカの関係は、よくトレーナーが優位に立っているように見えますが、野生のイルカとふれあうときのように、イルカと人間が対等であることには変わりありません。