脳幹の構造は大きく4つにわけられ重要な働きをしている

脳幹の機能

人間の脳は大脳と小脳で構成されており、各部位がそれぞれ重要な役割を担っています。この脳で処理された情報は、脊髄を通って体の各部位に伝達され、実際の行動に反映されるのですが、この脳と脊髄の間を取り持っているのが脳幹です。

しかし、脳幹はただの脳の連絡口ではありません。

脳幹の構造

脳幹は大きく分けて、以下の4つに分類されています。

間脳(かんのう):diencephalon「大脳半球と中脳の間にある自律神経の中枢」

間脳

間脳は脳幹の中でも最も脳に近い部分のことです。大脳全体に覆われています。

間脳は視床と視床下部に分けられています。

かんのうちゃん

視床は嗅覚以外の全ての感覚の中継点となっており、また、大脳を覚醒させておこうとします。

視床下部は人間が生きていくうえで非常に重要な自律神経の最高中枢となっていて、内臓の制御、血圧の制御、体温調整、ホルモン分泌などを行っています。

中脳(ちゅうのう):midbrain, mesencephalon「脳の一部」

中脳

間脳の内側に位置しています。大脳皮質と小脳、脊髄などを結び付けている重要な中継点です。

中脳自体も、高度な運動の制御、聴覚の中継所、眼球運動などを制御しています。

ちゅうのうくん

橋(きょう):pons「脳の部位の一つ」

橋

小脳との連絡路です。この橋により、小脳と大脳・脊髄などの連絡ができるようになっています。

これがなくなると小脳との情報のやり取りが行われなくなりますから、体で覚えることが不可能になりますね。

きょうちゃん

延髄:medulla oblongata「脳の一部」

延髄

言葉は有名であろうあの「延髄蹴り」の延髄です。呼吸と循環器(心臓)の制御を行っています。

つまり、例の延髄蹴りというのは、人間の後頭部に位置する延髄にショックを与えることで呼吸と循環器の機能を阻害し、気を失っているところをフォールして…という技だったわけですね。

えんずいくん

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脳幹の働きと重要性

脳幹はいくつもの部分に分けられ、それぞれ役割は違いますが、全てをまとめて脳幹の働きを大別すると、以下の2つに分けられます。

人間の意識を制御する

人間がものを考えたり、行動したりできるのは、大脳が活動しているからですが、この大脳の活動を制御するのが脳幹の役割の一つです。

大脳は意識を担っているというお話もしましたが、その大脳が活動できるのも脳幹が活動させているからです。

ちなみに、睡眠というのはこの大脳を休ませるために取るわけですが、この睡眠はホメオスターシスという体を調整する機能が働くことによって起こるもので、その機能は視床下部が担当しています。

従って、睡眠にも脳幹が深くかかわっているということがわかりますね。

人間の生命を維持する

意識を制御するのも勿論大切ですが、それよりも重要なのが生命維持の機能です。大脳や小脳が部分的にダメージを受けた場合、その部分が請け負っている機能に障害が出る程度で済むこともありますが、脳幹の場合は自律神経やホルモン、呼吸にまで影響を及ぼしているので、人間の命そのものが危機にさらされます。

大脳や小脳が人間として重要なものであるのならば、脳幹は人間、いや、生物の命そのものにとって重要なのです。こうしてみると、脳幹は我々が寝ているときであっても、24時間年中無休で働いていることがわかりますね。

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脳幹梗塞と脳幹出血

脳幹が機能しなくなると、大脳の活動が妨げられるので意識は保てなくなりますし、自律神経や呼吸、心臓まで機能しなくなってしまうので、脳幹におけるトラブルは非常に重大な問題です。

脳の病気ですと、脳梗塞や脳出血がありますが、その中でも脳幹でおこる脳幹梗塞や脳幹出血は特に深刻です。先日、人気プロレスラーの橋本真也さんが脳出血のためなくなってしまいましたが、この時はただの脳出血ではなく、脳幹出血でした。

脳幹は即人間の命に関わる部分なので、一旦脳幹から出血してしまうとほとんど助かる見込みはなく、運よく命を取り留めたとしても、大脳に深刻なダメージを残すことが多いので、予後も良くないようです。

脳幹腫瘍

脳の病気としてもう一つ有名なものに脳腫瘍というものがありますが、勿論脳幹に腫瘍ができてしまう脳幹腫瘍というものも存在します。

脳腫瘍の場合は、医学技術の進歩によって大分治療も十分に行えるようになっていますが、残念ながら脳幹腫瘍の場合はまだ満足な治療ができる状況にありません。

脳幹の中でも特に延髄は、メスを入れた時点で呼吸が停止してしまうというくらいデリケートなもので、未だに人間が直接手を下すことができないでいます。

こうしてみると、例え冗談でも「延髄蹴り」なんか本気でやったら大変なことになるのがわかりますね。皆さんは決して真似しないようにしてくださいね。取り返しのつかないことになるかもしれませんから・・・。

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投稿者プロフィール

脳科学吉宗
脳科学吉宗
脳を研究しつづけてきました。脳をきたえる為のトレーニング方法や病気と脳の関連性の記事を書いています。右脳と左脳の違いや動物の脳と人の脳の違いも研究しています。
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