大脳の機能と構造ほか「頭頂葉」「側頭葉」「後頭葉」「前頭葉」

大脳の構造

脳は大きく「大脳」「小脳」「脳幹」の3つに分けられます。その中でも、人間が物事を考えたり、感じたり、言葉を話したり、記憶したりと特に大きな役割を持っているのが大脳です。

勿論、小脳や脳幹もそれぞれ重要な役割を持っていますが、他の動物と比較しても人間において特に発達しているのが大脳です。

人間は生物の中でも知能が特に発達した生物ですが、それは大脳が発達しているからです。

大脳の構造

まずは、大脳の構造そのものから見ていきましょう。

大脳皮質(だいのうひしつ)

大脳皮質

▲濃いグレーの部分

大脳の表面部分を大脳皮質といいます。大脳皮質はしわしわになっています。

脳のしわが多いと頭がいいなんて世間ではよく言われていますが、医学的には脳のしわと知能との関連性はないことがわかっています。

このしわは、深さや曲がり方に関しては多少個人差はあるものの、しわの位置に関しては個人差はなく完全に決まっています。この大きなしわによって「前頭葉」「頭頂葉」「側頭葉」「後頭葉」の部位に分けられているわけですね。

大脳皮質は複雑な神経結合が構成されていて、人間の思考などの中枢になっています。大脳皮質の内側は白質と呼ばれ、大脳皮質の神経と他の神経をつないでいます。

大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)

大脳の内側に位置している部分の総称です。また、大脳皮質を含んで大脳辺縁系ということもあります。

大脳皮質で物事を考えているのに対し、内側は、わかりやすく言うと本能の役割を担っています。

大脳の内側で発信される本能的な情報が、大脳皮質で処理され、理性的な行動につながっていると考えられています。

大脳基底核(だいのうきていかく)

大脳基底核

大脳と脳幹を結び付けている神経の総称です。

大脳基底核の役割は多彩で、運動の調整、学習など様々な機能を持っています。

大脳の部分わけとその働き

大脳の構造

大脳はしわによって各パーツに分けられます。

その各パーツがどのような役割を担っているのかを見ていきましょう。

前頭葉(ぜんとうよう)

前頭葉

大脳の前にある部分です。

前頭葉は、人間の思考や理性を制御しています。また、言葉を話したり、体を動かしたりする機能も担っています。人が人であるために最も関与している部分といえるでしょう。

人間が感情を抑え理性的に行動できるのも、前頭葉の働きがあるからです。

前頭葉の機能に問題が生ずると、

  • 我慢が必要なときに我慢できなくなる
  • 己の感情のまま行動する
  • 言葉がしゃべれなくなる
  • 運動機能に問題がおこる

など、大きな問題になってしまいます。

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頭頂葉(とうちょうよう)

頭頂葉

大脳のてっぺんやや後方に位置する部分です。人間の感覚に関わる機能を担っています。

例えば、暗闇でものを触ったときに、「硬いもの」「軟らかいもの」「暖かいもの」「冷たいもの」など、そういった認識を頭頂葉が行っていると考えられています。

従って、頭頂葉に問題が起こると

  • 感覚がなくなる
  • 体の一部分、または全体がしびれる

といった問題が発生します。

側頭葉(そくとうよう)

側頭葉

大脳の横の部分です。頭でいうと、こめかみの辺りに位置する部分です。

特に重要な機能は記憶ですが、それ以外にも聴覚・嗅覚を認識する役割も持っています。

ここに問題が発生すると

  • 昔のことが思い出せなくなる、逆に最近のことが覚えられなくなる
  • 耳は聞こえるが何を聞いているのか理解できない
  • においはわかるが何のにおいかわからない

などの問題を引き起こします。

後頭葉(こうとうよう)

後頭葉

大脳の後ろにある部分です。ここの役割は視覚です。

よくある、後頭部を強打すると、目がちかちかするというやつ、あれは後頭葉に物理的ショックが与えられたことにより、一時的に視覚障害が起こっているからです。

時間がたってショックが収まると、視覚は元に戻りますが、後頭葉に永続的な問題が起こると

  • 目には異常がないのにものが見えない
  • ものは見えるが正確に見えない

などの問題が起こります。

このように、大脳の各部は場所によってそれぞれちがった役割を担っているわけですが、この各部が常に連携をとることによって、人間の行動が起こってくるわけです。

例えば、朝、電車の中で職場の同僚に挨拶されて、挨拶を返すという行動を考えてみましょう。

挨拶するカップル

ある人が、後ろから「おはよう」と自分に言ってきた、この時点でまず側頭葉が「おはよう」という言葉を聞いたというのを認識します。その情報が前頭葉に送られ、「おはようは朝の挨拶で、基本的に知ってる人にしかしないものだ、じゃあ誰が言ったのか確認しよう」と判断し、声をかけてきた人を見ようと振り向きます。そして挨拶した人を見て、その見た情報が側頭葉に送られ、自分の見たことがある人かどうかを記憶から引っ張り出してくるわけです。

その記憶の中に、会社の同僚の人というものがあり、またその情報が前頭葉に送られます。ここで、「会社の同僚が朝の挨拶をしてきたんだから挨拶しなければいけない」と判断し、「おはよう」と返事をするわけですね。

パズルイメージ

過程は非常に長いですが、人間はこれを一瞬のうちに判断し、実行しているわけです。人が人であるために最も重要なのは前頭葉ですが、実際はこのようなちょっとしたことでも大脳全体が連動しているのです。

これほど複雑な過程を瞬時に行えてしまう人間の脳というのはやはりすごいと思います。

投稿者プロフィール

脳科学吉宗
脳科学吉宗
脳を研究しつづけてきました。脳をきたえる為のトレーニング方法や病気と脳の関連性の記事を書いています。右脳と左脳の違いや動物の脳と人の脳の違いも研究しています。
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